あしたまにあーな

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あしたまにあーな > 鈴木保奈美


江 -姫たちの戦国- 第10回「わかれ」

2011年3月 20日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

2週間ぶりの再開となった江は、戦地に赴く柴田勝家と羽柴秀吉との戦いである賤ヶ岳の戦いでした。今回のドラマの主役はあくまで江なので、賤ヶ岳の戦いでどのように柴田勝家が敗れるのかは描写が少なかったような気がします。例えば、にらみ合いが続いた時に佐久間盛政が勝家に進軍を申し出て、その条件として最初の砦を崩したらすぐに兵を引くようにという命令があったにも関わらず、砦を破った後も進軍をしてしまったといいます。

軍の統率は、兵力が少ない勝家軍にとって最重要であり、それが崩れてしまったら勝てるものも勝てなくなってしまいます。しかし、佐久間盛政はきっと何らかの思いをもって行動していたに違いないのですが、その当たりの描写がほとんど無いまま、秀吉が強行軍で戻ってきて北庄城を囲ってしまうところまで一気に物語は進んでしまいます。

完全に包囲された北庄城の中にいる、お市と江たち3人は小谷城の出来事を完全に重ねていました。この中でも戻ってきてくれた勝家は妻と子供に対して精一杯の思いを伝えることができたに違いありません。自害する勝家とお市は、自害によって子供たちに自分たちの思いを継いでいくことができたのではないかと思います。

その最後の場面ですが、茶々から始まる3人の子供たちのリアクションが大体想像することができ、これから同じような場面が3回続くんだろうなと思ってみることができたので、心の余裕があったからかそこまで涙することはありませんでした。江だけは必ず茶々、初とは違う行動に出るのは本当にそうだったのか、それとも演出の問題なのかは謎なところです。

自害の場面では、勝家が最後の説得を市に行なうも意志は固く、二人で自害していきます。亡くなってしまう瞬間が2人とも出てこなかったのですが、江紀行では二人が辞世の句をここで詠んでいるとのこと。そういう場面を描写するのは重要なような気がするのですが。

◆柴田勝家の辞世の句
夏の夜の
    夢路はかなき あとの名を 
               雲井にあげよ 山ほととぎす

◆お市の辞世の句
さらぬだに 
    打ちぬる程も 夏の夜の 
               別れを誘ふ ほととぎすかな

今回の場面で感じたのは、大地康雄さんの演技が非常に自然であり、叫ぶ演技が多いと思っていた今までの印象を全く変えて非常に微妙な心の動きを演技で表現していたのが新しい発見でした。できることならもう少しだけ彼の演技を見ていたかったと感じます。

そして今回から登場したのが石田三成。演じているのは萩原聖人です。完全に天地人の小栗旬のイメージが強く、頭が切れて冷徹な雰囲気を思っていたので、礼儀正しく頭を下げる低姿勢の三成には違和感を覚えてしまいます。多分これから三成の様子は変わっていくのだと思いますが、小栗旬の面影を上書きするのにもう少しだけ時間が掛かりそうです。

城を離れた3姉妹はこれから母という強力なバックアップをなくして自分で生きていく必要があります。本来であれば戦国の世の中でこの3姉妹ほどの歳になれば嫁いだりすることもあり、自立するのですが強力な母に守られてきた今までが恵まれていたと考えをプラスに持っていき、強く生きて欲しいと思います。

しばらくは、秀吉の影響下におかれ理不尽な事が多いと思いますが、それも人として強くなるために必要なステップだと考え、実際にそうなったと信じてこれからも見守っていきたいと思います。

◆江紀行◆
福井県福井市
 - 足羽山
 - 北ノ庄西光寺
 - 勝家と市の墓

江 -姫たちの戦国- 第9回「義父の涙」

2011年3月 06日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回は、大地康雄さんのいいパパぶりが際だった内容となりました。前回が「初めての父」という題名だったのに対して、今回は「義父の涙」という内容。父だとようやくみんなが認めてくれた前回からまた少しだけ壁ができてしまったような気がするのは気のせいでしょうか。

