あしたまにあーな

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平清盛 第39回「兎丸無念」

2012年10月 07日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

長くこのドラマの中で準主役のような待遇を受けていた兎丸も今回、ついに終了します。この人物が本当に存在していたのかどうかは引っかかる部分ではありますが、それでも清盛に誰も物言いをできなくなるほど権力が高まった状況において、対等な立場で清盛に意見をいうことができる唯一の人物であったことが、彼の存在価値のひとつだったのだと思います。

そんな兎丸は、大輪田の泊の普請作業について無茶苦茶なスケジュールをいう清盛に、マジギレしてしまいます。このような早く完成させて欲しいという要望元と、依頼先の関係というのはいつの時代も変わることのない普遍的なもの。このような状況では、限られたリソースで何を優先するのかを建設的に議論する必要があります。しかし兎丸の性格上、喧嘩別れすることになってしまい、それが永遠の別れになってしまうのです。

禿が襲う様子については、これまで細かく描写されてきませんでしたが、今回それが明らかになります。串のようなもので相手を指し示すし、それに気を取られている間に針のようなもので相手に突き刺す。非常に無残な状況です。これに対してなんの罪悪感もなく、むしろ清盛を尊敬するまなざしを向ける禿に清盛は自分がしてきたことが間違っているということを悟ったのでしょう。時忠にすぐにやめるように指示し、時忠は無念な表情で禿の装束などを始末しています。

兎丸はこれで亡くなってしまうのですが、清盛がこれまでの習慣である人柱をたてることをやめ、代わりにお経を書いた石を沈めることにしました。こういったさりげないことでも改革しようという思いが平氏の世の中につながったのではないでしょうか。

しかし、物語中でも語られていましたが清盛は残りの人生の少なさから生き急いで、自分の目指す国つくりを成し遂げようと多くの犠牲を払い始めたように思います。歴史的に見ると1代でものすごくリーダーシップを発揮する者は多く登場するのですが、その後も継続的に繁栄するのは必ずと言っていいほど、創業者が後継者の育成を怠っていないことにあります。

清盛にとって後継者は重盛ですが、ここ数回ほとんど登場しません。今回も台詞があったかどうかレベルの影の薄い存在になっています。こうなると平氏は清盛が亡くなったら本当にまずい状況になり、不平不満を抱く人々を抑えることができないでしょう。そんなことを暗に感じさせる内容が含まれていたのではないかと思います。
今回の牛若と共に次回は頼朝が息を吹き返しそうな感じであり、そういった勢力が平氏にどのように絡んでくるのか楽しみにしたいと思います。

◆清盛紀行◆
兵庫県神戸市
 - 兵庫区島上町(経ヶ島)
 - 勝福寺

平清盛 第38回「平家にあらずんば人にあらず」

2012年9月 30日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

タイトルは平氏の代名詞とも思われがちな「平家にあらずんば人にあらず」。物語の中でこれを言いだし始めたのが、時忠であるとしています。今回のメインキャラとなった時忠は、完全に数年前の岡田以蔵を演じた佐藤健にかぶっていたような気がします。なんだか仕事人的な雰囲気を持って、逆らうものに鉄槌を下すというものすごい職業がこの時代にあったのだと改めて驚きました。

歴史の上では、このタイトルのような発言を清盛は直接していないということになっておりますが、物語の中では、そのような言動をしていることを時子から知らされた清盛は、国の頂きにたつということは時に必要な事もあるといって、事実上黙認しています。

これでは、ほとんど清盛が言ったのと同じこと。「平家にあらずんば人にあらず」は、平氏がその権力の上に悪政をしまくるというイメージがあり、あまりいい言葉として利用されませんが、実際には国を富ませるための様々な取り組みを行うための必要な手段とのこと。この思いと言動のギャップが激しく、周囲から見るとそのような思いを汲んであげることはできないでしょう。

その他は比較的小さな出来事がたくさんあり、全体としての印象は薄くなってしまっているのが残念です。兎丸の名案も尺があまり与えられず、それよりも政子と頼朝のシーンの方が時間的に多かったのではないでしょうか。強いて言うのなら、時忠と同等レベルということであれば後白河法皇でしょうか。

かれの言葉遊びですが、周囲もなんだか乗り気ではなく、仕方なしに実施しているまったり感が出ていて面白く見ることができました。食べたふりをするシーンなど、いかにも貴族というイメージ。その中で後白河法皇は、最後にいった人をそのまま食べることによって、自分が最も大きなものを食べたと示します。周囲は、後白河法皇に逆らえるものはいないので、当然参りましたとなるのですが、清盛はそうはいきませんでした。結局この二人は特別だということなのかもしれません。

次回は兎丸がメインをはることに。どういう展開になっていくのか楽しみにしたいと思います。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 - 鞍馬寺
 - 義経公供養塔

平清盛 第37回「殿下乗合事件」

2012年9月 23日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

今回のMVPはなんといっても摂政である基房でしょう。久しぶりに見た悪者役であり、演じている細川茂樹もものすごく悪い奴オーラを表情等から出しまくって好演しているといえます。あまり厳しく言えるはずがないという重盛に対して、「これを機に平氏をつぶしてしまえ」と公言する基房は、その背後にいる清盛の存在を完全に忘れていたのかもしれません。結果として誰の命令か分かりませんが、ぼこぼこにされてからは、怖じ気づいてしまうことになります。

これが事件と言えるのかどうかはよく分かりませんが、この出来事によってダメージを食らったのは重盛だったのかもしれません。棟梁である自分が正しいと思って下した判断を、身内の誰かが覆しそれが実行に移されることは、自分の支配下に平氏がないことを示しています。

この時の首謀者として物語の中でクローズアップされたのは、時忠、時子、清盛の3人ですが、実際のところ誰が下したものなのかは分からずじまい。重盛も「自分は誤っていたのか、自分は父上にはなれない」と涙します。偉大な父を持つ子供は苦労が絶えないのは今も昔も変わらぬ道理なのかもしれません。

この事件からわかるもう一つは、平氏の人々が少しずつ「おごり」というものに染まっているという点。資盛が言っていた「自分は平氏の棟梁の息子で、清盛の孫だぞ」という台詞。

本当にそう言ったのかどうかはわかりませんが、これが事実だとすると親の威光にすがって、自分は何の努力もしないやつだということになります。その前の段階でも武芸を嫌がっている様子からも見て取れるでしょう。作者としては、こうして平氏がたるんできていて、周囲からの反感を少しずつ貯めているという事実を印象づけたい狙いがあるのだと思います。

そこに登場するのが頼朝です。相変わらず生気がないのですが、伊豆の武将達に自分の父親である義朝の悪口を言われ、かちんときたのか「源氏は滅びない。この命が失われても思いは引き継がれていくのだ」と語り、心なしか元気になったようです。おそらく次回あたりから積極的に行動していくでしょう。

次回は、有名な言葉「平氏にあらずんば人にあらず」を思いっきり題名に乗せてくる象徴的な内容になりそうです。福原での貿易進捗状況も含めて目が離せないですね。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 - 梅小路公園
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 - 若一神社