あしたまにあーな

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あしたまにあーな > 岸谷五朗


江 -姫たちの戦国- 第27回「秀勝の遺言」

2011年7月 17日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回までで江の夫である秀勝が遠く朝鮮で病死してしまいました。最期は地元住民と戯れたり心のふれあいを得ることによって、自分たちが今行っていることがいかに無意味なものなのかを思い知らされたようです。しかし、前回の描写では秀勝が亡くなってしまう直接の原因は、部下によって斬られてしまったことなので、何とも無念なことでだったでしょう。

夫が亡くなってしまったという現実を受け止められない江に、様々な人が慰めの言葉をかけることになります。まずはじめが姉である初。彼女はことあるごとに自分が住む城からやってきては色々奔走しているのですが、本当にここまで足繁く通っていたのか謎なところです。今は夫も九州に行っているので問題ないのですが彼女が江や茶々の元に訪れていたのは前からのこと。子供を作るとおっしゃっていたような気がするのですが、きっと気のせいでしょう。

自分の子供である完(さだ)を抱くことができない江ですが、この完という子供が後に有名な「さだこ」になるといいます。恐ろしいイメージのさだこですが、どのように変遷していったのか興味深いところではあります。後に完は公家に嫁いでいくことになります。

初による江の慰め作戦は見事に失敗。背景には江の中にある「自分の気持ちは誰にもわからない」という思いがあるからなのでしょう。次に慰め作戦に参加したのは京極龍子でした。この人の場合には自分の経験を話し終わってもらちがあかないと見るや「いなかったと思えばいい」というおよそ慰めになっていない言葉を残して去っていきます。シリアスなシーンなのにどこかコミカルさを残したいと思う気持ちが作者の中にあったのでしょう。ガラシャの時には、江を慰めるというよりも自分の経験談の方がよっぽど重い内容でそっちの方が目立っていたほど。

九州から戻ってきた淀も「江が自分で乗り越えなければならない」と突き放します。呆然とする江を立ち直らせたのは他ならぬ秀勝でした。秀勝からの手紙によって自分らしく生きることを思い出したのです。ずいぶんさくっと立ち直ったという印象がありますが、その前からあまり深刻さを感じなかったのは自分だけでしょうか。いずれにせよ、これから今まで以上の江の強気モードが発揮されることになります。

その強気モードが発揮された場面が、秀吉に対してでした。淀が懐妊しやがて拾という子供を産みます。後の秀頼なのですが、溺愛する秀吉に恫喝する江。これで今までの人は命を奪うことになったこともあるというのに、自分は強気一辺倒です。

関白の座を奪われることに不安がっている秀次にも、絶対に関白をやめてはいけないと諭しますが、歴史は無情にも秀次を歴史の表舞台から引きずり下ろしていくことになります。この表舞台に堂々と江という存在がいるのがこのドラマの特徴ですが、重要な場面で登場するならまだしも、常に表舞台にいる江を見ていると現実的なドラマとしてではなく、架空のフィクションドラマを見ているような気がしてきます。次回は、秀次が悲しい状況になっていく様子を描くものと思われますが、江がどのように絡んでいくのか見ていきたいと思います。

最後に、ドラマでは秀忠のこともしっかりとフォローしていて深刻な話を家康としていたにも関わらず、江のことをわざわざ持ち出して、秀忠が江に気があるようなそぶりをみせます。ここまで露骨にフラグを立てなくてもいいと思うのですが、必要なシーンだったのでしょう。ある意味わかりやすすぎる展開といえます。

◆江紀行◆
滋賀県近江八幡市
 - 八幡山城跡(八幡山ロープウェイ乗り場)
 - 瑞龍寺
 - 新町通り
 - 八幡堀
 - 桐原新橋
 - 豊臣秀次・水争い裁きの像

江 -姫たちの戦国- 第26回「母になる時」

2011年7月 10日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回もすごく感じたことなのですが、恋愛模様や人を愛するという気持ちが物語全面に出ていて、そういった場面の力の入れようが半端ないことがわかります。はじめから江は夫となった秀勝のためにいろいろなことを自分でしてあげたいという思いから着物の折りたたみなどを自分で買って出ます。ところが、作者はいつものようにどこかにユーモアセンスを入れたいようで、折りたたんだ着物を落としたり、あたふたしたりする様子を描いています。

結婚した江と秀勝の役割は、関白になった秀次を監視すること。秀吉が明確にそれを指示していた場面を思い出せないのですが、どこか乗らない二人は秀次のものを訪れます。そこで、秀次の文学好きである側面を見つけて親近感を得る江なのですが、やっぱりここでもユーモアあふれる秀次を描いているのが気になるところ。それが、後の何かの場面に結びつくのならいいのですが、そういうわけでもないようなのでシリアスに描いてあげてもよかったのかなと思います。

そんなラブラブな夫婦を引き裂いていくのが秀吉が鶴松の死をきっかけとして実行に移した朝鮮出兵でした。これによって秀勝は戦に出ることになり、まるで永久の別れのような挨拶を交わして去っていきます。それにしてもAKIRAはやっぱり、この時代の男性にはやっぱり見えず、EXILEにしか見えないのが残念です。現代風な風貌がそうさせているのだと思います。

そんななか、二つの悲しい出来事が次々とやってきます。まず一つ目は秀吉の母である大政所が病で亡くなります。急いで九州から戻った秀吉は、仏前で江と対面するのですが涙も枯れて呆然自失状態です。自分の肉親を殆どすべてなくしてしまった秀吉は、このとき家族に囲まれていた昔の方が幸せだったことを思い出します。これによって何か変化があったのかと思いきや、そういう様子でもなくふらふらと出て行ってしまうのでした。

