次第に物語は攘夷一色の世界になって行きます。まず驚いたのが、久坂玄瑞が三条実美という有力と直接話をしている部分。おそらく様々なつてを使ってこの相談事が実現したのだと思いますが、突然久坂が話す場面でその相手が三条という構図には、少し違和感を覚えました。
口内炎のため話をすることができないということを教えてもらったのが、京の芸妓である辰路という人物。彼女の中にも自分が立身出世するためには、有力者で世の中に名声をあげるような人物についていくことが最善であるという志をもっていて、その相手としてロックオンされたのが久坂でした。おそらくぶきっちょな久坂ではありますが時間をかけて徐々に彼女に近づいていくことは間違いないでしょう。その時に、主人公である文はどうなってしまうのか不安ではありますが。
そして今回、もう一つ大きな点として寅次郎の名誉が回復したことがあげられます。まだ時間が経っていないのではないかという感じもありますが、萩を中心に寅次郎の残した言葉を学びたいという者が数多くあらわれたことによって、なし崩し的に認められたという雰囲気を感じました。藩として寅次郎を罰した経緯や意志を変えるのですから、そこには毛利敬親の「久しぶりに寅の言葉が聞きたくなった」というだけではなく、理由付けをしてもらわないと、彼の死も報われないのではないかと思います。
最後のイギリス公館の焼き討ち事件に向かう高杉、久坂、伊藤たちの行進は、まるで石原軍団で登場するかのような雰囲気で、演出としてどうなのかなと感じました。みんな決意に満ちた表情のなかで、数人がにやけていたりして、ねらっている感を出してくれたのは素敵なのですが。
このように、徐々に、攘夷運動は本格化して長州の立場も難しい状況が続くことから、登場人物がどのように振る舞っていくのか楽しみにしたいと思います。
◆花燃ゆ紀行◆
東京都品川区
- 土蔵相模跡