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琵琶湖水物語

2009年6月 08日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

日本一の大きさを誇る琵琶湖は400万年という長い起源をもっています。その琵琶湖に注ぎ込む川の一つである針江大川の河口にはギンブナなどがとれる豊かな漁場が広がっています。

その河口から遡ったところにある針江の集落では、ほとんどの家庭で家の中に壷池があります。この水場は川端と呼ばれ、水路から流れてくる部分と地下24メートルからわき上がってくる水「生水」を貯めた部分から成り立っています。それぞれの家に適合した川端があり、年間を通じて水温は13度前後に保たれています。

川端の起源ははるか弥生時代まで遡るほどの歴史をもっていて、家庭から出た水が水路へと続いていて、徐々に大きな川になりそれが針江大川になっています。その水量は1日に3500トンにもなるほど水量が豊富で、家庭の軒下から湧く水が琵琶湖の水源の一つになっているのです。

人々の生活はこの川端に深く根付いており、朝起きてからの洗顔、洗い物も川端で行います。気になる汚れですが、残飯や野菜くずは川端で飼われている鯉たちが食べてくれるので、いつも川端は清潔に保たれています。このように鯉が水を浄化してくれ、それが次の家の川端へと流れていきます。汚れた水が流れてこない代わりに、自分も汚れた水を出さないという水を通した思いやりや気遣いがここ針江にはあるのです。

鯉だけでなくアブラハヤ、タナゴ類などが川端にやってくるようになり、セタシジミや藻たちと共にさらに水が浄化されていきます。こうした生物のおかげで浄化される生物の浄化システムが形成されているのです。このシステムを見るために年間7000人を超える見学客がやってくるようになりました。かつての日本では当たり前のようにあったこのような光景が今では希少価値をもっているのです。

針江では、一年に一度の水路清掃の日があり、その日は子供たちも水路にいる魚たちをとってははしゃぎます。このような生活を見ていると心から自分もその中の一員として生活ができたらどんなにいいだろうと感じます。いまある状況が如何に恵まれているか、子供の頃には分からなかったものが大人になってからかけがえのない経験となって心の中に残り続けるんですよね。

針江に住む一人の猟師だった方はいいます。自分が都合のいいように掃除していたことによって自然に「自然を守る」ことにつながったと。昔の人にはエコという意識はなく、受け継がれてきた暮らしの中に、洗練された仕組みができあがっていて、そのものがエコなのです。この自然体の暮らしが今求められているものなのかもしれません。

【参考】
・素敵な宇宙船地球号 2009年6月7日
・針江水の郷委員会 http://www.geocities.jp/syouzu2007/index.htm

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太陽光電力の買取費用で負担増?!

2009年6月 06日 By: rainbow Category: 環境問題 1 Comment →

国や自治体からの補助金のおかげもあって、太陽光パネルを導入し発電する家庭が徐々に増えつつあります。太陽光発電システムを導入すると約180万円ほどするのですが、このうち国や自治体の補助金が約60万円ほどになり、残り120万円を電力会社へ電力を売ったり、自分のところで消費する分に充てたりして節約することにより、元をとっていくことになります。

これ自身は、非常にすばらしい施策であり金銭的余裕がある家庭は是非導入すべきだと思いますが、ここにきて少し雲行きの怪しい施策が経済産業省によって始まろうとしています。それは、家庭などが太陽光パネルで発電した電力を現在の2倍の単価で買い取らせようとするものです。これまで電力会社は家庭から1キロワットあたり24円程度で買い取っていたものを2倍にする方向で検討しているというのです。

これだけ聞くと、今まで以上に太陽光発電システムを導入しようとする家庭が増えてクリーンエネルギーの推進につながるし、すでに導入している人にとっては吉報だと思います。

ところが、この施策によって負担増になった電力会社がさらにその負担を求めるのは利用者です。標準的な世帯で月に数十円電力料金が上がるというのです。この施策に関して疑問を感じてしまうのはこの点にあります。始めにも申し上げたようにこの太陽光発電システムの初期導入費用は補助金はありつつも約180万円します。さらにある程度の効果を得るためにはそれなりの大きさのパネルが必要となるでしょう。全ての家庭でそのようなパネルを設置できるとは限りません。

