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軍師官兵衛 第35回「秀吉のたくらみ」

2014年8月 31日 By: rainbow Category: 2014年_軍師官兵衛 No Comments →

早くも物語は九州平定以降の激動に向けたプロローグとなっていました。その第1弾として描かれているのが宇都宮鎮房。村田雄浩さんが演じていることからもただならぬ雰囲気を醸し出しながら官兵衛と本領安堵を巡って激論を交わします。ここまで念を押されて安堵すると言われるシーンを描いていることで、この部分で後に問題になるのだなと感じます。本当はもっと何らかの書面があったのかもしれませんが、こういった口約束だけで重大な内容を取り決めてしまうというのがすごいなと思います。

二つ目はバテレン追放令です。外国人宣教師が口を滑らせ、秀吉が不安がるようなことを話し始めてしまったことによって、秀吉はキリスト教をこのままにしていてはいけないと考え、右近に「信心を捨てよ」という書状を送ります。官兵衛は激しく秀吉に説得するのですが、この時点でキリスト教徒であったこともあり完全に聞く耳を持ってもらえません。この状況が、きっと官兵衛と秀吉のほころびを示すものなのでしょう。これからもっともっとこれが広がっていくとき、官兵衛はどのように世を渡っていくのでしょうか。

石田三成が官兵衛に変わって徐々に勢力を強めているのはある意味仕方がないことだと思います。それは戦乱の世の中が終わり、軍師という役割から政治という要素が高まっていて、それを支える人物は官兵衛ではなく三成なのですから。そういう意味でも官兵衛や長政が今後新天地でどのように振る舞っていくのか、あまり知識もないので新鮮な目で見ていきたいと思います。

◆官兵衛紀行◆
福岡県築上町
 - 城井ノ上城跡

軍師官兵衛 第33回「傷だらけの魂」

2014年8月 18日 By: rainbow Category: 2014年_軍師官兵衛 No Comments →

最近のドラマを見ていて感じる事があるのですが、今回のドラマは歴史上の大きな出来事を大きく取り扱うのではなくさらりと流して、官兵衛にまつわる人物を中心にじっくりと描いているように見えます。それは評価を二分してしまうリスクも持っていて、「よくわからない」「つまらない」というネガティブな感想を生み出す可能性もあれば、「今まで知らない世界を見ることができた」「新鮮である」といったポジティブな要素もあるでしょう。前半の軍師官兵衛はまさに前者であったのだと思いますが、最近の評価を見てみると徐々に後者に流れていっているのではないでしょうか。

そんなことを感じたのは今回道薫(村重)の心の揺れ動きを、これでもかというくらいじっくりと描いていたことにあります。官兵衛の家で働いていた家来が村重の子供を預かっており、その子供は後の岩佐又兵衛であり天下に名をとどろかす絵師になったといいます。この子が村重と実際に今回のように会ったかどうかはわかりませんが、感動的な場面となりました。千利休が言っていた道薫の心の迷いは次第に消え、また生きて行こうという希望を持って、さらに子供も応援しながら姿を消していきます。この描写は見事で、見るものを惹きつけたのではないでしょうか。

これまで荒木村重と黒田官兵衛の関係は有岡城の幽閉によって最悪であるという考え方が一般的でしたが、このドラマを見て思うのは、決してそうとは言い切れないという希望でした。史実通りではないかもしれませんが、見るものにそんな希望を持たせてくれるのは素敵なことだと思います。

秀吉と官兵衛の関係は徐々に冷たい空気が流れ始めていくことになります。石田三成のような従順な家臣の方が天下人としては都合が良くなるのは当たり前で、官兵衛が冷遇されるようになるのは時間の問題でしょう。そんな状況の中で官兵衛はキリシタンの洗礼を受けることになります。官兵衛の心は何を求めているのか、その答えを探しつつ次回を楽しみにしたいと思います。

◆官兵衛紀行◆
大阪府大阪市
 - 大坂城跡(大阪城公園)

軍師官兵衛 第32回「さらば、父よ!」

2014年8月 10日 By: rainbow Category: 2014年_軍師官兵衛 No Comments →

徐々に官兵衛から離れ三成の方によっていく秀吉の片鱗を見ることができます。小牧長久手の戦いは官兵衛にとっては直接関係のない出来事だったので軽く扱われていましたが、惨敗した後に三成は面目を保つために再度家康と戦うことを進言。それに対して官兵衛は家康の強さを分析し、兵力の問題ではなく機が熟していないと判断し敗退するのですが、どちらが理路整然としているかは一目瞭然であり、三成に従っていれば秀吉の天下は志し半ばで終わっていたかもしれません。

やはり石田三成という人物は与えられた仕事を完璧にこなす能力は高いのですが、軍師としての素質はそこまで高くなかったのではないかと思います。今回はギリギリのところで秀吉が官兵衛の意見を取り入れるのですが、官兵衛の先を見据える能力を少しずつ恐れ始めている様子が分かります。いずれこの問題は大きくなっていくのでしょう。

一方黒田家では2つの出来事が起こります。一つが長政が播磨・山崎の統治を任され努力するのですが、もともと新しい領主にはなかなか心を開かない領民に苦労しあるとき刀に手をやってしまったことで噂が広がりますます窮地になってしまいます。それを優しく手助けしたのが職隆でした。昔話をしながら急がずにゆっくりとやればいいと諭します。こういった優しい語り口なのは柴田恭兵さんならではでしょう。昔のあぶない刑事の頃にはなかった良い感じが出ているような気がします。

そんな職隆も孫達が遊ぶ庭でにこやかにしながら穏やかにこの世を去っていきます。この亡くなり方は大河ドラマではおなじみで過去に同じような設定で亡くなっていった人はかなりいたりしますが、若干不自然さは残るものの、見ている側に「良い人世だったね」と思わせるには十分な演出と言えるでしょう。

官兵衛を表裏で支えた父親が亡くなっていくのですが、官兵衛は後は任せろといいながら泣き崩れることもなく志を新たにしている姿はさすがだと感じます。次回からはますます秀吉との関係は冷めていくことが想定されますが、それに負けずに支えていって欲しいと思います。

◆官兵衛紀行◆
兵庫県宍粟市
 - 山崎城

兵庫県姫路市
 - 黒田職隆廟