ファストフードの接客に満足していますか?
お手軽に利用することができるファストフードは、自分たちの食生活の中でなくてはならないものになりました。ある日突然どうしても食べたくなるという人は多いのではないでしょうか。最近ではクーポン券を携帯などに配信してくれるチェーン店もあり、定期的にお店側に意識させられているという要因が裏にはあるのかもしれません。
そんなファストフードですが、多くの場合その接客はマニュアル化されていて、トレーニングの段階で色々と先輩や社員から教え込まれます。そういった言葉について内容をじっくりと聞くことがなくなってきたような気がします。「いらっしゃいませ」というはじめの言葉に、お店からの感謝を感じる人はいないでしょうし、「ありがとうございました」という言葉に、同じく感謝を感じることもないでしょう。
また、これから選ぼうとする際に「店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」と間髪入れずに聞かれたり、「・・・でよろしかったでしょうか?」という不自然な質問があったりしても、客側はそういうものだと思って感情を失っているのです。これではまるで自動販売機と同じです。さらに悪いことに、なにか追加で買わせようとするところもあることから、ファストフードで接客に対して不満に思う人が多くても無理はないでしょう。
では、人はどのようなときにうれしさや感動を得ることができるのでしょうか。それは「思わぬ意外性」にあります。自分が想像していたサービスの量が10だとして、実際のサービスの量が10であれば人は「満足」します。ところが、実際のサービスの量が10を大きく上回り20あったとすれば、人は「感動」を覚えるのです。
画一的なマニュアル通りのサービスだと思い込んでいて、実際にその通りだと満足で、意外で素敵なサービスをさらに受けると、感動しそのお店のファンになります。例えば、手にたくさん荷物を持っている人がいれば、せめて出口や席まで商品をお持ちする、待たせたお客さまには直接手渡しして謝るといったちょっとした気配り。これはマニュアルには書けないものですが、それを受け取ったお客様はちょっとした感動とそのお店への愛着を感じます。
直接飲食店のお話ではありませんが、先日小田急線で通勤している際にいつもの車内アナウンスと共に「この先もどうぞ気をつけて行ってらっしゃいませ」といった言葉が付け加えられていて、ほんの少し嬉しくなりました。色々な立場の方が乗っている電車のなかで、みんなが少しずつあたたかくなれる言葉だと思います。
奇をてらったものではなく、こうしたほんの少しの気遣いが、大きな信頼につながるのではないでしょうか。今求められるのは、画一的なサービスではなく、一人一人に目を向けた心がつながるサービスなのです。
カスタマー・マニア!―世界最大のファストフード企業を再生させた顧客サービス戦略 (2010/03/05) ケン・ブランチャード、ジム・バラード 他 |
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