江 -姫たちの戦国- 第31回「秀吉死す」
前回、命がけで江を守った秀忠ですが、その後の様々な方の感想を見ていると一様に「どうして家臣が率先して秀忠を制止して自分が行かなかったのか」という疑問がわき上がっているのがわかります。ここは、余計な人を一切排除した演出なので、もはや歴史がどうだというのではなく演出としてどうしたら効果的だということが念頭にあると考えて見た方がいいと思います。
江はその事件以来一転して、秀忠のことを慕う気持ちに切り替わっています。この手のひら返しにしばらくついて行けなかったのですが、秀忠としては今まで通り自分たちがやりたいようにしようと冷静を保ちます。その冷静な態度が後に崩れていくことになります。
そのきっかけが、江と秀忠の間に生まれた千姫でした。名前は竹千代の間の文字から取ったものだといいますが、子供ができたときにはあまりうれしがらなかったにも関わらず、生まれてみるとかわいいことがわかり、次第に実感を持って行ったのか、溺愛するようになります。にこにこしながらかわいいと抱きかかえる姿は、これまでのクールな秀忠からは想像しえない状況であり、この姿こそが家康が望んだ心を開くということなのかもしれません。
しかし、家康は千を豊臣秀頼に嫁がせることを早々に決めてしまい、あたかも自分の子供のように扱います。このときに秀忠がどのように振る舞ったかは描かれていませんが、江は自分の子もまた政治の道具とされる運命を嘆くことになります。後にも出てきましたが、江は様々な逆境に経たされながら生き抜いていきたという人生であることがわかります。そういった基本路線がようやく今回理解できました。
次第に衰えていく秀吉の描写も、行ったり来たりしている感じがしてなりません。家康のもとに見舞いに訪れた秀吉は足取りも元気で江からにらまれておどおどしているかと思いきや、縁側で血を吐いてしまいほど衰えてしまいます。その後、花見で踊りを見せたかと思いきや再び寝込んでしまいます。この落差がすごいのに、本当にそうなのかなと思ってしまいます。
それにしても、ほとんどの視聴者の方が桜の花びらおすごさに驚いたのではないでしょうか。目の前が完全に桜で覆われてしまうほどものすごい量を振らせてくれたスタッフの皆様、本当にご苦労様です。部屋の中まで入ってくる桜吹雪が圧巻でした。
そしてとうとうそのときがやってきます。江に会って「幸せになってくれ」と言い残した秀吉はその勢いでなくなってしまうのではないかと思ったのですが、さすがに秀吉を看取ったのが江、というシナリオは脚本としてかけなかったようで、最後は北政所のもとでなくなっていきます。
すでに、三成と家康の戦いのフラグが立っていて次回からは激戦を繰り広げることでしょう。ものすごい早い勢いで過ぎていく重要場面ではありますが、ここからが江の本番です。残り少ない時間の中で何に時間を費やすのか興味があるので、見続けたいと思います。
◆江紀行◆
京都府京都市
- 醍醐寺
- 三宝院庭園
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