この負担増を環境対策として協力すべきだとする考え方もあるでしょうが、このままでは納得しない人もいるでしょう。全ての人が参加することができるような仕組みを作ることによって誰もが恩恵を得ることができることが、環境問題への関心を高める最良の策なのではないでしょうか。

2009年中にこの施策を始めたいと経済産業省はいいますが、環境対策と市民の考え方の狭間になったとき、この施策の納得感、効果を最大化する方式を限られた中で検討すべきだと思います。

【参考】日本経済新聞 2009年6月6日


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摘草料理のヒミツ

2009年5月 31日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

日本文化の原点・京都。

その京都市左京区は花背に、摘草料理を出す宿「美山荘」があります。この美山荘は予約を取ることが非常に難しくすでに2年先まで予約がいっぱいなほど人気があります。かつてはお寺の宿坊だったそうで、携帯も通じない静寂の中にあります。

この美山荘で出す摘草料理とは、野山に生えている山菜を利用した料理のことで、人間が作った野菜では味わうことのできない美味しさと素朴さを感じることができるといいます。しかし美山荘の方によると、摘草と山菜採りは意味が違うといいます。山菜採りは生活の糧としているもので、摘草は日常生活の遊びから来ているものだと。野山の恩恵に楽しみながら接する自然と戯れる万葉以来の心が摘草料理の原点にあったのです。

主人自らが摘んできた山菜は、どれも太陽と豊かな台地が育んだもので、あく抜きなどがいらずにそのまま蒸して調理することができます。フランスで修行をつんだ主人によると料理のポイントは、以下の二つ。
・五感を楽しませること
・オリジナリティを出すこと
普通甘みを出すにはみりんや砂糖を利用しますが、煮出して甘みを作ることができるといいます。これまでの伝統を守りつつも、新しい摘草料理を模索し常にいいものを取り入れているのです。

美山荘で一年に使う山菜は100種類以上にも及びます。ネマガリダケ、ウド、ワラビ、コゴミ、イタドリ等、季節ごとに恵みが溢れていて、主人は小学校の帰りに塩をもって学校に行って帰りにそれで山菜を食べたそうです。その豊かさは秘密がありました。

日本海側の気候と太平洋側の気候が交差する花背は、その双方の植生が交じり豊かな生態系が形成されたのです。高さ30mにも及ぶ伏状台杉は通常日本海側にしかないのですがこの花背にあって、多くの植物を養う花脊の森の象徴ともいえる木になりました。

京都教育大学の田中里志准教授は、この花背の地質環境が非常に貴重なものだといいます。氷河期に作られた地質がそのまま残っていて、花脊の山にある水を通しにくいチャート層がうねっているため、雪や雨によって水がたまり抜群の保水力を発揮しているというのです。

そんな摘草料理における昔から言い伝えられてきた哲学、それは自然への敬意・感謝だと主人は語ります。この地域のことを知る、花背には何があって、どんなものが食べられていて、どんな文化、気候、風土なのか、それを材料にして料理を考えることによって花背における真の摘草料理が生まれるのです。

美山荘で出る摘草料理の一部を紹介します。
・フキノトウの白和え
・カタクリの根
・ネマガリダケのコノコ焼き
・筍の塩がま焼き
・ネマガリダケとわらびの牛鍋
・フキノトウ御飯
・アマゴの木の芽焼き

四季折々の風の感じなど、山全体の事を考えながら料理をするのが摘草料理であり自然と山の恵みは一体化しているのです。今の時代は人が育てた食材が多い中、ここでは自然の野に生きる食材ばかり。それが利用客がリピーターになる理由の一つなのです。

しかし、それはかつての日本では当たり前だったものばかり。忘れかけていた懐かしい五感を思い出すことができる数少ない場所に、人はかえっていくものなのかもしれません。この味をずっと残し続け、日本人であることの喜びを感じていたいものですね。

【参考】素敵な宇宙船地球号 2009年5月31日


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