あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第30回「愛しき人よ」

2011年8月 07日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

徳川家に嫁いできた江ですが、夫の秀忠とは仲が悪く本当に悲しむ毎日を送っていました。しかし見せ方としてはほとんど悲壮感を感じさせずにユーモラスに描いているように見えます。まるでふたりがお互いに我慢比べをしているかのような印象すら覚えます。

家康を演じる北大路欣也さんすらも、軽い感じになっていましたが江が去ったあとにすかさず「電化の様子から目を離すな」と部下に命じます。このきりっとした切り返しにぐっと来てしまいます。このドラマにおいて唯一の緊迫した場面だったといえるでしょう。

そして、いつもの初がやってきます。今度は夫の京極高次に側室がいて子供まで生まれたとのこと。人の家の夫婦げんかについて愚痴をいいにわざわざ徳川家までやってきたのです。ここまでくると本当にあり得ないと感じます。演出として何を見せたかったのか、この後の展開とは全く結びつかない初の設定に疑問を感じざるを得ません。せっかく前回、三姉妹の間をとりもった活躍を見せていたにも関わらず、このように物語を軽く見せてしまう動きを見てしまうと、ドラマ全体がしらけてしまうような気がしてなりません。しかも最後に高次様を見たくなったといってそそくさと帰っていきます。

そんな脇道にそれた話がしばらく続いた後、再び秀忠と江の夫婦にスポットが当たります。とうとう離縁を申し出た江。秀忠がやきもちを焼いたのは少しだけわかる気がします。前夫である秀勝の遺品をいつまでも大切に持つ江を見ていると、いい気はしなかったでしょう。これでは本当の夫婦になれるはずもありません。それに気がついていない江なのですが、その関係が変わったのは、その離縁を申し出た晩のこと。

あまりにも都合のいい展開ではありますが、伏見の徳川屋敷が大火事に遭い江は秀勝の遺品を集めに行く途中で煙に包まれて倒れてしまいます。それを助けに来てくれたのが秀忠でした。江を抱きかかえ救助した後に、今度はやけどしながらも秀勝の遺品を集めて戻ってきます。江にとって大切なものだと思ったからという理由で集めてくれ、火事を引き起こした人にも慣用だった秀忠に、江はさっきの離縁宣言を撤回し1年以上続いた冷戦を自ら打ち破り秀忠の胸に抱きつきます。

なんとなく、少女マンガのイメージだなと思ってしまう自分は、こてこての大河ドラマを望んでいたからなのかもしれませんが、きっとこういう展開を望んでいたという人もおおいと思います。かなりラストの江の気持ちの変わり様は重要な場面なので、気持ちの変化を少しずつ描いてあげるために初の場面を削ってもよかったのではないかと思います。

次回は、とうとう秀吉が亡くなります。その後の激動の世の中をどのように江と秀忠は進んでいくのか楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
京都府京都市
 - 伏見城跡(伏見桃山陵)
 - 出土した石垣石
 - 上杉景勝屋敷跡
 - 前田利家屋敷跡
 - 徳川家康屋敷跡周辺(乃木神社)
 - 宇治川

江 -姫たちの戦国- 第29回「最悪の夫」

2011年7月 31日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回の終わりに秀吉に、秀忠のもとに嫁ぐように言われて頑なに拒む江ですが、今回はそれが現実になっていくまでの様子を描いています。おそらくこの時代にあって、天下人の命令ともいえる言葉を拒むことなどできないとわかっていても、そんな秀吉に従うこと自体許すことができないという思いが一番強い江。

そんな江の説得に再び登場するのが姉の初でした。この方はいったいどのくらい暇なんでしょうか。何かと江や淀のもとにやってきては何かと世話を焼きます。きっと、これは脚本家のこだわりなのでしょう。市が最後に残した言葉の中で「初は三姉妹の仲をうまく取り持ってほしい」という願いがありました。それを忠実に実行している初の様子を描きたかったのでしょう。

初の説得にも耳を貸さない江の気持ちを変えてくれたのが家康でした。家康に自分のことが必要だと言われたのであれば、断ることもできません。こういう心のこもったセリフをこのドラマで見ることができるのは少しだけ意外な感じがして、北大路欣也さんの演技力を際立たせています。自分を必要としてくれるところに行くのは、双方にとっても幸せなこと。それをわかっているからこそ、江は嫁ぐことに決めたのでしょう。

嫁ぐために残る課題は、子供の完でした。完を連れて行くことができると信じていた江ですが、石田三成の進言によりこのまま残すことで話が進められます。萩原聖人さんはすごくがんばっているのですが、豊臣家のために行っているという信念をもう少し感じられる演技になってもいいと思います。思い通りにならないときの苦虫をつぶしたような表情を見ると、なんだか不自然に感じてしまうのです。

この完をおいていくという考えは最終的に淀の口から、江へと伝えられることになり取り乱します。この取り乱すシーンにこそ、母親の苦悩という今回最大の見せ場になります。子供から引き離される母親の気持ちは計り知れないものであり、どんな苦しみよりもつらいものの一つでしょう。その説得に淀が望みます。自分たちが今まで敵方で暮らしてきた苦しみを今後完にも与えるかもしれない。完は豊臣の人間であり、このまま居た方が幸せになれると。先の見えない幸せよりも、今ここにある幸せの方が大切なのでは、と少し「幸せとは?」という課題に悩んでしまいます。

