パンがコメの支出を逆転
1985年には、米への支出が7万円、パンに対しては1万円だったのですが、年々米への支出は減少を続け、なんと2011年には米とパンが逆転し、いずれも支出額は3万円程度になったことが、総務省家計調査の結果から明らかになりました。
ここでいう「米」とは、調理済みのものは含まず、炊飯器で炊く前の米のことを示していて、家庭の中で米にお金を支払うという当たり前の文化が変化していることを如実に示す結果になったと考えられます。
主な要因としては、
・高齢者や共稼ぎが増え、調理済みのものの購入が増加した
・パック詰めのご飯が震災後注目を浴びて、前年比40%もの伸びを示している
といったことが挙げられるといいます。
自分の生活について振り返ってみると、ご飯を食べなくなったというイメージはあまりないのですが、急激な減少をしている過去30年間で比較することができる人にとっては、昔よりも米を買わなくなったと感じるかもしれません。
コンビニやスーパーでの弁当やおにぎりなどは、その研究の成果からか年々美味しさを増しているような気がします。使っている食材や塩、海苔などを徹底的にこだわり、値段もかなり抑えられていて家で作るよりも買って食べた方がお手軽で、美味しいという状況になってきているのもあると思います。
米に対してお金を使わなくなっている要因は、上記の他に米の値段そのものが下落しているということもあると考えられます。総務省「小売物価統計調査」によると、平成16年から平成23年にかけて米の小売り価格は約20%も下落していることから、上記要因に付加的に考慮しておく必要があります。
さらに、米を炊くという行為自体も減っていることが考えられます。その結果、家電メーカーも今までと同じように待っていれば炊飯器が売れる状況ではなくなっていることから、米を炊くことに「本物志向」「高級志向」という新しい領域を求めて訴求せざるをえなくなっています。量販店に行くと、備長炭で炊いた風味などの値段の高い炊飯器が圧倒的な存在感で売られていることからも、現状を見て取ることができます。
このように、手軽なパンの消費、支出はこれからも伸びていて、米への個人の支出は減少を続けていくことでしょう。この状況がいいのか悪いのか、今はまだ分かりませんが、今後世界中から米が流れてくる時代を迎えたとき、さらに小売価格は下がることになるでしょう。そのとき、生産者を含めた流通がどのようになって行くのかをシミュレーションしておく必要がありそうです。
【参考】
・日本経済新聞 2012/05/04
・米ネット http://www.komenet.jp/
|
|
|
◆関連する記事◆