あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第25回「愛の嵐」

2011年7月 04日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回は大きく3つの話題から成り立っています。一つは利休の切腹で、前回の題名は「利休切腹」だったのですが、実際それが実行されるのは今回でした。2つ目の話題は鶴松の死、最後が江の再婚という流れで進んでいきます。いずれの3つの場面でも「愛」というものが登場することから愛の嵐という題名が付いたのでしょう。

まず利休の切腹ですが、これまでこの物語を実質支えていてくれた千利休がついに切腹することになります、秀次によると秀吉は心から利休のことを好いていていつもそばにいてほしいと思っていたのに離れることを選択されたことから、切腹を命じたとのこと。このあたりの描写はうまいと思います。

しかし、堺の屋敷に戻って上杉軍を中心に3000もの兵で囲まれているところに秀勝と江は薪売りの扮装をして潜入するあたり、現実味があまりないような気がしてなりません。お姫様がそんなことをする時代なのでしょうか。しかもその潜入を許可したのは「愛」のマークが兜に入った直江兼続。「愛の嵐」一つ目がここにありました。誰が出演しているのかは非公開だそうです。

必死の説得にも関わらず、利休は自分の道だと諭し切腹の道を選んで果てていきます。石坂浩二の演技は本当にいい味を出していて今回の大河ドラマの骨組みをしっかりと作ってくれました。他の方のブログを拝見するとこちらの方が主役であるとまで書かれている方もいるくらいですが、ある意味これまでの大河ドラマの王道をいく人間味があり言葉に重みがあるキャラクターを演じていたと思います。この方が次回からいないとなると、支える役目は家康役の北大路欣也さんになっていくのでしょう。

2つ目の「愛」は、鶴松の死をもって改めてわかった両親である秀吉と淀の愛情とその反動なって現れる深い悲しみでしょう。演出としては利休の死からあっという間に鶴松が亡くなってしまったような感じになってしまい、唐突感が否めなかったのですが、この出来事をきっかけとして鬼の形相となって半狂乱に陥った秀吉が見物でした。

一方の淀を慰めるべく登場するのが初と江でした。初は京極家からまたも遠出をしてくることになりますが、移動しすぎのような感じがしてなりません。秀吉との間で茶々が恋に悩んでいた時も遠出をして、うまくいくやいなや「自分も帰って小作りをしよう」と言って去っていくものすごい演出があったのですが、作者はきっと3姉妹の結束を伝えたかったのでしょうが、もうすこし違った形にしてあげた方が現実的だと思われます。

また、物語の中では、この鶴松の死をきっかけとして朝鮮への出兵を決意することになるのですが、史実としてどうなるのか気になるところではあります。

最後の3つめは江の再婚です。これまで好きだった秀勝に嫁ぐことになった江ですが、それを決定したのは秀吉でした。先の鶴松の件で半狂乱になった秀吉が、夜な夜な怪しい顔で、「江」と書かれた紙と「秀勝」と書かれた紙を取り上げて、にやつきながら決めた模様です。ものすごい演出でした。そしてその意図も明かされないまま視聴者には悶々としていなさいということなのでしょう。

そんなことはお構いなしに、江は姉たちに「好きです」と告白し、秀勝も江の前で「自分と夫婦になってください」とプロポーズ。まるで現代ドラマのシーンのような直球発言が続きます。わかりやすいんですが大河ドラマという関係上、いいのかなと少し疑問に感じてしまいます。しばらくは彼らのラブラブな雰囲気がドラマを包み込むことでしょう。

今回、見物だったのは家康のシーンでしょう。家康は朝鮮出兵に対して兵を出すのは九州までとしています。これを太閤に認めさせることができると考えていました。自分が今までのんできたものの大きさから、今回その貸しをうまく使おうとしたのです。そのためにこれまで黙って従ってきたのだと思うとなるほどと感じます。必ず後で行動の裏付けがとれる安心感が、家康の演技にはあるのがうれしいところです。

次回は、またも悲しい出来事があるようですがその後にくるうれしい出来事でチャラ担ってしまうのではないかと不安に感じながら次回を楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
京都府京都市
 - 大徳寺
 - 晴明神社
 - 千利休居士聚楽屋敷跡
 - 聚光院
 - 千利休の墓

江 -姫たちの戦国- 第24回「利休切腹」

2011年6月 26日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

歴史上重要だと思う場面が次々とナレーションを含めて1分程度で処理されていくのが、どうしても悲しい気がします。例えば、北条家を攻め滅ぼした後の論功行賞で家康に対して、国替えを強要した秀吉と家康の駆け引きや心情がわからないまま終了してしまったり、朝鮮出兵を思い至るプロセスや朝鮮の通信使との駆け引きなどもないまま、お笑いを誘いつつそのまま終了してしまう場面。

