バイオ燃料を使うときに注意すべきこと
環境対策に積極的な対策が採られつつある今、自分たちの身の回りでわかりやすい対策の一つが、トウモロコシやサトウキビなどから獲れるバイオ燃料の利用ではないでしょうか。日本でも徐々にではありますがバイオ燃料の利用が進みつつあります。
その流れに逆行するかのように、京都市交通局はこれまで行っていたバイオディーゼル燃料を100%使った市バスの実用化を断念することにしました。使用済みの天ぷら油から精製した100%バイオ燃料をごみ収集車に使い、市バスは軽油に5%混ぜて実験をしていたのですが、市バスではバイオ燃料がエンジンオイルなどに染み出す不具合が判明し、運行を続ければエンジンが故障する可能性が高いとして実験を取りやめたそうです。
同様な事象は、兵庫県姫路市の運送会社でも行っていて、集荷作業中にエンジンがかからなくなったそうです。バイオディーゼル燃料に含まれる不純物で燃料フィルターが詰まり、燃料が供給されなくなったのが原因だとされています。
このように使用済みの油から作ったバイオ燃料を使用することによって、燃料フィルター部分に不純物が溜まってしまうのであれば、使用済みなのが問題なのではという考え方もできます。
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のレポートによると、バイオディーゼルには燃料に含まれるバイオディーゼルの量に応じた溶剤効果があるといいます。これにより燃料システムをきれいにし、過去のディーゼル使用により燃料タンクの壁やパイプに溜まった付着物を取り除くこともあるというのです。
始めに普通のディーゼル燃料を使っていた自動車が、ある日からバイオディーゼル燃料を使い出すことによって、これまでついていた付着物が剥がれていきます。その剥がれ落ちた付着物がフィルターに詰まってしまい、結果としてエンジン停止にまでなってしまうのです。なので、一度詰まった燃料フィルターを積極的にチェック、交換することで付着物をとれることから、それ以降は問題なく使えることになります。
始めから100%のバイオ燃料を使うことはないと思うので、定期的な燃料フィルターの点検が必要ですね。大事故につながる危険性をもった非常に大きな問題であることから、改めて安全で安いバイオ燃料の登場が求められます。
【参考】
・NEDO http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1026/1026-06.pdf
・Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000019-kyt-l26
図解入門 よくわかる最新バイオ燃料の基本と仕組み―次世代エネルギーの動向がわかる バイオマス燃料の現在・未来・課題 (How‐nual Visual Guide Book) (2008/05) 井熊 均バイオエネルギーチーム |