坂の上の雲 第8回「日露開戦」
前回まででノボさんが亡くなってしまい、今回から一体どうなるのだろうと思っていたのですが、そんなことは考えなくてもいいくらいほとんど登場してこなかったです。律さんが真之の家にやってきて色々と面倒を見るときに話題になるくらいで、おそらく今後はどんどん登場シーンが少なくなってしまうような気がしてなりません。
前回も思ったのですが、坂の上の雲が数ある明治の世の中を描いた作品と違うのは、軍事的な側面だけでなく正岡子規のような文学や世相、文化という明治時代の息吹を感じることができる点が新鮮で面白いのだと思います。そういう意味で今回からどのようにその穴を埋めていくのか楽しみでもありました。
始まりは久しぶりに本格登場した好古は、騎兵第一旅団長となり千葉県で演習を行なっていました。このシーンだけでもかなり大規模で迫力があります。機関銃という文明の利器と古からの騎馬隊が併存するのは明治という時代だからこそでしょう。おおらかな演技は阿部寛さんにすごくあっていて、この後ロシアでの騎馬隊との飲み会でもそれは十分に発揮されることになります。
いざ戦となったら正々堂々と戦おうと握手を交わすその気持ちよさは、見ていて複雑になります。仲間意識と裏腹に彼らは戦わなくてはならないという相反した行動を取らなければならないのです。このような形ではなく違う形で彼らが交わっていたら真の友情を得ることができ、違う世界ができていたのではないかと考えてしまいます。歴史にタラレバは禁物なんですけど。
一方、真之は華族女学校に通っていた稲生季子といい関係になり、結婚することになります。この時代にとっては当たり前なのかもしれませんが、あまりデートしている感じでもなく、自転車レースで負けてしまった季子を真之が慰めつつ、その後に分かりづらいプロポーズを行ないます。季子は全く理解できていないなかったのですが、何となくOK。とんとん拍子に進み、結婚式のシーンに。展開が早いなとは思いつつも、結婚式を心から喜ぶ母親と好古の姿を見ると、よかったねと自分も一因として思ってしまいます。
妻となった季子はやはりお嬢様なので、ドジョウを素手で裁くことができず訪れた律の手を借りて何とか対処します。良妻賢母を目指して一生懸命な姿を見ると、多少できないことがあってもまぁいいかと思ってしまいます。きっと、石原さとみさんがかわいいからという理由も大いにあるはずです。
時代は、ロシア皇帝ニコライ二世の全面譲歩という気持ちも届かず、日露開戦に向けて動き出します。その司令長官になったのが東郷平八郎でした。渡哲也は落ち着いていて貫禄がありますね。このあたりの演技は本当に見物です。これでもかという位の役者が大臣クラスにつぎ込まれています。極めつけは明治天皇を演じる尾上菊之助さんでしょう。市川亀治郎さんもそうでしたが、歌舞伎役者はやはり顔での表現がうまいですね。石坂浩二さんと中尾彬さんの司令長官を巡る思いの激突は見ているこちらも手に汗を握ってしまいました。
こうして名実共に日本海軍の頭脳となった真之。好古のちょっと恐ろしい言葉を胸に戦いの場へと足を入れていくことになります。これからは日露戦争の描写が多くなると思いますが、結果はともかく真之と好古の思いと戦い方、そしてノボさんの後を継ぎ明治の世の中の動きをしっかりと見ていきたいと思います。
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