セアカゴケグモの天敵発見
セアカゴケグモという熱帯に生息しているはずの強い毒性のあるクモが日本で始めて発見されたのは平成7年のことでした。大阪府高石市で発見され、それ以降排水溝など比較的暖かいところで繁殖を繰り返し、その生息範囲を着実に北へ進めつつあります。
被害報告も年々増加し、平成20年度には9件にまで達しています。神経毒をもっていて、かまれた部分が腫れ、痛みが次第に広がり、呼吸困難など全身症状が表れることもあり、海外では死亡例もある恐ろしいクモなのです。道路の側溝などは小さい子供も手を突っ込んだりして遊ぶことも多いので、気をつけないといけません。
そのセアカゴケグモなんですが、これまで国内では天敵がいないとされてきました。天敵がいないということは繁殖し放題ということになってしまうのですが、この度大阪市立自然史博物館の調査によって、セアカゴケグモを食べるものがいることが分かったそうです。それがクモバチの一種の「マエアカクモバチ」で、堺市堺区内や大阪府豊中市内の石垣のすき間や公園の地面などで、このハチが針で刺して麻痺させたセアカゴケクモをアゴでくわえ引きずっている姿が観察されたといいます。
大阪市立自然史博物館学芸員の方によると、このマエアカクモバチは背中が赤さび色をしている点が特徴で、これまで別のクモを食べる姿は観察されていたのですが、入手しやすくなったセアカゴケグモも食べ始めたのではないかと説明しています。
一方で、気になるのがこのマエアカクモバチというハチ自体が在来種で、逆にこのハチが増えることによる弊害がないのかということになります。首都大学東京の清水晃助教によると、マエアカクモバチは国内でも比較的まれなハチで、生態があまりよく知られていないそうで、毒グモの駆除に使えるほど増殖させることができるか疑問の余地があると話しています。人工的に繁殖させなければセアカゴケグモを駆除することができないのであれば、なにか本末転倒なような気がします。
なにか在来種で、セアカゴケグモを食べてくれるような生物がいるといいのですが、それまでは自分たちで自己防衛をするのがまずは第一だと思います。それと共に、セアカゴケグモに噛まれたときにどのように対処すればいいのか、適切な薬はあるのかなどを広くアナウンスすることが今、求められているのではないでしょうか。
【参考】iza!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/science/250884/
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