あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第24回「利休切腹」

2011年6月 26日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

歴史上重要だと思う場面が次々とナレーションを含めて1分程度で処理されていくのが、どうしても悲しい気がします。例えば、北条家を攻め滅ぼした後の論功行賞で家康に対して、国替えを強要した秀吉と家康の駆け引きや心情がわからないまま終了してしまったり、朝鮮出兵を思い至るプロセスや朝鮮の通信使との駆け引きなどもないまま、お笑いを誘いつつそのまま終了してしまう場面。

こういう江をとりまく重要な環境変化に対して、もう少し描写を多くしてほしかったと思います。そういう場面を削除せざるを得ないほど主人公である江の登場シーンが多かったのかといえばそうでもなく、秀忠と秀勝の2人の間で踊らされている様子がかなり演出されています。

いつもであれば恋愛関係のみが印象に残って終わってしまうのですが、今回その雰囲気を大河ドラマの雰囲気まで戻してくれたのが利休でした。石坂浩二さんの渋い演技をみているとなんだか落ち着きますし、ただじっとして表情だけで何を思っているのか、語っているのかわかるのがすごいと思いました。こういう役者がこれから登場してこなくなってしまうのは本当に残念でなりません。

いつもは演出の都合上ちゃらけた表情を出しまくる岸谷五朗さんも、利休と接する場面ではいつも真剣勝負をしているような張り詰めた緊張感をみている方も感じます。切腹を言いつけるぎりぎり前のシーンで、秀吉は本心を語ります。それはその前になくなった弟である秀長が死ぬ前に、自分に厳しい言葉をかけてくれる人を信じるようにという言葉を重く見た結果なのでしょう。三成の言葉によって利休を遠ざけようとするマイナスの感情が高ぶっていた矢先、秀吉は、利休に対していつまでも届くことのない上の人であると認めた上で、これからも自分に叱咤激励してほしいと懇願します。結果として弟の言葉をとったのです。

しかし、利休はさらにその上をいく男だったのです。自分にとって茶をいれる相手はいつも尊敬し、この人のために茶をいれたいと思える人でなければならない。秀吉はすでにそういう存在ではなくなった、と。これによって、秀吉の中にも三成によってインプットさせられていた利休像が再びわき上がってくることになり、結果として切腹を命じることになってしまったのでしょう。この葛藤はなかなかの見物だったと思います。

今回は完全に脇役になっていたばかりではなく、陰からこそこそと見つめる怪しい人になってしまった江ですが、いつ頃貫禄ある姿を見せてくれるのでしょうか。まだまだ先のことだと思いつつ、来週を楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
奈良県大和郡山市
 - 郡山城跡
 - 春岳院
 - 豊臣秀長の位牌
 - 大納言塚(豊臣秀長の墓所)

江 -姫たちの戦国- 第23回「人質秀忠」

2011年6月 21日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回さわりだけ登場した秀忠が今回は全面に登場します。前回も感じたことではありますが、向井理を見ているととても戦国の世の中に存在するような感じしないのが不思議です。しかし、それを演技の面で今回は完全にカバーしていました。クールでつっけんどんな態度を示すことによって、今まで感じていた違和感を完全に払拭することができたのです。

そんな秀忠と絡んでいくことになるのが江でした。前回まで姉上である茶々の話ばっかりだったので、江が登場してメインになっていくのも久しぶりな感じがします。茶々を見てみると秀吉の奥方として完全に黙りまくっているので、しばらく登場シーンは少ないと見ていいでしょう。これからようやく主人公の江の物語が本格化していきそうです。

その江ですが、今回は様々な場面で怒っている姿を目にすることができます。本当にこの場面でいたのかというくらいほとんどの場面に登場する江なのですが、時には秀吉に怒りの矛先をむけ、時には秀忠に向けています。その怒りは結構たわいもないことが多く、千利休が静かにしなさいとしかった時に思わず「よく言った!」と思ってしまいました。そんな千利休も次回までの命であることがみえてしまったのですが。

そして、恋愛模様も忘れていないのが今回の大河ドラマの特徴です。江の2人目の夫となる秀勝とは、すでに他人の目から見てもお互いを意識していることを完全に意識させる演出をしています。こういうのをフラグが立っているというのかもしれません。そんな江、秀勝、秀忠といった三角関係を見ているとなんだか不思議な感じがしてきます。

