自分の要求を通すための交渉術
他人に自分が思う通り動いてもらうということは非常に難しいことです。日常生活でも必ず誰かと関わり合いながら自分の気持ちを伝え、そしてお願いしなければならない場面はたくさんあります。
相手からみると、誰かにお願いをされたとき必ず警戒心をもつと思います。相手からお願いされたことを自分がやるとどうなるか、それをやって自分にメリットがあるか、など一瞬のうちに計算が働きます。これは自分と相手との人間関係ができていないほど高い壁となって立ちはだかるのです。
その高い壁を打ち破ってくるの訪問販売や電話での勧誘です。迷惑なものも多いのですが、彼らは警戒心をかいくぐって自分の要求を通すための交渉術をしっかりと持っているのです。それが、「foot in the door」と「door in the face」という技法です。
そこで今回はそんな交渉術について慶應義塾大学保健管理センターの大野裕教授のコメントをもとに考えてみたいと思います。
◆「foot in the door」
小さい要求から始めて、少しずつ自分の希望を受け入れるように仕向けていく方法です。訪問販売の例でいうと、家の中にいる人に声を掛けて少しでもドアを開けてもらえれば足を挟んでドアを閉められないようにして、少しずつ説明を勧めていって買ってもらうようにする方法になります。日常生活では、簡単なものをまずは頼んで、少しずつ難しいことをやってもらう、といった利用方法があります。
◆「door in the face」
まず受け入れられないような大きい希望を伝えて、その後に小さい希望を伝える方法です。後に出した提案が実際以上に小さく見えることから受け入れられやすいといわれています。日常生活では、とうてい受け入れてもらえないようなことを頼んで、拒否されたらすぐに簡単なことを頼んでみる、といった利用方法があります。
ビジネスの世界でもこれらは様々な場面で利用されます。「foot in the door」では、簡単な仕事からお願いしそれらの実績を積んだ上で大きな仕事を任せることによって自信と経験を積ませることができます。
また、「door in the face」は取引先との価格交渉などで利用します。まずは大きな額を提示し、相手の出方をうかがいます。渋るようなら頑張ったフリをしてがくっと値段を下げることによって、効果を発揮することができるのです。
訪問販売や電話での勧誘で利用されているのは、この方法が非常に有効であるからに他なりません。しかも彼らはプロなので明らかにそれと分かる方法では攻めてこないので、用心と警戒がどうしても必要となります。
自分がこれらを相手に対して利用する際には、まずは相手との信頼関係の構築が必須だと思います。十分に相手との関係ができたときに、このふたつの交渉術は十分に威力を発揮するのです。
【参考】日本経済新聞 2010/11/12
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