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空から地球を記録する男

2008年9月 15日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

ヤン・アルテュベルトラン。

62歳になる彼は、世界でも有名な環境航空写真家です。「人類と自然の共存」をテーマに世界の隅々を記録した作品は10万点を超えます。

ヤンさんの作品が来年「HOME」という映画として公開されます。ヤンさんの写真は、そのどれもがメッセージを持っており、世界中の人々がそのメッセージに心を揺さぶらされ、そして地球環境の危機感を改めて感じるのです。現在、ヤンさんの作品は34カ国で特別番組として放送されています。

熱気球から見た壮大なサバンナに心を突き動かされたのがきっかけで、それ以来世界中の空から撮ってきた写真は既に100万点を超えています。

アフリカでは、人間と動物の共存を実現する上での大きなほころびを映し出してきました。

ヨルダンの首都アンマンでは、現在民族紛争以外にかかえている大きな問題、水不足を映し出してきました。アンマンでは給水車から購入し、水が必要な洗濯や掃除は週1回という状況に陥っています。同じ砂漠地帯であるはずのラスベガスではエンターテイメントとして大量の水を浪費しているのです。

フランスの海では、サークル状の養殖場で発生している食料危機の問題を表現しています。1?の魚を養殖するのに天然の魚を4?えさにするという大きな矛盾にメスを入れたのです。

世界最大の銅鉱山では、1トンを掘り起こして出てくる銅はたったの6kgをいう現実を突きつけます。自分たちの生活を守るために、地球に大きな爪痕を残しているのです・

地球の今と昔が全く違うことを伝えること、それが仕事だとヤンさんは語ります。

そんなヤンさんの映画のシーンとして東京も入れたいとして、先日来日しました。高層ビルが立ち並ぶ大都市の人々が暮らすその姿を象徴的に取りたいということで、早速ヘリコプターをチャーターし、東京、横浜の上空を映し出し始めます。

ヤンさんの写真の哲学、それは「ディテールに神様はいる」

その言葉が示す様に映像の細部にまでこだわります。パイロットと、撮影者の気持ちがシンクロして初めていい写真を撮ることができるというのです。

まず、ヤンさんが気に入った場所は横浜の大黒ふ頭です。世界一美しいインターチェンジと評し、輸出用の車が整然と並んでいる港もいっしょに写します。

次に訪れたのは、東京・築地市場。ヤンさんはマグロのセリ場が気になるそうです。マグロが世界中の海で乱獲されている事実に心を痛めていて、ここはまるでマグロの死体置き場だと嘆きます。このままとり続ければ、いずれ世界の海からマグロがなくなってしまうと不安視しているのです。

現場の人たちに話を伺うと、彼らは、獲りすぎはアメリカなどで行われている巻き網漁のほうが影響が大きいと言います。アメリカなどでは食用というよりもキャットフードなどで使われているそうです。日本ではマグロは生活に深く根付いている文化なので、難しい問題ではあります。

そして最後にヤンさんが訪れたのは、日没寸前の渋谷のスクランブル交差点上空です。信号が変わる度にこれほどの人がわたる交差点は、世界中にここしかいないとヤンさんは言います。

ここは自分が望む世界とは正反対で、消費国家日本の象徴だということでこの街を選んだそうです。20年後、この街の姿は確実に変わっているでしょうとヤンさんは警告します。

本当にそうなっているのかどうかが分りませんが、世界中で起こっている状況を客観的に見つめることができるヤンさんの警告から、自分たちが何をすることができるのかを改めて考え、そして行動しているんだということを世界中の人たちに訴えていき、さらにその動きを世界レベルまで広げていくことが大切だと思います。

来年公開の映画「HOME」に注目しましょう。

【参考】素敵な宇宙船地球号 9月15日

空から見た地球―21世紀への遺産 空から見た地球―21世紀への遺産
(2000/02)
ヤン アルテュベルトラン

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大都会の侵入者を捕獲せよ!!

2008年9月 08日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

アメリカの大都会、夜遅くに街の中に姿を見せるのはアライグマ。彼らはセントラルパークの一角に暮らしていて、雑食のためこの大都会でもたくましく生きています。

しかし、ニューヨークでは今このアライグマを巡って大問題となっています。アライグマに接触すると、様々な病気に感染する危険性をもっているというのです。例えば、狂犬病、アライグマ回虫などの感染症が挙げられ、亡くなった人も存在します。

街中には、アライグマへの注意を呼びかける張り紙がたくさんあります。アメリカではアライグマは、ネズミやゴキブリと同様に感染症を持つ生物として同じ扱いを受けているのです。

このことは日本人にとってすごく意外に感じるかもしれません。アライグマはアニメでも登場するほどかわいらしい存在として、日本では扱われてきました。

しかし、アライグマは牙がすごく、凶暴であることを知っている人はあまり多くないと思います。なかには手を何針も縫ってしまうケガをしてしまった人もいるくらいで、そのあまりの凶暴さに、手ばしてしまう人も多く存在します。

そうやって野に放たれたアライグマは、野生動物に多くの被害を与えることになります。千葉県では在来種の亀100匹がかみ殺される事件もアライグマを起因として発生しました。繁殖したアライグマの猛威は都市部にも広がっています。

