江 -姫たちの戦国- 第44回「江戸城騒乱」
物語最大とも言える大坂の陣が終わり、この残り数回をどのように演出していくのかが気になるところでした。その全貌が今回明らかになります。江が亡くなるまでのメインテーマは跡継ぎ問題であり、自分が寵愛する国松と福が推薦する竹千代の一騎打ち。
至る所で、国松が勝っていることを示していて、おどおどするばかりの竹千代。今回の最後に竹千代が紅を塗っている場面を江は発見してしまい、何かが終わった雰囲気。視聴者を完全に国松の方が次期将軍にふさわしいと思わせようとしていることが明白な感じがします。これで、秀忠がさくっと竹千代を選んだのであれば、視聴者はどうしようもないもやもやにさいなまれることになるでしょう。そうなってしまうのではないかと心配でなりません。
その跡継ぎに目を向けるよりも、やはり前回のこの作品のなかではかなり良かったと思える内容を引きずっている秀忠の思いに目を向けていた方が、楽しいと感じてしまう自分がいます。秀忠は、自分の命によって淀と秀頼を討つことになります。そうすることによって江や千からは非難されることが分かっていても、そのときは何かの思いを抱え、決断を下したのです。
家康からは、この決断ができる息子をみて、実権を譲っても問題ないと判断できたのでしょう。青竹踏みをしながら本当に隠居の世界に入っていきます。後に福が跡継ぎを竹千代にするよう進言してほしいと願っても、もはや表舞台に登場することはありません。このあたりの徹底ぶりはさすが家康でしょう。
秀忠は、戦乱の世の中を終わらせ、太平の世の中をもたらす、血を流すのは自分で最後にするのだという強い意志を思っていました。その太平の世の中を作るには、豊臣家の面々を生かしておくことなどできなかったのです。それに気づいたのは、実権が自分に移ってからのことでした。ちょっと前まで豊臣家と共に共存共栄の世の中を模索していた秀忠ですが、自分が天下の決断を迫られるとそれは確かに甘いと感じたのかもしれません。このあたりの秀忠の思いを明確に知ることができたのが、今回の作品を見続けていた成果の一つだったと思います。
再び主人公であることが巡ってきた江ですが、自分の思い込みを姉の常高院に指摘されては、行動を律せられる展開。感情のおもむくままに暴走してしまいそうな江を止められるのは、もはや常高院しかいません。このあたりの人間関係と、女装に走ってしまった竹千代がどのように次期将軍になっていくのか、まったりとみていきたいと思います。
◆江紀行◆
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