弱音を吐く勇気を
「私はこんなに弱い人間だったのでしょうか」
心の病にかかる人はこのような言葉を口にすることが多いといいます。でも決して弱いという訳ではなく、むしろ無理をしてでも頑張れる力があるので、疲れてしまうのです。周囲の期待や視線という目に見えないプレッシャーから自分は強くなくてはならないと考えすぎてしまうんですよね。
そう考えると、もっと弱音をはいて周囲を巻き込んでもいいのになと感じてしまいます。自分一人ではできることとできないことがあります。できないことはできないと話をする、その代わりできるところは全力で頑張るという風にメリハリをつけることによって結果的に他人からの評価はあがるのです。
疲れているのに、まだ頑張れると自分をだましていると、しばらくは頑張ることができるのですが、最終的に自分の中にあるエネルギーを使い果たしてしまいます。そうなると、それまで頑張っていた自分を見ようともしないで、エネルギーがなくなってしまった自分のことを情けないと責めるのだと慶應義塾大学保健管理センターの大野裕教授はいいます。
自分の中でうまくいかないことがあれば、友人や夫婦、恋人、先輩、上司、誰でもいいので打ち明けてみましょう。直接的なアドバイスだけでなく、ただ聞いてもらうだけでも自分の気持ちを整理することができ、解決の糸口を得ることができるのです。周囲の人も無理に励まそうとするのではなく、そういう人に対しては自然に聞いてあげることが大切なのです。
そろそろよく言われる五月病という時期がやってきます。これまでの希望に対してギャップが見えてくるこのとき、悩みをそのままにしておくと、その悩みが心にこびりついてとれなくなってしまいます。自分の感覚に素直に従うことができるといいですね。
【参考】日本経済新聞 2009年4月24日
弱音を吐いていいんだよ (2009/01/30) 岸 英光 |
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