歴史の場面を見てみると小田原攻めが行われていたようです。時間にして10分程度でこの見せ場が終わってしまったのは少し残念です。長く北条家が10分で滅ぼされてしまうのですからこんな悲しいことはありません。あくまで江と関係のない歴史は割愛していくということなのかもしれません。

それ以外の見所といったら三成と利休の静かなる戦いでしょう。ようやく怖い面をみせるようになった萩原聖人さんは、優しいイメージがあるのでなかなか見ている方が追いついていかないところもありますが、本来の三成とは理論家で知られているので、千利休とは相容れないところがあったのだと思います。

次回はその利休が完全に排除されていくわけですが、今までいい味を出していた石坂浩二さんだけに、ドラマから退散するのはもったいなさすぎます。確か天地人では千利休の娘が登場して親である利休の葛藤を伝えてくれていましたが、今回はそういう描写もないんでしょうね。

◆江紀行◆
神奈川県小田原市
 - 小田原城天守閣
神奈川県箱根町
 - 早雲寺

江 -姫たちの戦国- 第22回「父母の肖像」

2011年6月 12日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回までで授かった茶々と秀吉の間の子供がとうとう世の中に登場します。宮沢りえさんがものすごく苦しんでいる姿とその様子を外から慌ただしく見守る岸谷五朗さんと上野樹里を見ていると、現代ドラマのような感覚を受けてしまいます。

出産までのシーンに時間を使いながら、ようやく鶴松が産まれます。これまで自分の子供がいなかったことを考えると、秀吉はものすごく嬉しかったのだと思います。赤ちゃんの姿を見ると顔がほころんでしまいます。この子どもが産まれることを引き替えに茶々が願ったことは、自分の両親である浅井長政とお市のそれぞれの供養をさせてほしいというすばらしい願いでした。

ものすごいことをお願いするのではないかと、ドキドキしながら見ていたのですが、結果的には納得感のあるお願い事項となります。てっきり、鶴松と共に自分の一生の安泰をお願いするのではとばっかり思っていましたが、実際には浅井家を想う気持ちが誰よりも強い正義感のある人物と表現しています。この辺り作者の愛情を感じます。

その後供養の後に久々三姉妹が勢揃いし、浅井長政とお市の両親の肖像を感慨深げに眺めます。今回最も注力したこの場面ですが、登場した肖像があまりにも写真のようにリアルになっていて思わず驚かずにはいられませんでした。「この時代にここまで精巧な絵を描くことができるの?」と自分の中で無知ぶりを恥じたのですが、後に江紀行で登場した現物をみると、やはりドラマ中に出てきたほどのリアルさはなく、安心しました。しかし写真のような肖像を使うのはどうなんでしょうかね。

前回、子作り宣言をして近江に帰っていった初が、再び登場し京極高次といちゃいちゃしています。自分の姉2人がこんな様子である江は、自分の居場所がないと言って北政所に語るのですが、この思いが今後どのような流れになっていくのか期待したいと思います。最後の方に向井理さん演じる竹千代が登場し、江とのフラグをしっかりと立てています。

今回の自分の中での見どころは、千利休と家康の茶室での話と、北条家の登場でしょう。千利休は自分がやがて厄介者になることをすでに分かっているようで、そのことを家康に語ります。千利休は、茶室に招く人が少ないときは広い茶室を、招く人が多い場合には狭い茶室を使うことによって、無限の広がりを感じさせることができるという世界観を展開しています。聞いていてなるほどと思えるうんちくでした。この場面の重厚さは見応えのあるものとなりました。

もう一つは、北条家の存在です。北条早雲以来この地を治めている北条家にとって、秀吉の天下は認められないもの、必然的に全面対立へとつながっていきます。天地人の際にも北条家が出てきましたが、この小田原攻めについて、どうか北条家の思いもくんだシナリオを作り出してほしいなと思います。

次回から徐々に露出をあげていく向井理さん。この人を通じて江も露出度を高めていってくれるといいなと思います。

◆江紀行◆
和歌山県高野町
 - 金剛峯寺
 - 持明院
 - 奥の院
 - 淀の方が建立した石塔