あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 最終回「希望」

2011年11月 27日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

いよいよ最終回。まさか7時半からやらないだろうなと思ってはらはらしていたのですが、後ろ倒ししてくれたので助かりました。今まで難題だったものがさくさくと決まっていく様子は、ものすごくハイスピードで見ていた気分にさせられます。それが時を重ねることを全く感じず、若いままの上野樹里さんによって演じられるのですから、なんとなく不思議な気持ちになってしまうのも無理はないでしょう。

まず、さくっと決まってしまったものとして、世継ぎ問題が挙げられます。前回口紅問題に端を発した事件は、親子の絆を深めるという結果になり、そして今回のはじめに竹千代の世継ぎと決まります。父親を恨んでいた千も「父親のような旦那だといいな」と言いながら嫁いでいきます。

波乱の種になるかと思われた秀忠の隠し子問題についても、江が自分は狭い範囲の中でしか見ていなかったと反省したことによって、隠し子である幸松は江戸城内で育てられることになり、急速に解決に向かいます。のちの保科正之である事実と、このことをきっかけにして大奥を築いていったという事実が自分の中では新発見だったという収穫はあるものの、このようなすばらしい功績をさっくりと終わらせてしまっていいのだろうかと不思議に思ってしまいます。

江は、元服して家光になった息子から父親がやっていることの意味を教えてもらい、秩序を守るために厳しい心持ちを学ぶことになります。それは、本多正信が秀忠に残した言葉でもあったので、それを実行したことなのでしょう。ちなみにこの教えは家光にまで受け継がれていて、お家の取り壊しなどを家光の時代まで続けたといいます。その中には、国松から元服して忠長も含まれていたのかもしれません。気になって忠長の今後について調べてみると自害するという結末が若いうちにあることがわかります。このような「その後」について、もっと紹介してくれるのかなと思っていたのですが、あまりそういうこともなく終わってしまって少し残念な気がします。「そのとき歴史は動いた」と同じように見てはいけないのですね。

そして、すべてが太平の世の中になった後、相変わらず若い向井理さんと上野樹里さんは、普通にデートをしているような雰囲気で草原で戯れ、これまでの時代について振り返ります。今までの大河ドラマでは最後主人公が亡くなるまでを演じるのですが、今回はまだまだ続きそうな勢い。秀忠は江は「そなたは希望じゃ」と語ります。同じようなことを昔結婚した後に話していたような気がしますが、今はそれとはまた違った希望があるのでしょう。鈴木保奈美さんのナレーションにかぶせ、江が草原を走り去るシーンで終了します。

自分としては、大奥を創設しみんなが幸せになって暮らせる場所など、もっと江がやった功績について色々知りたいと思ったのですが、このあたりは何となくご紹介といったレベルで終わってしまっています。以前、茶々の恋愛話に4回ほどかけてやっていたのを振り返ってみると、物語の進行配分をもう少し考えても良かったのではないかと思います。

浅井三姉妹は、その強い絆によって太平の世の中に大きく貢献したという最後の言葉は、なんだか胸に響くものがありました。そういう意味で、今回の大河ドラマは江という一人の人物にフォーカスするというよりも、浅井三姉妹の物語だったと考えることができるのではないでしょうか。そう考えると、1年という短いスパンの中ですべてを表現するのは難しいのは当たり前のことで、歴史的なところは早送りせざるをえなかったのかもしれません。評価は色々と分かれますが、今まであまり存在を知らなかった「江」という人物について、知ることができたのは1年間見てきた自分の中の成果といえると思っています。

◆江紀行◆
東京都港区
 - 増上寺
 - 徳川将軍家墓所
 - 建長寺 仏殿
 - 唐門
 - 秀忠公 お江の方墓所

福井県小浜市
 - 常光寺
 - 常光院墓所
 
京都府京都市
 - 養源院
 - お市の方供養塔
 - 弁才天

江 -姫たちの戦国- 第45回「息子よ」

2011年11月 20日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

気がついたらあと2回を残すのみになってしまった江ですが、2回では大坂の陣の後の世界を十分に描くことはできないので、ネタを絞る必要があります。その一つが秀忠の後継者問題でした。前回の最後に竹千代の化粧問題を提起して、前振りはばっちり。今回のはじめもそのネタを十分に利用して追求していきます。

大方のブロガーの予想通り、これは竹千代が母を想う気持ちの裏返しになっていたことが判明し、このことにより今まで確執があった江と竹千代の間が急速に縮まり抱きしめ合う親子の構図になります。また、同時に秀忠との会話でも「自分に似ている」と言われ、母親のことを考えてこの先の世の中の平和を願っている様子が描かれます。

