温暖化がゴリラを絶滅させる
地球温暖化に向けた取り組みがCOP15を始めとして世界的に進められていますが、そんな中でも少しずつ自分たちの見えないところである動物の絶滅に向けた死のロードが作られていることが最新の研究で明らかになったのです。その動物とは動物園でおなじみのゴリラです。
イギリス・ボーンマス大学の生物人類学者であるアマンダ・コースチェンスさんによると、ゴリラが日常食べている植物の性質が地球温暖化によって変化し、食べても消化されなくなってしまい結果として絶滅に至ってしまうというシナリオを導き出し、世界中に警告を発信しているのです。
一般に気温の高い環境で育った植物の葉は繊維質が多く、消化しやすいタンパク質が少ないので、その葉を食べる動物は消化に長い時間がかかるといわれています。また暑い状態では体温が上昇しすぎるのを防ぐために日陰で長時間過ごさなくてはならなくなってしまいます。このような状況になると、普段ゴリラたちがしている餌を探したり縄張りの見張りなどが出来なくなってしまい、行動が鈍りエサの栄養分が減ってきてしまうことから最終的には絶滅に至ってしまうと推測しています。
これらの推測は、20世紀半ばまでに年間気温が摂氏2度上昇すると予測されているモデルから考えたものですが、現状自分たちが手をこまねいて何も有効な手段を講じることができない場合にはあながち見当はずれの数字でもないと考えられています。
もちろん、これらの動物たちの環境適応能力によって食べるものを変化させても底から柔軟に栄養分を吸収し、生き延びるために生活パターンを変化させることによって絶滅を回避する可能性も大いにあると指摘する学者も多く存在しますが、確かなことは誰にも分からないのが現状なのです。
カナダ・モントリオールのマギル大学霊長類生態学者コリン・チャップマンさんによると、マウンテンゴリラは特に危機的状況にあると指摘しています。標高の高い地域に生息しているため新鮮な果実にほとんどありつけず、移動する当てもなくただ山頂に座しているだけになるのではないだろうかと考えています。
生きていくために高度に適応能力を備えた人間を中心に自分たちの生活の存続のみを考えていてはこのような問題に目を向けることはないでしょう。しかし、人間よりももっと多くの数がいる動物や植物が地球を支えているという事実を見つめ直したとき、環境問題に対する人間同士の利権争い等がすごくちっぽけな存在に思えてきます。自然にみんなか同じ方向を向けるような流れが今必要なのかもしれません。ゴリラの悲鳴が今自分たちに警告しているのです。
【参考】ナショナルジオグラフィック
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/
温暖化と生物多様性 (2008/04/29) 不明 |
◆関連する記事◆