あしたまにあーな

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平清盛 第25回「見果てぬ夢」

2012年6月 24日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

今回は少しばかり見所が多かったように感じます。というのも生きるのに必死であり、何とか自分の一族の誇りを取り戻し、自分たち中心の世の中にしようとする源氏の思いが強烈に全面に出たからでしょう。そのくらい今回の玉木宏さんの演技は迫真に迫っていたような気がします。

途中までは、信西と清盛を中心とした政治について描かれています。後白河上皇はほとんど登場せず塚地武雅と遊びまくっています。最後にはその藤原信頼に官位を与えてほしいという無茶ぶりまで登場する始末。後白河上皇ってそんな人物だったっけ?と思ってしまうほどの、ちょい役と以前の無邪気っぷりに、ちょっと引いてしまいます。

その信西の政をよく思っていないのが、二条天皇の親政派です。自分たちの要求が通らず、頭ごなしに言われてしまうというシーンを1度見せつけられただけなのですが、彼らはむかついたのでしょう。信西の首を取るように、義朝に話します。この辺りの展開がものすごく急なので、視聴者もなかなか付いていって、感情を移入することが難しかったのではないでしょうか。言っていることは、信西の方が正しいように思えますし、親政派の人たちがどのような国作りをしたいのかということまで知ることができないので、このように感じてしまうのは当たり前のことでしょう。

とにかくあっという間に、ヒートアップした親政派によって、義朝は動かされていくことになります。この結果として平治の乱に突入することになるのですが、もう少し双方の言い分を聞いてからでないと、次の展開でどっちが勝っても、それでどうなのか把握するのが難しいような気がします。次回の前半でもいいので、そのような描写があってくれることを期待したいと思います。

清盛と義朝のライバルの他に、今回目立った動きをしていたのが、頼朝です。清盛に酌をするのですが、そこでこぼしてしまい、それだけで「やはり一番強いのは平氏だ。お前のような弱いやつがいる源氏はダメダメ」とまで言われ、悔しさであふれた表情に。しかし、その後義朝の若い頃の話を聞いて、自分が清盛から激励されていることを知ります。この展開が先でどのように影響を及ぼすのか全く分からないのですが、自明な伏線が多いこのドラマにあって、このシーンも何らかの意味を持っているに違いありません。

さて次回はとうとう平治の乱。すでに信西には、「2年後には遣唐使を再開できるぞ」と将来の希望を告げるという死亡フラグが立っていますが、その最期の生き様をしっかりと見ていきたいと思います。

◆清盛紀行◆
広島県廿日市市
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平清盛 第24回「清盛の大一番」

2012年6月 17日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

今回はすでに過去の人になってしまった井浦新さん演じる崇徳上皇が讃岐に流される場面から始まります。いつもながらに憂いを感じさせる表情を浮かべていて、彼がそれ以外の表情したことがあるのを思い出せないほど、完全に似合っています。そんな崇徳上皇を見送るのが西行でした。歌をおくる西行に、崇徳上皇は涙を流すのですが、様々なところに登場する西行の不自然さが際立っていました。

そんな中、政治の世界の中心では、信西が確実に実権を握りそれをサポートする清盛という構図ができあがっていました。後に義朝が清盛に忠告するのですが、今は信西に利用されているだけで、いらなくなったら捨てられてしまうという不安は、清盛にもあったのだと思います。それでも、後に来るであろう武士の世の中を作り上げるために、自分の地位や財力などの地盤を固めるためには、必要不可欠な動作だったのです。

そのことについては、あまり多くを語ることをしない信西と清盛ですが、義朝にとっては実際に虐げられていると感じてしまうのは無理もないことでしょう。きっと信西としても何らかの思いがあったのだと思いますが、それが上手く伝わらなかったのか、それとも制御がうまくできなかったのかわかりませんが、今後は対立することになって行くのは、すごく自然なことだと思います。

義朝のつらさが本当に心苦しくて、なんだかお父さんの苦しみと同じような気がしてなりません。殿上人になっても、父親と同じように平氏に対して劣等感を感じながら生きる姿を見ると、改善したのかどうか分からなくなっていきます。今後は、活躍することになるのですが、それはもっともっと後の世界のこと。

それと比べて清盛の活躍は、どんどんエスカレートしていきます。手始めに太宰府に行って租税を多く集める仕事に取りかかります。この辺りの手法は、長男・重盛の結婚の際にもあったのですが、「いいから黙って従え」というもの。大宰府役人の長・原田種直に対しても自分についてくれば、いいようにしてあげると兎丸を使って半ば強引仲間に引き寄せます。原田種直も何が何だか分からないけど、この人に逆らってはまずいと感じたのか、それを受け入れた様子。この後、大宰大弐に清盛が任じされることになるので、結果的には逆らわなくてよかったということになります。