最終的に、完を「姉上が命がけで完を守ってくれるのなら」と涙ながらに訴え、二度と会わないと決心して別れることにします。こういうここの動きがよくわかるシーンというのが、求めていたものではないかと思います。そういう意味で今回は、良かったのではないでしょうか。

徳川家に嫁いだ江は、秀忠と言いたいことを言い合って同じ方向を向くようになったら、夫婦になろうと言われむかついているのですが、この秀忠の言葉は実は相手のことを思いやっている発言なのではないかと思います。それに気がつかない江が幼いのか、うまく表現できない秀忠が大人になれていないのか。いずれにせよ、いつかはうまくいくと予感することができます。なので、そこまで最悪ではないと思うのですが・・・。

次回からは、少しずつ時代は動いていく感じがします。すでに残り4ヶ月と3分の1となりましたが、ここで何が話の中心になっていくのか楽しみに待ちたいと思います。

◆江紀行◆
静岡県浜松市
 - 天竜川
 - 二俣城跡
 - 信康廟(清瀧寺)
 - 中村家住宅
 - 浜松城跡
 - 浜松城二の丸跡
 - 秀忠誕生の井戸

江 -姫たちの戦国- 第27回「秀勝の遺言」

2011年7月 17日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回までで江の夫である秀勝が遠く朝鮮で病死してしまいました。最期は地元住民と戯れたり心のふれあいを得ることによって、自分たちが今行っていることがいかに無意味なものなのかを思い知らされたようです。しかし、前回の描写では秀勝が亡くなってしまう直接の原因は、部下によって斬られてしまったことなので、何とも無念なことでだったでしょう。

夫が亡くなってしまったという現実を受け止められない江に、様々な人が慰めの言葉をかけることになります。まずはじめが姉である初。彼女はことあるごとに自分が住む城からやってきては色々奔走しているのですが、本当にここまで足繁く通っていたのか謎なところです。今は夫も九州に行っているので問題ないのですが彼女が江や茶々の元に訪れていたのは前からのこと。子供を作るとおっしゃっていたような気がするのですが、きっと気のせいでしょう。

自分の子供である完(さだ)を抱くことができない江ですが、この完という子供が後に有名な「さだこ」になるといいます。恐ろしいイメージのさだこですが、どのように変遷していったのか興味深いところではあります。後に完は公家に嫁いでいくことになります。

初による江の慰め作戦は見事に失敗。背景には江の中にある「自分の気持ちは誰にもわからない」という思いがあるからなのでしょう。次に慰め作戦に参加したのは京極龍子でした。この人の場合には自分の経験を話し終わってもらちがあかないと見るや「いなかったと思えばいい」というおよそ慰めになっていない言葉を残して去っていきます。シリアスなシーンなのにどこかコミカルさを残したいと思う気持ちが作者の中にあったのでしょう。ガラシャの時には、江を慰めるというよりも自分の経験談の方がよっぽど重い内容でそっちの方が目立っていたほど。

九州から戻ってきた淀も「江が自分で乗り越えなければならない」と突き放します。呆然とする江を立ち直らせたのは他ならぬ秀勝でした。秀勝からの手紙によって自分らしく生きることを思い出したのです。ずいぶんさくっと立ち直ったという印象がありますが、その前からあまり深刻さを感じなかったのは自分だけでしょうか。いずれにせよ、これから今まで以上の江の強気モードが発揮されることになります。

その強気モードが発揮された場面が、秀吉に対してでした。淀が懐妊しやがて拾という子供を産みます。後の秀頼なのですが、溺愛する秀吉に恫喝する江。これで今までの人は命を奪うことになったこともあるというのに、自分は強気一辺倒です。

関白の座を奪われることに不安がっている秀次にも、絶対に関白をやめてはいけないと諭しますが、歴史は無情にも秀次を歴史の表舞台から引きずり下ろしていくことになります。この表舞台に堂々と江という存在がいるのがこのドラマの特徴ですが、重要な場面で登場するならまだしも、常に表舞台にいる江を見ていると現実的なドラマとしてではなく、架空のフィクションドラマを見ているような気がしてきます。次回は、秀次が悲しい状況になっていく様子を描くものと思われますが、江がどのように絡んでいくのか見ていきたいと思います。

最後に、ドラマでは秀忠のこともしっかりとフォローしていて深刻な話を家康としていたにも関わらず、江のことをわざわざ持ち出して、秀忠が江に気があるようなそぶりをみせます。ここまで露骨にフラグを立てなくてもいいと思うのですが、必要なシーンだったのでしょう。ある意味わかりやすすぎる展開といえます。

◆江紀行◆
滋賀県近江八幡市
 - 八幡山城跡(八幡山ロープウェイ乗り場)
 - 瑞龍寺
 - 新町通り
 - 八幡堀
 - 桐原新橋
 - 豊臣秀次・水争い裁きの像