あしたまにあーな

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江 -姫たちの戦国- 第28回「秀忠に嫁げ」

2011年7月 24日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

秀吉を演じる岸谷五朗さんも段々眉毛がなくなり年老いた役柄に変わっていきます。それとともにかつてのような表情豊かではしゃぎ回るような言動もなくなり、貫禄も出てきたのではないでしょうか。50代後半にしてできた拾のことを溺愛してやまない秀吉は、自分が以前に大切にした身内である秀次のことを、厄介者扱いするようになります。

見ていて心が苦しくなるのですが、「身内の自分を殺すとは」と、秀次が言った言葉がすべてを物語っています。これから受けるきつい仕打ちや自分の居場所がないというもろさから、えん罪を認めてしまったのでしょう。この時代にあって、先の千利休といい、後の家康の豊臣家に対するしうちといい、罪をかぶせることの容易さといくら自分が身の潔白を訴えても、首謀者の思いだけですべてが決まってしまうこの時代の恐ろしさを改めて感じます。

そんなシリアスな場面で、どうして江が登場するのかいまいち理解できませんでした。高野山に追放された秀次ですが、そこに直に行って話を聞く江。まるで以前に炭屋に扮して顔を真っ黒にしながら千利休の屋敷を訪れた場面を模倣するかのような説得のシーン。仮に本当に江が聚楽第から比較的距離のある高野山まで赴いたのであれば、相当の大事であったはず。

史実に基づいてこういう脚本にしているのか、謎なところです。細かい部分で脚色するのはドラマとして盛り上げる要素になりますが、根幹をなす部分における脚色は歴史ドラマとしての信憑性を疑われることにもつながります。現代ドラマであればフィクションとしてすべて片付けることができるのですが、あくまで大河ドラマは事実をおいかけてほしいと思います。

秀次は、そういった周囲からの説得もむなしく切腹して秀次のもとに行ってしまいます。最期に鳥の鳴く声に風流だと耳を傾けるあたり、文化人としての活躍を彷彿とさせます。生きる時代が違っていれば、彼も歴史に大きな名を残す偉大な存在になっていたのかもしれません。

物語としては徳川親子を注目することによって、ぐっとおもしろみが増すようになってきました。北大路欣也さんの家康も、狸おやじといわれるようなすばらしい演技で見ていて落ち着きます。家康はたとえ江という気心が知れた存在でも、決して腹の中を見せることなく「秀次様はまじめに公務をして隙を見せないことが大切」とアドバイスするも、息子の秀忠には何かあったら秀次ではなく太閤につくようにと指示を出します。この用心深さと先見性が天下人の素質なのかもしれません。こういう素質を何気なく演技で見せるあたり大河ドラマの醍醐味なのだと思います。

次回はとうとう江が秀忠に嫁ぐことになります。恨みを持つ太閤からの話だけに、断り続けていたのですが、どのように心変わりが起こり、嫌みの多い秀忠のもとにいくことになるのか、その経緯を楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
京都府京都市
 - 鴨川
 - 高瀬川
 - 瑞泉寺
 - 秀次一族の墓
 - 豊臣秀次の墓

江 -姫たちの戦国- 第27回「秀勝の遺言」

2011年7月 17日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

前回までで江の夫である秀勝が遠く朝鮮で病死してしまいました。最期は地元住民と戯れたり心のふれあいを得ることによって、自分たちが今行っていることがいかに無意味なものなのかを思い知らされたようです。しかし、前回の描写では秀勝が亡くなってしまう直接の原因は、部下によって斬られてしまったことなので、何とも無念なことでだったでしょう。

夫が亡くなってしまったという現実を受け止められない江に、様々な人が慰めの言葉をかけることになります。まずはじめが姉である初。彼女はことあるごとに自分が住む城からやってきては色々奔走しているのですが、本当にここまで足繁く通っていたのか謎なところです。今は夫も九州に行っているので問題ないのですが彼女が江や茶々の元に訪れていたのは前からのこと。子供を作るとおっしゃっていたような気がするのですが、きっと気のせいでしょう。

自分の子供である完(さだ)を抱くことができない江ですが、この完という子供が後に有名な「さだこ」になるといいます。恐ろしいイメージのさだこですが、どのように変遷していったのか興味深いところではあります。後に完は公家に嫁いでいくことになります。

初による江の慰め作戦は見事に失敗。背景には江の中にある「自分の気持ちは誰にもわからない」という思いがあるからなのでしょう。次に慰め作戦に参加したのは京極龍子でした。この人の場合には自分の経験を話し終わってもらちがあかないと見るや「いなかったと思えばいい」というおよそ慰めになっていない言葉を残して去っていきます。シリアスなシーンなのにどこかコミカルさを残したいと思う気持ちが作者の中にあったのでしょう。ガラシャの時には、江を慰めるというよりも自分の経験談の方がよっぽど重い内容でそっちの方が目立っていたほど。

九州から戻ってきた淀も「江が自分で乗り越えなければならない」と突き放します。呆然とする江を立ち直らせたのは他ならぬ秀勝でした。秀勝からの手紙によって自分らしく生きることを思い出したのです。ずいぶんさくっと立ち直ったという印象がありますが、その前からあまり深刻さを感じなかったのは自分だけでしょうか。いずれにせよ、これから今まで以上の江の強気モードが発揮されることになります。

