あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第12回「茶々の反乱」

2011年4月 03日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今までの大河ドラマになれてしまうと、こういった歴史上大きな出来事が出てこないで心の動きの変化を伝える内容に少し物足りなさを感じてしまいます。もちろん今回の大河ドラマ自体が歴史の表舞台を中心に描くものではないと分かっているのですが、どうしてもそういう場面を欲してしまいます。

例えば今回でいうと、家康が浜松で竹千代と於義丸との稽古を眺めながら、於義丸よりも竹千代の方に感心がいっている様子を描いていて、このあとの家督相続のことを暗示していた描写や、黒田官兵衛が家康が織田信雄と共に兵を挙げることになりそうで、そのために水軍が力不足であると進言する部分はその後の戦に大きな影響を及ぼしそうだという場面などがどうしても面白く感じてしまいます。

一方で、今回のメインはなんと言っても茶々でした。彼女は始めのうちは秀吉が贈った着物や食べ物を食べようともせずに、秀吉へのにくさからストライキ活動を実施します。姉だけそれをさせる訳にはいかないと半強制的に初と江も参加することになります。そんな小さな戦は千宗易の「全部を飲込んで大きな人になりなされ」という説得に崩れ落ちる結果となります。なんと言っても石坂浩二の方が大人だなと感じさせる場面でした。おそらく本人たちにとってはすごく大きな事なのですが、そこまで時間を割く必要があったのかは謎です。

おそらく、この受け入れをしたことによって今後、茶々が秀吉に対する考え方が大きく変わっていくターニングポイントになるんだということを、ここでは伝えたかったのだと思います。それを伝えるために、妹たちも犠牲にするのはやはりかわいそうだと言わざるを得ません。

そして今回も登場したのがファンタジーの世界でした。江の後ろに信長が2回亡霊のように秀吉をしかりつけます。以前、この信長登場という技はこれから何回も登場するだろうと思っていたのですが、やはり今回も複数回にわたって登場します。そろそろおしまいでもいいような気がします。きっと秀吉が江を嫁がせようとしたのは、背後にいる信長に恐れたから、という理由ももしかしたら設定上あるのかもしれません。(その嫁ぐ人発表の場面では、侍従も「わたし?」みたいな感じでドキドキしていたのが面白かったです。秀吉が息を切らしてやってきて本当に侍従を指し示していたら、すごい展開になっていたかもしれません)

次回は江が主役になって嫁いでいく場面のようです。残るのは初と茶々。茶々には
軟派で弱々しい感じの三成と秀吉が恋心を抱いているようなので、その当たりも眺めていきたいと思います。

◆江紀行◆
大阪府堺市
 - 千利休屋敷跡
 - 椿の井戸
 - 南宗寺
 - 千利休像
京都府大山崎町
 - 待庵(妙喜庵)

江 -姫たちの戦国- 第11回「猿の人質」

2011年3月 27日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

北庄城が炎に包まれ落城し、それと共に義父と母を亡くした江たち三姉妹にとってこれまで心のよりどころだったものが失われ、自分たちの力で生きていかなければならなくなりました。今回はそんな三姉妹が少しずつ自立していく様子を描きたかったのでしょう。

秀吉のもとにやってきた三姉妹は秀吉のことを猿とくってかかり、決して許すことはないと断言します。ところどころファンタジー性も含まれており、江の背後に信長が登場し、秀吉を恫喝します。以前、江に信長は見守っていると言っていましたが、信長はしっかりと見守っていたのですね。きっとこからも江に対しては背後に信長が登場し、強く出ることができないというシーンは数え切れないほど登場してくるのだろうなと想像することができます。

そんな三姉妹の心を少しずつ緩和していったのが秀吉の正室であるおねと、三姉妹の父である浅井長政の姉である京極マリアの娘であり、秀吉の側室である京極龍子でした。京極龍子自体も秀吉は仇のはずなのですが、徐々におねの気遣いに心が和んでいきます。同様に三姉妹の心もおねに対して開いていくのでした。

おねや龍子だけでなく、千宗易など三姉妹を気遣う人はたくさんいて、きっとここでの生活はうまくいっていくんだろうなと感じさせます。あえていうとしたら秀吉の茶々に対する邪心でしょうか。岸谷五朗のこの惚けた顔を何度見てきたことでしょう。今回も明確で露骨な演技に、またきたかと今後の流れが容易に想像することができます。江が茶々を守ると言っていましたが、全くそれは無理で自分のものにしていくでしょう。それがどのように成し遂げられていくのかということに次の焦点が移りそうです。

