海水浴発祥の地は鎌倉・七里ヶ浜?
夏の足音が聞こえてくる頃、早く海に行きたくてうずうずしている人も多いのではないでしょうか。その海水浴に関して効能や方法、欧州での現況などが書かれた日本最古の文献が発見されました。その文献は適塾で知られる緒方洪庵の次男で、陸軍軍医監を務めた緒方惟準たちによって1874年に書かれたものになります。
その記事は、「海水浴」という題名で「海水だけでなく、波動や新鮮な空気、遊泳などの運動によって効果を現す」とし、海水浴が慢性皮膚病、神経病など多くの疾患に効能があるとしています。後に緒方惟準が知人にこの記事を以下のように紹介しています。「明治7年に相州七里ヶ浜で海水浴を行い、西洋海水浴法と効能を朝野新聞に寄稿した。以来、海水浴場が各地に設けられるようになった」
自分たちはあまり普段海水浴を健康のためというふうにあまり考えることはないと思いますが、その当時海水浴に馴染みのない人々に「海水浴っていいな」と思わせるには、こういった効能についてしっかりと訴求しないといけなかったのかもしれません。
しかし、これだけでは七里ヶ浜が発祥の地という根拠には乏しいという印象ですが、記事にはさらに続きがあります。「海水浴の効能を知る人はとても少ない。私たちは論文を書くことはもちろん、これを手始めに海水浴を広めることにした。(中略)海水浴場を設け、病気を治し、健康を守ることこそ私たちの願いだ」とあるのです。
これまで明治10年代に海水浴場が設けられた大磯町や岡山県倉敷市などが海水浴発祥の地といわれてきたのですが、上記のような参考文献から鎌倉・七里ヶ浜が発祥の地として名乗りをあげてもよさそうです。
鎌倉には多くの浜があり、その中で七里ヶ浜という場所をなぜ選んだのか、詳しいことは分かりませんが、サーファーで賑わう七里ヶ浜が明治時代から人々に納涼を提供していたかと思うと、なんとなく感慨深いものがあります。
【参考】YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100627-OYT1T00028.htm
地図で歩く鎌倉江ノ電 (JTBのMOOK) (2009/05/09) 不明 |
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