次世代送電網スマートグリッドの威力
自分たちの身の回りでも発電が非常に身近な存在になりつつあります。それを可能にしたのがなんといっても太陽光発電ではないでしょうか。家庭に取り付けることによって補助金も出るし、発電を行いあまった電力を売ることもできることからお得感が広まり徐々に普及しつつあります。
そんな電力供給の現場では、今ひとつの新しい技術が期待されていることをご存じでしょうか。その名も「スマートグリッド」。名前を聞いただけではよく分からないのですが、電力の流れを供給と需要それぞれの立場から制御する次世代送電網なんです。
まず電力の供給者としては、原子力発電や火力発電といった既存の発電設備の他に、風力発電や各家庭からの太陽光発電、それを蓄積しておくための蓄電池などがあります。普段風力発電や太陽光発電によって得たエネルギーは蓄電池に貯めておき、夏場など電力の需要が高まってくると蓄電池に充電していた電力を放出し供給します。全体の需要と供給をシステムとして制御することによって、効率的に電力消費を行うことができるようになるため、CO2削減効果も高いとされています。
それだけではありません。このスマートグリッドは電力の供給だけでなく、需要つまり自分たちの家庭にまでその制御は及ぶ構想なのです。電力需要が一定水準を超えると自動的に家庭のエアコンの設定温度を上げることもできるようになるというのですから驚きます。そのためには、専用に機器を用意する必要があるのですが、エアコンの温度をいきなり上げられたら少し悲しい気分になってしまうので、できたら自主的にやりたいとは思うのですが、企業や工場など法人ユーザからの利用が見込めるでしょう。
このスマートグリッドについては、本格的に検討が始まったばかりの段階ではありますが、利用者がお得に電力を使うことができて、さらに環境にも優しい効率的なエネルギー社会を作ることができるのなら、スマートグリッドは環境対策の救世主となるかもしれません。
【参考】日本経済新聞 2009年5月25日
次世代環境ビジネス―成長を導き出す7つの戦略 (2009/01) 尾崎 弘之 |