エアーズロックへの登山禁止の意味
3年前の夏休み、子供がいない最後の夏を奥さんと2人で行った旅行先はオーストラリアでした。ケアンズ、エアーズロック、シドニーと3都市を渡り歩いた旅行の中で最も印象深かったのがエアーズロックです。
エアーズロック空港へ向かう飛行機から、大平原の中ぽつんと出っ張った一枚岩が見えてくると、やがて到着です。エアーズロックはウルル・カタジュタ国立公園のなかにあり、ウルルとも呼ばれています。朝早くに日の出がウルルを照らす姿を鑑賞した後登山の開始です。ひたすら鎖しかない急な崖を登り、奥さんと2人で頂上から眺めた世界は本当に格別なものとなりました。
そんなエアーズロックへの登山が早ければ2011年10月から全面禁止することをオーストラリア国立公園当局が発表しました。このニュースを聞いたとき、真っ先に感じたのは「確かに、その通りだな」ということでした。実際に登っておいて言うのは申し訳ないのですが、登山口には数カ国語で「できれば登らないで欲しい。ここは私たちの聖地だから」と先住民であるアボリジニからのメッセージが書かれています。
彼らにとってウルルは聖地なのです。周辺には多くの壁画が描かれており、彼らが儀式等でいかにウルルを大切に思ってきたのかをうかがい知ることができます。その大切な場所を外部の人が土足で踏み入れる姿を見るのは見るに忍びなかったのでしょう。申し訳ないとは思いつつも、ここまで来たのだからという好奇心で自分たちは登ってしまいましたが。
さらに、アボリジニが心を痛めているのが、この地で滑落事故にとって命を落とす人までいるということと、ゴミを散らかして帰る観光客の傍若無人な姿だといいます。ゴミの問題などは完全に自分たち観光客のモラルの問題といえるでしょう。自分たちが大切に思っている場所で他人に同じようなことをされたら、怒りがこみ上げてくるでしょう。
なんとかアボリジニたちの聖地を汚さずに、壮大な風景を楽しむことができる方策はないものか今こそ知恵の出し時だと思います。できれば、子供にもウルルの上から360度の地平線を見せてあげたいし、自分たちももう一度見てみたい、それを聖地を守りながら互いに歩み寄る方法はきっとどこかにあるはずなのです。
【参考】YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090717-OYT1T00869.htm
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