アライグマは危険な動物であり、感染病をもっている危険性もあるので、気軽に触ったりしてはいけないのです。改めて再認識しておく必要があります。

外来種は、東京と神奈川の間を流れる多摩川でも多く発見することができます。川崎漁協によると、多摩川だけで100種類以上の外来種がいるそうです。

<多摩川にいる外来種>
・グッピー
・エンゼルフィッシュ
・タイガーオスカー
・レッドテールキャットフィッシュ

いずれも南米など外来種であり、日本にいるはずのないものばかりです。多摩川にいる原因は大きく2つ。一つ目が、観賞用に買った人が多摩川に捨てていること、そして2つめは、多摩川の水温が高いのでそういった魚が生き続けられる環境であることがあります。

水温が高いのは、温暖化も影響しているのですがその多くは工場排水や下水排水によって水は綺麗になっても水温が高いまま多摩川に放流されることが挙げられます。

大田区の呑川でも、肉食魚アリゲーターガーが悠々と泳いでいます。捕獲したアリゲーターガーの体長はなんと114cm。大きくなると3mにもなるそうです。

このように外来種による被害は大きくなるばかりです。しかし、一番かわいそうなのは動物や魚たちなのです。彼らに罪はありません。欲しくなったら飼い、いらなくなったら捨ててしまうその人間の身勝手な行動が、自然のサイクルを壊しているのです。

自分が珍しいものを飼うんだと決めたとき、最後まで責任をもって飼うという当たり前のことを、忘れてはいけないのです。

ぜったいに飼ってはいけないアライグマ ぜったいに飼ってはいけないアライグマ
(1999/10)
さとう まきこ杉田 比呂美

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砂漠の巨人の独りごと

2008年9月 01日 By: rainbow Category: 環境問題 No Comments →

アメリカ大西部アリゾナ州、カリフォルニア州、そしてメキシコ合衆国ソノラ州にかけて広がるソノラ砂漠。ここには、無数のサワロサボテンが一面に広がっています。

このサワロサボテンは、アメリカ西部を象徴するような高さ17メートル、重さはなんと20トンにも及びます。さらにすごいのはこのサボテンが200年も生きるということ。まさに名実共に砂漠の主なんですね。

それでは、このサワロサボテンの生態を見ていきましょう。サボテンの周囲には実に多くの動物たちが生活しています。彼らは、普段はこのサボテンによって外敵から守られていたり、住居になっていたりもするのです。外敵もサボテンの強力なとげにそれ以上襲ってくることはありません。

彼らは、ただサボテンに守られているだけではありません。サワロサボテンは、1年でたった1日だけ午前0時頃から花を咲かせます。50年以上生きてきたサボテンだけが実を付けるのです。その熟したメロンのような香りの花に多くの鳥がやってきます。

鳥たちはサボテンの受粉を助け、それによって受粉したものは赤い実をつけます。この実の中に40万個もの種が存在し、実を食べようと、鳥やカメ、イノシシ、ネズミたちがサボテンの周りに群がります。

動物は、サボテンの実を遠くまで運んでいくことによって、繁殖を繰り返すのです。このようにサボテンを中心にもちつもたれつの砂漠の命の連鎖ができているのです。

次にサワロサボテン自身を見てみます。

砂漠という環境上、いかにして水を得るかに命がかかっているといえます。サワロサボテンは、とげの先端からでさえ水を吸収でき、根っこも地表すれすれにあるといったように、ありとあらゆる場所から1滴も水を逃さないような構造になっています。

一度水分を吸収すると、内部のスポンジ状の部分に大量の水を蓄えられます。最大で体重の倍くらいまで水を蓄えることができるというのですから、1本でものすごい量の水を蓄えられることが分ります。

また、サボテンの内部に骨格を持っていて、強風に耐えています。まさに柔構造の免震設計になっているのです。これで、強風が吹いてもびくともしないのです。

サワロサボテンは、まだ小さい赤ちゃんの頃はナースプラントと呼ばれる小さな灌木の下で直射日光をうまく遮りながら成長するものが多く存在します。うまく灌木を利用できたサボテンはその寿命が長いようです。

このサボテンに対して昔から人々は尊敬の念をもって接してきました。先住民トホノ・オオダムはその昔から今もなお、サボテンの実をとって心臓に付けて祈ることで雨が降ることを祈っています。

ところが、このソノラ砂漠にも異変が起きています。恵みの雨がたった3時間で止んでしまうのです。このアリゾナでも地球温暖化の波はやってきていて、年々降水量が減っているそうです。

さらに、砂漠を浸食する人間達の存在もサワロサボテンにとって驚異となりつつあります。アリゾナ州ツーソンはこの10年で30%もの人口増で、大量の地下水を使用していることから、サボテンへの影響も懸念されているのです。

この危機に対して、サボテンと人間が共生する道を模索し始めています。

自然も人も人一人では生きていけない

そのことを今一度考えてみるいい機会なのかもしれません。自分たちよりもずっと長い間地球を見てきた大先輩であるサワロサボテンに敬意を表し、生態系を守るような都市設計をしていかなければならないと思います。

【参考】素敵な宇宙船地球号 8月31日

不思議なサボテン 電磁波を吸収する!?  『2008年8月28日 入荷商品 』