龍馬伝 第43回「船中八策」
今回は、世に広く知れ渡っている船中八策の話。船の中でどんな葛藤をしながらかき上げるのか楽しみにしていたのですが、案外さくっと書き上げてしまいました。その内容を後に中岡慎太郎に示すのですが、これまでの龍馬の生き様や出会ってきた人々のことをこれでもかと盛り込んだ、素晴らしい内容になっています。
武市さんとか、高杉さんなど日本の国をよくしようとした人々は、抱いた志を龍馬という一人の人物が最高の形で吸い上げ、それを世に知らしめる。今まで船中八策は龍馬が自分で考えて作り上げたものだと思っていたのですが、もっともっと高いレベルのものでした。そう考えると、これまでの内容はすべてこの船中八策のためにあったのではないかと思えてくるほど。
世の中を変えることに対して必ずそれに抵抗する勢力があります。それはこれまでその古い世界の中で既得権益を持っていた人であり、そういった人たちは必至で自分の利益を守ろうとするのです。それは今でも全くそうなのですが、慶喜を始めとした会議の中でもそういう展開が繰り返されました。もはやみんなで何かを一緒に成し遂げようとする気持ちは薄かったのでしょう。
中岡のように、この混沌とした世界では武力によって一気に勝負をかけてしまう方がすごく楽だと思います。龍馬たちが考える大政奉還は多くの既得権益を打ち破り、それでいて関係者が納得する結末を導く必要があることからすごく大変なこと。多くの人が実現困難だと思っても仕方ありません。
しかし、龍馬は武力によってたたきのめすと憎しみを生み、何も生まれないばかりでなく、国力の弱った日本に外国から次々と攻められてしまい、この国を滅亡させる未来を想像していたのです。こういう考え方ができるのは、この幕末にあってほとんどいなかったと思います。
見る人が見れば先見の明があるのですが、ミッチーが演じている大久保も最後にぼそりと言っていましたが、多くの人にとってそれは目障りでしかありません。命を狙われても仕方ないほどの勇気なのです。時代の先駆者は常に冷たい目で見られがち。天動説を否定し地動説を提唱したガリレオも同じだったことはすでに学校で学んだとおりでしょう。
そう考えると、弥太郎がイギリスの商売を学びたいと強く願い、稼ぐ欲求をもってグラバーたちに接したのも先見の明があるといえます。この先戦争になると予想して準備を進めた弥太郎の運命やいかに、という状況ですが、強く生きていくのでしょう。
龍馬の命はあと5ヶ月。そろそろエンディングの伏線も見えてくる頃なので、見逃さないようにしっかりと目に焼きつけたいと思います。
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