最後に歴史的な流れを見てみると、家康の行動が特筆すべきものがありました。これまで様子見を決め込んではっきりとしたことを言わなかったのですが、今回織田信雄が家康のもとを訪れて一緒に秀吉を討とうといった後、自分も猿を少し叩いておかないといけないといったこと。明確に家康が秀吉を討つということは歴史が示すとおりですが、ここでそのように感じていたことがどのような行動につながっていくのか、江の大河ドラマなのですが歴史ドラマとしての本流の部分も頭の片隅に入れながらこれからを見ていきたいと思います。

◆江紀行◆
三重県玉城町
 - 田丸城址
 - 天守跡
 - 伊勢湾
 - 松ヶ島城址

江 -姫たちの戦国- 第10回「わかれ」

2011年3月 20日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

2週間ぶりの再開となった江は、戦地に赴く柴田勝家と羽柴秀吉との戦いである賤ヶ岳の戦いでした。今回のドラマの主役はあくまで江なので、賤ヶ岳の戦いでどのように柴田勝家が敗れるのかは描写が少なかったような気がします。例えば、にらみ合いが続いた時に佐久間盛政が勝家に進軍を申し出て、その条件として最初の砦を崩したらすぐに兵を引くようにという命令があったにも関わらず、砦を破った後も進軍をしてしまったといいます。

軍の統率は、兵力が少ない勝家軍にとって最重要であり、それが崩れてしまったら勝てるものも勝てなくなってしまいます。しかし、佐久間盛政はきっと何らかの思いをもって行動していたに違いないのですが、その当たりの描写がほとんど無いまま、秀吉が強行軍で戻ってきて北庄城を囲ってしまうところまで一気に物語は進んでしまいます。

完全に包囲された北庄城の中にいる、お市と江たち3人は小谷城の出来事を完全に重ねていました。この中でも戻ってきてくれた勝家は妻と子供に対して精一杯の思いを伝えることができたに違いありません。自害する勝家とお市は、自害によって子供たちに自分たちの思いを継いでいくことができたのではないかと思います。

その最後の場面ですが、茶々から始まる3人の子供たちのリアクションが大体想像することができ、これから同じような場面が3回続くんだろうなと思ってみることができたので、心の余裕があったからかそこまで涙することはありませんでした。江だけは必ず茶々、初とは違う行動に出るのは本当にそうだったのか、それとも演出の問題なのかは謎なところです。

自害の場面では、勝家が最後の説得を市に行なうも意志は固く、二人で自害していきます。亡くなってしまう瞬間が2人とも出てこなかったのですが、江紀行では二人が辞世の句をここで詠んでいるとのこと。そういう場面を描写するのは重要なような気がするのですが。

◆柴田勝家の辞世の句
夏の夜の
    夢路はかなき あとの名を 
               雲井にあげよ 山ほととぎす

◆お市の辞世の句
さらぬだに 
    打ちぬる程も 夏の夜の 
               別れを誘ふ ほととぎすかな

今回の場面で感じたのは、大地康雄さんの演技が非常に自然であり、叫ぶ演技が多いと思っていた今までの印象を全く変えて非常に微妙な心の動きを演技で表現していたのが新しい発見でした。できることならもう少しだけ彼の演技を見ていたかったと感じます。

そして今回から登場したのが石田三成。演じているのは萩原聖人です。完全に天地人の小栗旬のイメージが強く、頭が切れて冷徹な雰囲気を思っていたので、礼儀正しく頭を下げる低姿勢の三成には違和感を覚えてしまいます。多分これから三成の様子は変わっていくのだと思いますが、小栗旬の面影を上書きするのにもう少しだけ時間が掛かりそうです。

城を離れた3姉妹はこれから母という強力なバックアップをなくして自分で生きていく必要があります。本来であれば戦国の世の中でこの3姉妹ほどの歳になれば嫁いだりすることもあり、自立するのですが強力な母に守られてきた今までが恵まれていたと考えをプラスに持っていき、強く生きて欲しいと思います。

しばらくは、秀吉の影響下におかれ理不尽な事が多いと思いますが、それも人として強くなるために必要なステップだと考え、実際にそうなったと信じてこれからも見守っていきたいと思います。

◆江紀行◆
福井県福井市
 - 足羽山
 - 北ノ庄西光寺
 - 勝家と市の墓