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「空飛ぶバラの秘密」巨大花産業の光と影

2008/05/11 Category: 環境問題

花の女王であるバラの魅力は、華やかさとその香り。

そのバラは、最近2割以上が外国から輸入されていて、その一つにアフリカのケニア産があるのです。

実はケニアの高原気候はバラ栽培の最適地なのです。軽石を多く含み保水能力が優れている土がナイバシャ湖周辺にあるため水の問題もなく、1年の平均気温が20度と温暖といいことづくめです。

標高2000メートルに位置するナイバシャ湖周辺は、湖の水を栽培に利用でき、バラ栽培農場が急速に拡大しています。今やケニア一のバラ生産量を誇ります。

160社もの企業が集まる花企業があり、ヨーロッパや日本などに輸出されています。輸出に数日かかるため、まだつぼみの状態で摘まれるのです。

日本まで検疫を含めて4日、10000kmの道のり。途中アラブ首長国のドバイを中継します。このように関税がかからないこの国をうまく利用し、日本へ空輸されるのです。

地産地消が叫ばれる中、遠くから運ぶことに問題はないのでしょうか。岐阜大学の教授によると、暖房などがかからないため、仮に空輸してもCO2排出量は少なくて済むそうです。

ところが、ナイバシャ湖の水の過剰取水や、農薬、殺虫剤を含んだ排水は、湖の環境を疲弊させてしまいました。2006年世界水フォーラムにて、この花農園が問題になりました。湖の生態系も変わってしまったのです。透明だった水も、多くの微生物の発生などにより濁ってしまいました。パピルスの浄化作用も追いつかないほどの汚染状況になってしまっています。

原因は、花農園です。このビジネスに従事しようと、30年で40倍もの人たちが集まり、生活排水が湖に流されてしまいました。さらに、過剰取水により湖の水位も下がってしまい、多くのパピルスも枯れてしまったため、余計汚染が進むという負のスパイラルに陥ってしまっているのです。

問題を乗り越えるためケニアでは水循環システムが導入されました。これは、取水した水を肥料と混ぜ、各温室に配ります。そこから排出された排液を排液貯水池に貯め、それをバラ栽培に再利用すという循環を実現しています。

また、日本にもエコなバラ作りに取り組む生産者もいます。それは、愛知県一宮市のバラ農家 三輪さん。

彼の目指すのは日本ならではのバラつくりです。MPSと呼ばれる花のエコマークを取得し、輸入物にはない、香りを届ける付加価値を付けています。さらに赤と青のLEDを使って光合成、成長促進、害虫駆除を実現しようと必死でがんばっています。

日本から遙か離れたケニアの高原。

アフリカの花を見つけたらケニアの湖を思い浮かべて下さい。

そこに苦しむ人たちと、必死に戦っている人たちが居るということを頭の片隅に入れておくと、バラの色も少し違って見えるかもしれません。

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