今は、源氏は義朝の冷遇や由良の病気など圧倒的に不利な状況で、王家でもがんばって得子さんが自分のもとに実権をもってこようと頑張っていますが、かつての権威もなくなんだか寂しい限り。信西と清盛の絶大なる力の世界はまだまだ続きそうです。こうなると、絶対にそれをよく思わない人が登場し、再び戦乱になっていくのです。そうさせないためには、封じ込めるだけの絶大なる力と権力、そして法律が必要になるのですが、それがどこまで整備されるのかが、次の戦乱の有無を決めることになりそうです。

清盛にとってのおもしろきこと、世をかえるという大きな野心は、本格化してきて物語としても魅力的になって来たのではないでしょうか。それとともに、視聴率が上がっていってくれると本人たちのモチベーションも上がって、視聴者としてはいい演技を見ることができて一石二鳥なのですが、そううまくいってくれるかどうか、視聴率とともに次回を楽しみにしたいと思います。

◆清盛紀行◆
福岡県太宰府市
 - 太宰府政庁跡
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 - 平重盛の墓

平清盛 第23回「叔父を斬る」

2012年6月 10日 By: rainbow Category: 2012年_平清盛 No Comments →

前回から引き続き、保元の乱の戦後処理についてで、内容的には前回で既に分かっていたとおりになりました。大切なのはその「瞬間」をどのように演出していくのかということに注目していました。

まず始まりは、忠正と為義両方がどのように過ごしていたかですが、どちらも自分が今後どのような沙汰を受けるかが分かっていたようで、まったりとぼーっと過ごしていたように思えます。事実として清盛や義朝に事実を言われたり、言動で示された時にも平然と受け止め、自分がそれぞれの一門を反映させるために、必要な死だと明言しています。ここまで覚悟が座っているようだと、もはや説得するという次元ではないことが分かります。

素晴らしい演出だったのは、忠正と清盛の三男・清三郎のやりとり。忠正はそれまで十分な時間があり、わらじをいじっていたにも関わらず、その前に約束していた竹馬の作成を完全に忘れていたようで、何も知らない清三郎は「約束していた竹馬はどうした?」と催促します。これに対して忠正は戻ってきたときに作ってあげると新たな約束をするのですが、感動的な場面であると同時に、これが本当であれば清三郎は後々ものすごく引きずることになりそうです。この後何らかの心の傷が清盛自体に向かないことを祈るばかり。

そしてとうとう斬首をする刻限。この辺りは、完全に予想通りのやりとりだったのですが、予想外だったのが清盛は忠正を切ることができたのに対して、義朝は為義を切ることができずにただただ泣くばかり。この状況をつぶさに見ていた鬼武者は、父を助けようと元服することを進言し、頼朝が誕生します。

もう一つ意外だったのが、それぞれの処刑場に、西行と鬼若が隠れて見ていたこと。この二つのシーンを完全にシンクロさせようとしたい制作者側の意図がまったくわかりません。台詞や登場人物に類似を求めることによって、何を伝えたかったのでしょうか。誰か偉い人に教えてほしいです。

全てが終わった後に、信西は藤原師光を通じて今回の本当の思いを自分たちに伝えてくれています。本当は自分も斬首をするというところまではいきたくなかったのだけど、藤原摂関家の力を弱めるためには、その部下であった為義を処刑する必要があり、そこに意味を持たせるためには、平氏や源氏といった境界をわけることなく、両方に沙汰を下す必要があったということ。信西は何も言わずにただ涙を流します。

この思いを、後に清盛に語っていて、新しい世の中を作ろうと話をします。この「新しい世の中」という言葉は、様々な場所で登場するし、後白河天皇も話をしていますが、具体的にどのような世の中が新しく、今の世の中の何が悪いのかよく分かっていないので、イメージがわかないんですよね。まるで現代の政治の世界に通じているところもあります。そのあたりの背景は自分で勉強しておいてください、という宿題を自分たちに課しているのかもしれません。

最後は、清盛が平氏は一蓮托生であることを声高に一門に伝えるのですが、このシーンもどこかで見たことがあるような気がします。おじさんを斬首するというものすごくインパクトの大きいことをしたのですから、その後のメッセージはもっと感動的にしてほしかったなというのが、ドラマ視聴者としての思いでした。

次回は、信西がどんどん自分が目指す政治を実行していきます。その中で武士がどのように活躍していくのか、その片鱗が見えたらいいなと思います。

◆清盛紀行◆
京都府京都市
 - 左女牛井之跡
 - 船岡山
 - 源義朝の供養塔