その強気モードが発揮された場面が、秀吉に対してでした。淀が懐妊しやがて拾という子供を産みます。後の秀頼なのですが、溺愛する秀吉に恫喝する江。これで今までの人は命を奪うことになったこともあるというのに、自分は強気一辺倒です。

関白の座を奪われることに不安がっている秀次にも、絶対に関白をやめてはいけないと諭しますが、歴史は無情にも秀次を歴史の表舞台から引きずり下ろしていくことになります。この表舞台に堂々と江という存在がいるのがこのドラマの特徴ですが、重要な場面で登場するならまだしも、常に表舞台にいる江を見ていると現実的なドラマとしてではなく、架空のフィクションドラマを見ているような気がしてきます。次回は、秀次が悲しい状況になっていく様子を描くものと思われますが、江がどのように絡んでいくのか見ていきたいと思います。

最後に、ドラマでは秀忠のこともしっかりとフォローしていて深刻な話を家康としていたにも関わらず、江のことをわざわざ持ち出して、秀忠が江に気があるようなそぶりをみせます。ここまで露骨にフラグを立てなくてもいいと思うのですが、必要なシーンだったのでしょう。ある意味わかりやすすぎる展開といえます。

◆江紀行◆
滋賀県近江八幡市
 - 八幡山城跡(八幡山ロープウェイ乗り場)
 - 瑞龍寺
 - 新町通り
 - 八幡堀
 - 桐原新橋
 - 豊臣秀次・水争い裁きの像

江 -姫たちの戦国- 第26回「母になる時」

2011年7月 10日 By: rainbow Category: 2011年_江 No Comments →

今回もすごく感じたことなのですが、恋愛模様や人を愛するという気持ちが物語全面に出ていて、そういった場面の力の入れようが半端ないことがわかります。はじめから江は夫となった秀勝のためにいろいろなことを自分でしてあげたいという思いから着物の折りたたみなどを自分で買って出ます。ところが、作者はいつものようにどこかにユーモアセンスを入れたいようで、折りたたんだ着物を落としたり、あたふたしたりする様子を描いています。

結婚した江と秀勝の役割は、関白になった秀次を監視すること。秀吉が明確にそれを指示していた場面を思い出せないのですが、どこか乗らない二人は秀次のものを訪れます。そこで、秀次の文学好きである側面を見つけて親近感を得る江なのですが、やっぱりここでもユーモアあふれる秀次を描いているのが気になるところ。それが、後の何かの場面に結びつくのならいいのですが、そういうわけでもないようなのでシリアスに描いてあげてもよかったのかなと思います。

そんなラブラブな夫婦を引き裂いていくのが秀吉が鶴松の死をきっかけとして実行に移した朝鮮出兵でした。これによって秀勝は戦に出ることになり、まるで永久の別れのような挨拶を交わして去っていきます。それにしてもAKIRAはやっぱり、この時代の男性にはやっぱり見えず、EXILEにしか見えないのが残念です。現代風な風貌がそうさせているのだと思います。

そんななか、二つの悲しい出来事が次々とやってきます。まず一つ目は秀吉の母である大政所が病で亡くなります。急いで九州から戻った秀吉は、仏前で江と対面するのですが涙も枯れて呆然自失状態です。自分の肉親を殆どすべてなくしてしまった秀吉は、このとき家族に囲まれていた昔の方が幸せだったことを思い出します。これによって何か変化があったのかと思いきや、そういう様子でもなくふらふらと出て行ってしまうのでした。

そしてもう一つは、江の夫である秀勝が病で亡くなってしまったこと。病なのですが、ドラマの中では朝鮮の地元民を斬りつけようとした家臣を止めようとして、逆に切られてしまいその傷をきっかけにして病になってしまった様子です。倒れる時はあっけない感じでした。陣頭指揮の様子ももう少し迫力を出してもよかったのに、ここで終わってしまうのは悲しい限りです。

子供を宿している江はそのことを知って、呆然とする暇もなく出産シーン。姉の茶々の時のような出産場面は割愛され、子供がそばに置かれるところから再会。江は主人公なので、逆なんじゃないかなと違和感を覚えてしまいます。

このように大切な二人が亡くなってしまうのですが、お約束のように不吉な予感をしっかりと感じる江。誰かが噂をしていてもくしゃみをするというお約束までついてきます。あまり大河ではやらないでほしいこういう演出なのですが、全体として親しみやすい印象を与えるための工夫なのかもしれません。

次回は、江をなぐさめるためにことあるごとにやってくる初お姉様も登場します。彼女は本当にここまで足繁く通ったのか謎なところはありますが、江がどのように心境の変化を起こしていくのか楽しみにしたいと思います。

◆江紀行◆
岐阜県岐阜市
 - 長良川
 - 岐阜城跡(金華山ロープウェイ乗り場)
 - 若き日の信長像 岐阜公園内
 - 織田信長居館跡
 - 菅生八幡神社
 - 川原町界隈