こうなってしまうと、いくら武道で優れて品行方正な国松といえども、かなうはずがありません。勝負はあったも同然でしょう。次回はきっと竹千代に軍配が上がる様子を描くはずです。これによって、思い切り喜ぶ乳母の福の様子も見ることができるはずなのですが、今のまま多少強引で同情を得にくいキャラクターだと損だと演出家の方は思ったのでしょう。今回、江と竹千代が抱きしめ合うシーンでは、部屋の外で静かに涙を流し、いいキャラであることを演出するのでした。これによって「福って意外といい人なんだね、次回から応援しよう」と思う人がどのくらいいるのかは定かではありませんが。

この竹千代との和解が「息子よ、パート1」だとすると、パート2は秀忠と家康の関係でしょう。もうずっと前からこの二人を結びつけようとして、そのたびにけんか別れしてしまう結果となってしまっていたのですが、今回は家康の最期が近づいているということもあり、涙ながらにお互い父と子供を思う気持ちを包み隠さずに話し合います。次の日はうってかわって、二人で薬を調合するなど仲むつまじい親子に変わりまくります。この変わりようになかなか付いていくことができずに、妙な現実離れ感を抱いてしまいました。

さらに気になるのは、家康のいる駿府城に江自らがやってくること。懐かしいですね、この江の神出鬼没状態。炭売りの格好をして千利休の家を訪れたのが過去のことのように思い出されます。やっぱり最後も、このように「本当に行ったのか?」と謎が深まる訪問をする江。演出の人としては、もはやこれが江という人なんだと結論づけているようです。行き過ぎた演出は、見る側にリアリティーを削いでしまうということを次回もしも演出の仕事があるようなら、改善していることを願ってやみません。

いよいよ次回は最終回。物語の主人公は江なのですから、江という人物の総大成を次回見ることができることを期待しています。

◆江紀行◆
静岡県静岡市
 - 駿府城 巽櫓
 - 東御門
 - 徳川家康像
 - 久能山
 - 神廟(家康の墓)
 - 久能山東照宮

江 -姫たちの戦国- 第44回「江戸城騒乱」

2011年11月 13日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

物語最大とも言える大坂の陣が終わり、この残り数回をどのように演出していくのかが気になるところでした。その全貌が今回明らかになります。江が亡くなるまでのメインテーマは跡継ぎ問題であり、自分が寵愛する国松と福が推薦する竹千代の一騎打ち。

至る所で、国松が勝っていることを示していて、おどおどするばかりの竹千代。今回の最後に竹千代が紅を塗っている場面を江は発見してしまい、何かが終わった雰囲気。視聴者を完全に国松の方が次期将軍にふさわしいと思わせようとしていることが明白な感じがします。これで、秀忠がさくっと竹千代を選んだのであれば、視聴者はどうしようもないもやもやにさいなまれることになるでしょう。そうなってしまうのではないかと心配でなりません。

その跡継ぎに目を向けるよりも、やはり前回のこの作品のなかではかなり良かったと思える内容を引きずっている秀忠の思いに目を向けていた方が、楽しいと感じてしまう自分がいます。秀忠は、自分の命によって淀と秀頼を討つことになります。そうすることによって江や千からは非難されることが分かっていても、そのときは何かの思いを抱え、決断を下したのです。

家康からは、この決断ができる息子をみて、実権を譲っても問題ないと判断できたのでしょう。青竹踏みをしながら本当に隠居の世界に入っていきます。後に福が跡継ぎを竹千代にするよう進言してほしいと願っても、もはや表舞台に登場することはありません。このあたりの徹底ぶりはさすが家康でしょう。

秀忠は、戦乱の世の中を終わらせ、太平の世の中をもたらす、血を流すのは自分で最後にするのだという強い意志を思っていました。その太平の世の中を作るには、豊臣家の面々を生かしておくことなどできなかったのです。それに気づいたのは、実権が自分に移ってからのことでした。ちょっと前まで豊臣家と共に共存共栄の世の中を模索していた秀忠ですが、自分が天下の決断を迫られるとそれは確かに甘いと感じたのかもしれません。このあたりの秀忠の思いを明確に知ることができたのが、今回の作品を見続けていた成果の一つだったと思います。

再び主人公であることが巡ってきた江ですが、自分の思い込みを姉の常高院に指摘されては、行動を律せられる展開。感情のおもむくままに暴走してしまいそうな江を止められるのは、もはや常高院しかいません。このあたりの人間関係と、女装に走ってしまった竹千代がどのように次期将軍になっていくのか、まったりとみていきたいと思います。

◆江紀行◆
東京都千代田区
 - 皇居東御苑(江戸城跡)
 - 桜田門
 - 天守台
 - 本丸跡
 - 二の丸庭園

東京都渋谷区
 - 金王八幡宮