前半部分だけみれば完全に、大地康雄さんが演じているのが柴田勝家だということを忘れてしまいそうなほどのホームドラマでした。貝の絵合わせや刺繍を一緒に遊んだりしながら完全に戦をしようという気持ちが薄れてしまったのかと思ったくらいでした。それをガンガン刺激してくるのが秀吉。相変わらずオーバーアクションの岸谷五朗さんですが、ここまで来るときっと何らかの指示によるものなのでしょう。そういうものだと思ってみていくしかなさそうです。

そんな秀吉をおちょくる千宗易がワンポイントでウィットの効いた面白いネタをいつも提供してくれるのが、自分の中で小さな楽しみの1つとなりました。今回は秀吉の傍若無人な行動を冷静に指摘しつつ、最後には「さるかに合戦」と評価。石坂浩二という人物が発するからこそ、面白いのではないかと思います。次回も密かに千宗易の登場を待ち望んでいたいと思います。

そして、度重なる秀吉からの挑発にとうとう我慢できなくなった勝家は、茶々や初がお市の説得で応援側に回ったこともあり、決心します。江だけは自分の思うままNOと言う訳ですが、自分の思うままのことを言い続け、周囲を見ないのは単なるわがままでしかありません。このまま嫌だといって今回終わってしまったら、今度こそ江に嫌悪感を覚えたのですが、最後は手作りのお守りいれを手渡し応援側に回ります。よかったです。主人公を嫌いにならなくて。

歴史は残酷なもので、賤ヶ岳の戦いの結果はすでにわかっています。その時が来たらこの人たちはどのように考え振る舞っていくのでしょうか。それを楽しみにして次回を待つことにします。

◆江紀行◆
滋賀県長浜市
 - 賤ヶ岳
 - 賤ヶ岳古戦場
 - 武将の像
 - 余呉湖
 - 玄蕃尾城

江 -姫たちの戦国- 第8回「初めての父」

2011年2月 27日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回かなり厳しい意見を述べてしまったのですが、それをどこかで打開してくれるのではないかと思い、これからも見続けようと思っています。その中で今回は今の時代でもありがちな新しい父のことを認められないという子供に手を焼く親の構図でした。

こういった内容については、戦国時代という時代性を考慮してどのように葛藤するのかといったところが見どころだったのですが、茶々と初の態度は完全に今の時代そのもの。親のことをかたくなに認めようとせずに自分を通す姿は決して見ていて楽しいものではありません。しかも、それが大河ドラマの中で繰り広げられるのですから、正直次の展開が起こる30分間は見ていてつらいものがありました。

大地康雄さんもみんなが思い描くとおりの柴田勝家を一生懸命頑張っているのですが、始めのうちはへりくだった姿勢ばかりで、逆にこれが滑稽に移ります。イケメンが揃っている大河ドラマにおいて自分が抜擢された理由というものをしっかりと把握しているのでしょう。柴田勝家の敵となる秀吉を演じる岸谷五朗がやりすぎ感漂うオーバーアクションを行なっていることから、巻けずにやらないとキャラクターが埋もれてしまうからなのかもしれませんが、このオーバーアクションの連続は見ていて本当に疲れます。物語の本編ではないので、もう少し控えるところは控えてもいいかなと思います。

そんな勝家への態度が変わったのが江の行方不明事件でした。歴史上では全く知られてないこういったことによって、お市を始め三姉妹と勝家の関係は全く変わっていきます。勝家がいいことを言ったのですが、人の上に立つ者は、常に多くの人にっさえられているという思いを忘れるなということ。この思いを強く持ったとき、領民に対して心の通った世の中を作っていくことができるのでしょう。

絆をむすぶことができたとき、信頼という大きなものを手に入れることができるのです。秀吉が最後の方は悪人のような顔になっているのですが、この時期だけでいうと、完全に勝家がいい人で、秀吉が悪い人のような印象を与えているでしょう。

父上と呼ぶようになった江は微妙に前髪が変わっていました。きっとこれによってひとつの時代が過ぎたことを視聴者に伝えているのだと思います。今後どのくらい髪型が変わっていくのかわかりませんが、静かに心の動きを見届けるにはもう少し時間が掛かりそうです。

◆江紀行◆
福井県福井市
 - 北の庄城址・柴田公園
 - 柴田神社
 - 柴田勝家像