あしたまにあーな

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軍師官兵衛 第36回「試練の新天地」

2014年9月 07日 By: rainbow Category: 2014年_軍師官兵衛 No Comments →

これまで苦楽をともに戦ってきた高山右近の話から始まります。かつて信長に従うために結果的には荒木村重を裏切る形となってしまった右近は、そのことがずっとひっかかっていて、同じような事はしないということから、今回は信仰に生きることを決意します。秀吉にそのことを伝えた右近は追放処分となってしまい、ナレーションのなかで最期はルソン島で生涯を閉じたと伝えられます。

人間にとってなにが成功なのか難しいところではありますが、右近にとっては信仰の中で自分の考えを誰からも制約を受けない場所で全うすることができたことから、幸せな生涯だったのではないでしょうか。自分の中で信教を持つことを許されたことから、官兵衛も表だってこれからキリシタン大名として何らかの動きをすることもなくなるとは思いますが、そこには右近の思いが残されていくのだと思います。

もう一つの大きい話が宇都宮鎮房関連でしょう。秀吉につく代わりに本領安堵と言われたにも関わらず、結果的には伊予へ配置転換となってしまうのですが、その間を取り持った官兵衛が新たな領主となってしまったことによって、鎮房は完全に裏切られたと考えてしまいます。その結果、鎮房と黒田家との泥沼の戦いが始まってしまうことになります。この辺りは、武士の世の中にあって主君に忠誠を誓わないといけない時代なのは分かりつつも、宇都宮鎮房に同情してしまいます。

次回もこの鎮房との激しい戦が繰り広げられることになりそうですが、どのように官兵衛が秀吉との関係を維持しながら鎮房と対峙していくのか楽しみにしたいと思います。

◆官兵衛紀行◆
福岡県行橋市
 - 馬ヶ岳城跡

福岡県築上町
 - 法然寺

軍師官兵衛 第35回「秀吉のたくらみ」

2014年8月 31日 By: rainbow Category: 2014年_軍師官兵衛 No Comments →

早くも物語は九州平定以降の激動に向けたプロローグとなっていました。その第1弾として描かれているのが宇都宮鎮房。村田雄浩さんが演じていることからもただならぬ雰囲気を醸し出しながら官兵衛と本領安堵を巡って激論を交わします。ここまで念を押されて安堵すると言われるシーンを描いていることで、この部分で後に問題になるのだなと感じます。本当はもっと何らかの書面があったのかもしれませんが、こういった口約束だけで重大な内容を取り決めてしまうというのがすごいなと思います。

二つ目はバテレン追放令です。外国人宣教師が口を滑らせ、秀吉が不安がるようなことを話し始めてしまったことによって、秀吉はキリスト教をこのままにしていてはいけないと考え、右近に「信心を捨てよ」という書状を送ります。官兵衛は激しく秀吉に説得するのですが、この時点でキリスト教徒であったこともあり完全に聞く耳を持ってもらえません。この状況が、きっと官兵衛と秀吉のほころびを示すものなのでしょう。これからもっともっとこれが広がっていくとき、官兵衛はどのように世を渡っていくのでしょうか。

石田三成が官兵衛に変わって徐々に勢力を強めているのはある意味仕方がないことだと思います。それは戦乱の世の中が終わり、軍師という役割から政治という要素が高まっていて、それを支える人物は官兵衛ではなく三成なのですから。そういう意味でも官兵衛や長政が今後新天地でどのように振る舞っていくのか、あまり知識もないので新鮮な目で見ていきたいと思います。

◆官兵衛紀行◆
福岡県築上町
 - 城井ノ上城跡

軍師官兵衛 第33回「傷だらけの魂」

2014年8月 18日 By: rainbow Category: 2014年_軍師官兵衛 No Comments →

最近のドラマを見ていて感じる事があるのですが、今回のドラマは歴史上の大きな出来事を大きく取り扱うのではなくさらりと流して、官兵衛にまつわる人物を中心にじっくりと描いているように見えます。それは評価を二分してしまうリスクも持っていて、「よくわからない」「つまらない」というネガティブな感想を生み出す可能性もあれば、「今まで知らない世界を見ることができた」「新鮮である」といったポジティブな要素もあるでしょう。前半の軍師官兵衛はまさに前者であったのだと思いますが、最近の評価を見てみると徐々に後者に流れていっているのではないでしょうか。

そんなことを感じたのは今回道薫(村重)の心の揺れ動きを、これでもかというくらいじっくりと描いていたことにあります。官兵衛の家で働いていた家来が村重の子供を預かっており、その子供は後の岩佐又兵衛であり天下に名をとどろかす絵師になったといいます。この子が村重と実際に今回のように会ったかどうかはわかりませんが、感動的な場面となりました。千利休が言っていた道薫の心の迷いは次第に消え、また生きて行こうという希望を持って、さらに子供も応援しながら姿を消していきます。この描写は見事で、見るものを惹きつけたのではないでしょうか。

これまで荒木村重と黒田官兵衛の関係は有岡城の幽閉によって最悪であるという考え方が一般的でしたが、このドラマを見て思うのは、決してそうとは言い切れないという希望でした。史実通りではないかもしれませんが、見るものにそんな希望を持たせてくれるのは素敵なことだと思います。

秀吉と官兵衛の関係は徐々に冷たい空気が流れ始めていくことになります。石田三成のような従順な家臣の方が天下人としては都合が良くなるのは当たり前で、官兵衛が冷遇されるようになるのは時間の問題でしょう。そんな状況の中で官兵衛はキリシタンの洗礼を受けることになります。官兵衛の心は何を求めているのか、その答えを探しつつ次回を楽しみにしたいと思います。

◆官兵衛紀行◆
大阪府大阪市
 - 大坂城跡(大阪城公園)