涙と笑いの節分
すでに節分に向けた準備は、上の子供によって1週間ほど前から密かに行われていました。
高いところに置かれている紙で作られた豆入れの枡と鬼のお面。既に私が鬼をやることで決定していたようで、どこから侵入してどこから逃げていくのかといったシナリオまで決まっていたのには驚きを覚えます。
さらに、お面は私が装着しやすいように結束ビニール紐と輪ゴムを使って伸縮性に富んでおり、その完成度は非常に高くなっています。
始まる前に、「パパ、ちょっとこれかぶってみて」と言われ、微調整が行われた後、下の子供を抱っこした奥さんと上の子供が豆を持って、シナリオ通りに玄関に行くように指示され、静かにその時が始まりました。
「いいよ!」
玄関から大きな声で「鬼だぞ!」と思いっきりベタな台詞をはきながら、鬼のお面をかぶって登場すると、まずそれを出迎えるのが上の子供。あらかじめ用意周到だった豆を真剣な表情で思いっきりぶつけます。
あまりにも真剣なので、思わず笑ってしまいそうになるのを必死にこらえながら、今度は奥さんに抱っこされている下の子供の方を見ると、全力で泣き叫んでいるではありませんか。
この世の終わりではと思うくらい聞いたこともないような大声で泣きながら暴れている姿を見ると、なんだか自分がものすごく悪いことをしているのではないかと錯覚してしまい、上の子供の豆がなくなって早々に「やられた」と、これもまたシナリオ通りに退散し、ほっと一息をつきます。
しばらく取り乱していた下の子供も元気になった頃を見計らって、戻ります。
その後は、恵方巻きを今年の縁起のいい方向を向いて、黙って食べて節分大会は終了しました。南南東を探すのに、一苦労する場面もありましたが、楽しく過ごすことができて子供達にとってはいい思い出になったのではないでしょうか。また来年は違った楽しさを見つけることができるのではと今から楽しみで仕方ありません。