そしてもう一つは、江の夫である秀勝が病で亡くなってしまったこと。病なのですが、ドラマの中では朝鮮の地元民を斬りつけようとした家臣を止めようとして、逆に切られてしまいその傷をきっかけにして病になってしまった様子です。倒れる時はあっけない感じでした。陣頭指揮の様子ももう少し迫力を出してもよかったのに、ここで終わってしまうのは悲しい限りです。

子供を宿している江はそのことを知って、呆然とする暇もなく出産シーン。姉の茶々の時のような出産場面は割愛され、子供がそばに置かれるところから再会。江は主人公なので、逆なんじゃないかなと違和感を覚えてしまいます。

このように大切な二人が亡くなってしまうのですが、お約束のように不吉な予感をしっかりと感じる江。誰かが噂をしていてもくしゃみをするというお約束までついてきます。あまり大河ではやらないでほしいこういう演出なのですが、全体として親しみやすい印象を与えるための工夫なのかもしれません。

次回は、江をなぐさめるためにことあるごとにやってくる初お姉様も登場します。彼女は本当にここまで足繁く通ったのか謎なところはありますが、江がどのように心境の変化を起こしていくのか楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
岐阜県岐阜市
 - 長良川
 - 岐阜城跡(金華山ロープウェイ乗り場)
 - 若き日の信長像 岐阜公園内
 - 織田信長居館跡
 - 菅生八幡神社
 - 川原町界隈

江 -姫たちの戦国- 第25回「愛の嵐」

2011年7月 04日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回は大きく3つの話題から成り立っています。一つは利休の切腹で、前回の題名は「利休切腹」だったのですが、実際それが実行されるのは今回でした。2つ目の話題は鶴松の死、最後が江の再婚という流れで進んでいきます。いずれの3つの場面でも「愛」というものが登場することから愛の嵐という題名が付いたのでしょう。

まず利休の切腹ですが、これまでこの物語を実質支えていてくれた千利休がついに切腹することになります、秀次によると秀吉は心から利休のことを好いていていつもそばにいてほしいと思っていたのに離れることを選択されたことから、切腹を命じたとのこと。このあたりの描写はうまいと思います。

しかし、堺の屋敷に戻って上杉軍を中心に3000もの兵で囲まれているところに秀勝と江は薪売りの扮装をして潜入するあたり、現実味があまりないような気がしてなりません。お姫様がそんなことをする時代なのでしょうか。しかもその潜入を許可したのは「愛」のマークが兜に入った直江兼続。「愛の嵐」一つ目がここにありました。誰が出演しているのかは非公開だそうです。

必死の説得にも関わらず、利休は自分の道だと諭し切腹の道を選んで果てていきます。石坂浩二の演技は本当にいい味を出していて今回の大河ドラマの骨組みをしっかりと作ってくれました。他の方のブログを拝見するとこちらの方が主役であるとまで書かれている方もいるくらいですが、ある意味これまでの大河ドラマの王道をいく人間味があり言葉に重みがあるキャラクターを演じていたと思います。この方が次回からいないとなると、支える役目は家康役の北大路欣也さんになっていくのでしょう。

2つ目の「愛」は、鶴松の死をもって改めてわかった両親である秀吉と淀の愛情とその反動なって現れる深い悲しみでしょう。演出としては利休の死からあっという間に鶴松が亡くなってしまったような感じになってしまい、唐突感が否めなかったのですが、この出来事をきっかけとして鬼の形相となって半狂乱に陥った秀吉が見物でした。

一方の淀を慰めるべく登場するのが初と江でした。初は京極家からまたも遠出をしてくることになりますが、移動しすぎのような感じがしてなりません。秀吉との間で茶々が恋に悩んでいた時も遠出をして、うまくいくやいなや「自分も帰って小作りをしよう」と言って去っていくものすごい演出があったのですが、作者はきっと3姉妹の結束を伝えたかったのでしょうが、もうすこし違った形にしてあげた方が現実的だと思われます。

また、物語の中では、この鶴松の死をきっかけとして朝鮮への出兵を決意することになるのですが、史実としてどうなるのか気になるところではあります。

最後の3つめは江の再婚です。これまで好きだった秀勝に嫁ぐことになった江ですが、それを決定したのは秀吉でした。先の鶴松の件で半狂乱になった秀吉が、夜な夜な怪しい顔で、「江」と書かれた紙と「秀勝」と書かれた紙を取り上げて、にやつきながら決めた模様です。ものすごい演出でした。そしてその意図も明かされないまま視聴者には悶々としていなさいということなのでしょう。

そんなことはお構いなしに、江は姉たちに「好きです」と告白し、秀勝も江の前で「自分と夫婦になってください」とプロポーズ。まるで現代ドラマのシーンのような直球発言が続きます。わかりやすいんですが大河ドラマという関係上、いいのかなと少し疑問に感じてしまいます。しばらくは彼らのラブラブな雰囲気がドラマを包み込むことでしょう。

今回、見物だったのは家康のシーンでしょう。家康は朝鮮出兵に対して兵を出すのは九州までとしています。これを太閤に認めさせることができると考えていました。自分が今までのんできたものの大きさから、今回その貸しをうまく使おうとしたのです。そのためにこれまで黙って従ってきたのだと思うとなるほどと感じます。必ず後で行動の裏付けがとれる安心感が、家康の演技にはあるのがうれしいところです。

次回は、またも悲しい出来事があるようですがその後にくるうれしい出来事でチャラ担ってしまうのではないかと不安に感じながら次回を楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
京都府京都市
 - 大徳寺
 - 晴明神社
 - 千利休居士聚楽屋敷跡
 - 聚光院
 - 千利休の墓