未来をひらく 福澤諭吉展
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」
福澤諭吉の有名な著書「学問のすすめ」の冒頭の一節です。みんな平等なんだということを言っているのですが、福澤諭吉のことをすこし知ってみると彼は現代にも通じるもっと多くのことを残していることが分かるのです。
今日まで、東京・上野にある東京国立博物館 表慶館で開催していた「福澤諭吉展」のチケットを入手したので、早速行ってきました。あいにくの雨にもかかわらず中には実に多くの人が訪れていて、年齢層も多岐にわたります。館内は7つのテーマから構成されており様々な福澤諭吉の考え、そして影響を知ることができます。以下、テーマを紹介します。
1.あゆみだす身体
「身体」こそすべての源であり、まずは元気でないといけないということで、福澤の様々な健康的な日常生活を知ることができます。
2.かたりあう人間
冒頭の言葉にあるように、人間はみな平等であり、男女の差などないと言っています。福澤には男女あわせて9人の子供がいるのですが、全て女子でもいいというくらい、女性差別の世界をくだらないと説いています。また、家族の団らんを何より大切にする福澤のエピソードも紹介されています。
3.ふかめゆく智徳
努力をして勉強をすること。生まれながらにもっている才能に頼るのではなく、努力をすることによって成し遂げることができると説いています。
4.きりひらく実業
一生懸命勉強し学んだことを社会に役立てて、貢献しなさいと福澤は言っています。その教えもあってか、実に多くの社長が日本各地で活躍していることが紹介されています。
5.わかちあう公
演説を日本で始めたり、時事新報の発行などこれまでの日本にないようなメディアを発展させていく様子をみることができます。
6.ひろげゆく世界
咸臨丸にのって世界に渡るなど、国際社会との取り組みを積極的に行います。館内では、福澤が海外から持ち帰ってきたとされる乳母車が展示されていました。今でも使えそうなしっかりとしたオシャレなベビーカーです。
7.たしかめる共感
福澤はほとんど美術については言及していませんが、それでも福澤の言葉に影響された様々な人の芸術作品が紹介されています。陶器の展示が多かったような気がします。
福澤諭吉について知るに連れて、彼こそが今叫ばれている「ワークライフバランス」の先駆者なのではないかと思えてきます。家族を大切にし、一生懸命勉強すること、自分が正しいと思えることを声を大にして言い圧力に負けないこと、自分が学んだものを使って社会貢献すること等本当に多くのことを学ぶことができます。
今の時代にあって、福澤諭吉が生きていたらどのような評価を下すのでしょうか。改めてあるべき姿と自分の行動理念を再考するいい機会となった展覧会となりました。
福澤諭吉が生きていたら (2008/11/06) 諭吉インサイドプロジェクト出版委員会 |
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