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エバーグレーズ フロリダ大湿原の誤算

2008/03/02 Category: 環境問題

エバーグレーズ

アメリカ・フロリダ半島の南端に広がるエバーグレーズ国立公園。永遠の湿地帯と呼ばれるとおり、豊富な地下水と暖かい気候に恵まれたこの楽園には、様々な生き物たちが暮らしている世界遺産の一つです。

エバーグレーズは、フロリダ中央部にあるオキチョビー湖が水源です。エバーグレーズ自体が、オキチョビー湖から流れる大きな大河と考えられるほど大きな流域を持っていて、その周辺に住む動植物の命の源となっています。

しかし今、湿地帯の水が少なくなっていき、その結果としてアリゲーターが減り始めているという問題が生じ始めています。その他、マナティもかつては1万頭以上いたにも関わらず、1000頭にまで激減してしまっています。その結果ついに1993年、エバーグレーズはユネスコから世界危機遺産に指定されてしまいます。

さらに、27年前にエバーグレーズを横断するようにできた国道75号線。これによって動物たちの住み処が南北で分断されてしまいました。車との接触事故も後を絶ちません。このように生息域が分断されたことで、フロリダパンサーが絶滅の危機に瀕しています。20世紀初め2000頭以上いたにも関わらず、今は70頭だけ。さらに先天的に異常を持った個体が多くなってしまっています。

これに対して、国道の下に25本のトンネルを作って動物たちが通れるようにした結果、徐々に効果が出てきました。少しずつ自然に配慮する対応が取られ始めています。

道路だけでなく、エバーグレーズには近年もうひとつ大きな問題が生じています。それが、人工的に張り巡らされた水路。これは南フロリダ水管理局が建設したもので、ハリケーンがくる度にオキチョビー湖が氾濫してしまうことに対して、それを防ぐために水路を作ったものです。

しかし、それがマナティに影響を及ぼしてしまっています。赤潮が大発生し、それによって食中毒をおこしてしまう現象が報告されています。

原因は、人口増加とそれに伴う農地の拡大による汚染物質の海への流出でした。今までは汚染された水は、湿地帯の植物が浄化していましたが、水路ができたことで直接汚染物質が海に流れ出てしまうことによって赤潮が大発生することになってしまったのです。

このような、人間の営みにによって被害を受けてしまったエバーグレーズに対して、国家をあげてエバーグレーズ復元法を成立させ、実に36年間で78億ドルもの大規模な復元を始めました。これによって1500ヘクタールの湿地が復元されたのです。その結果、危機遺産登録からも消えました。

このままプロジェクトが進んでいくかのように見えたのですが、同時多発テロによって、エバーグレーズの復興計画に大きな影を落としていて、復興計画がストップされてしまっているのです。一度世界危機遺産から外れてしまうと、再登録は難しいのです。

一度壊してしまったものを、取り戻すのはとても難しいと言うことをエバーグレーズの自然や、マナティたちが教えてくれているのかもしれません。

湿地というのは、実に多くの恵みを自分たちに与えてくれる大切な自然です。雨を蓄えたり、浄化したり。それを釧路湿原に行った際に、ネイチャーガイドの方に教えてもらいました。しかし、自分たちの経済活動が全てにおいて優先され、しっぺ返しを食らうまで分からないんですよね。悲しいことですが、既に起こってしまっている問題を反例として世界的に湿地保護に向けた取り組みを行っていかなくてはならないと感じました。




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