回文の魅力
たけやぶやけた(竹藪焼けた)
てつだつて(手伝って)
てつだうよ なんどもどんなようだつて(手伝うよ どんな用だって)
前から読んでも後ろから読んでも同じという文のことを回文といいます。トマトや八百屋というようにすごく短いものから始まり、長くなっていってそれがきちんとした文章になっている回文を目にすると、感動すら覚えます。
そんな回文は元々中国を起源とし、漢詩の形をした回文が日本に伝来してやがて仮名を利用した回文が日本独自のものとして作られるようになっていったといわれています。上野富美夫さんの「回文ことば遊び辞典」によると、平安時代に創られた「隅の間の御簾(すみのまのみす)」というのが、恐らく最も古いものだとしています。御簾とは部屋と部屋の間を仕切るための家具のことです。
また、回文を使った和歌もありその最古のものとして藤原清輔が1120年代に詠んだ次の和歌が「奥義抄」にのっています。
「むら草に草の名はもしそなはらば、なそしも花の咲くに咲くらむ」
それから約900年の歳月をこえ、現代に生きる自分たちもまた回文を見ると何となく心動かされるのは、日本人としての心がそうさせているからかもしれません。
そんな回文の例をいくつか紹介したいと思います。
・新幹線沿線監視(シンカンセンエンセンカンシ)
→重要な警備でもしているのでしょうか。
・うかつにダムをひく、国費を無駄に使う(ウカツニダムヲヒクコクヒヲムダニツカウ)
→何か今の状況を風刺しているかのような回文です。かなりタイムリーです。
・イカのダンスは済んだのかい? (イカノダンスハスンダノカイ)
→予想するタコが有名ですが、ダンスするイカがいてもいいと思います。
・なんて躾いい子いいケツしてんな (ナンテシツケイイコイイケツシテンナ)
→途中まではいいのですが、途中から躾がなっていないことがわかります。
・スマートなトーマス (スマートなトーマス)
→トーマスってスマートなんですかね?確かに手のひらサイズですが。
・猪苗代湖に殺しはない (イナワシロコニコロシワナイ)
→十津川警部が渋い顔で湖畔で言いそうです。
・冷凍トイレ (レイトウトイレ)
→冬場は冷たくて座れないでしょうね。便座ヒーターは禁物です。
このように回文は言葉遊びにとどまらず、驚きとなんだか嬉しい気持ちを読み手に伝えることができるすばらしい表現方法のひとつだと思います。なかなか自分で作れそうで作れないのですが、3文字から5文字くらいからはじめ、その単語をつなげて物語ができたら面白そうですね。
【参考】
・exciteニュース http://www.excite.co.jp/News/bit/E1289494707359.html
・ふき出しのレトリック http://members3.jcom.home.ne.jp/balloon_rhetoric/
・回文の部屋 http://www.sutv.zaq.ne.jp/shirokuma/kaibun.html
ピタゴラスイッチ こたつたこDVDブック (#名称無し) (2010/04/06) ピタゴラスイッチこたつたこ制作委員会 |
回文の国へようこそ―てのひら絵本 (中公文庫―てのひら絵本) (2003/04/24) 坂崎 千春 |
◆関連する記事◆