こういう江をとりまく重要な環境変化に対して、もう少し描写を多くしてほしかったと思います。そういう場面を削除せざるを得ないほど主人公である江の登場シーンが多かったのかといえばそうでもなく、秀忠と秀勝の2人の間で踊らされている様子がかなり演出されています。

いつもであれば恋愛関係のみが印象に残って終わってしまうのですが、今回その雰囲気を大河ドラマの雰囲気まで戻してくれたのが利休でした。石坂浩二さんの渋い演技をみているとなんだか落ち着きますし、ただじっとして表情だけで何を思っているのか、語っているのかわかるのがすごいと思いました。こういう役者がこれから登場してこなくなってしまうのは本当に残念でなりません。

いつもは演出の都合上ちゃらけた表情を出しまくる岸谷五朗さんも、利休と接する場面ではいつも真剣勝負をしているような張り詰めた緊張感をみている方も感じます。切腹を言いつけるぎりぎり前のシーンで、秀吉は本心を語ります。それはその前になくなった弟である秀長が死ぬ前に、自分に厳しい言葉をかけてくれる人を信じるようにという言葉を重く見た結果なのでしょう。三成の言葉によって利休を遠ざけようとするマイナスの感情が高ぶっていた矢先、秀吉は、利休に対していつまでも届くことのない上の人であると認めた上で、これからも自分に叱咤激励してほしいと懇願します。結果として弟の言葉をとったのです。

しかし、利休はさらにその上をいく男だったのです。自分にとって茶をいれる相手はいつも尊敬し、この人のために茶をいれたいと思える人でなければならない。秀吉はすでにそういう存在ではなくなった、と。これによって、秀吉の中にも三成によってインプットさせられていた利休像が再びわき上がってくることになり、結果として切腹を命じることになってしまったのでしょう。この葛藤はなかなかの見物だったと思います。

今回は完全に脇役になっていたばかりではなく、陰からこそこそと見つめる怪しい人になってしまった江ですが、いつ頃貫禄ある姿を見せてくれるのでしょうか。まだまだ先のことだと思いつつ、来週を楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
奈良県大和郡山市
 - 郡山城跡
 - 春岳院
 - 豊臣秀長の位牌
 - 大納言塚(豊臣秀長の墓所)

江 -姫たちの戦国- 第23回「人質秀忠」

2011年6月 21日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回さわりだけ登場した秀忠が今回は全面に登場します。前回も感じたことではありますが、向井理を見ているととても戦国の世の中に存在するような感じしないのが不思議です。しかし、それを演技の面で今回は完全にカバーしていました。クールでつっけんどんな態度を示すことによって、今まで感じていた違和感を完全に払拭することができたのです。

そんな秀忠と絡んでいくことになるのが江でした。前回まで姉上である茶々の話ばっかりだったので、江が登場してメインになっていくのも久しぶりな感じがします。茶々を見てみると秀吉の奥方として完全に黙りまくっているので、しばらく登場シーンは少ないと見ていいでしょう。これからようやく主人公の江の物語が本格化していきそうです。

その江ですが、今回は様々な場面で怒っている姿を目にすることができます。本当にこの場面でいたのかというくらいほとんどの場面に登場する江なのですが、時には秀吉に怒りの矛先をむけ、時には秀忠に向けています。その怒りは結構たわいもないことが多く、千利休が静かにしなさいとしかった時に思わず「よく言った!」と思ってしまいました。そんな千利休も次回までの命であることがみえてしまったのですが。

そして、恋愛模様も忘れていないのが今回の大河ドラマの特徴です。江の2人目の夫となる秀勝とは、すでに他人の目から見てもお互いを意識していることを完全に意識させる演出をしています。こういうのをフラグが立っているというのかもしれません。そんな江、秀勝、秀忠といった三角関係を見ているとなんだか不思議な感じがしてきます。

歴史の場面を見てみると小田原攻めが行われていたようです。時間にして10分程度でこの見せ場が終わってしまったのは少し残念です。長く北条家が10分で滅ぼされてしまうのですからこんな悲しいことはありません。あくまで江と関係のない歴史は割愛していくということなのかもしれません。

それ以外の見所といったら三成と利休の静かなる戦いでしょう。ようやく怖い面をみせるようになった萩原聖人さんは、優しいイメージがあるのでなかなか見ている方が追いついていかないところもありますが、本来の三成とは理論家で知られているので、千利休とは相容れないところがあったのだと思います。

次回はその利休が完全に排除されていくわけですが、今までいい味を出していた石坂浩二さんだけに、ドラマから退散するのはもったいなさすぎます。確か天地人では千利休の娘が登場して親である利休の葛藤を伝えてくれていましたが、今回はそういう描写もないんでしょうね。

◆江紀行◆
神奈川県小田原市
 - 小田原城天守閣
神奈川県箱根町
 - 早雲寺