メタンハイドレートは絶滅への片道切符
皆さんはメタンハイドレートという物質をご存じでしょうか。メタンハイドレートとは、メタンガスが高圧・低温の海底や凍土の下にシャーベット状に固まったもので、日本近海だけでも国内で年間に消費する天然ガスの90年分に相当する量が眠っていると言われているものです。
エネルギー資源が乏しい日本にとってこれほど嬉しいものはありません。わざわざ高い原油を海外から購入する必要がないですし、逆に海外に売ることで高い収益をあげることができます。国家プロジェクトとして2018年ごろの商業化を目指して研究開発を行っているのも頷けます。
しかし、ここで問題が生じます。現在地球上に排出されるメタンガスは、主に野牛や家畜の牛、羊などによる呼吸やゲップなどがありますが、これらの排出を厳しき取り締まっている国すらもある恐ろしい気体なのです。
それはメタンガスが温暖化ガスとして排出を制限されている二酸化炭素の実に21倍もの温室効果を持っているからです。現在大気中に存在するメタンガスは大気中の含有量がわずか0.00022%にしかないため、メタンが温暖化に影響を与えるような数値ではないことからあまり話題にならないのですが、これが大量に大気に放出されたらと考えると・・・
二酸化炭素と違ってメタンは空気中に放出されると12年程度で分解されるので問題ないという考え方をする学者などもいますが、徐々に開発が進み次々とメタンガスが空気中に放出され続けると、分解の量を放出の量が上回り20倍以上の威力を持って地球を包み込んでしまうことになるのです。
地熱発電や風力発電、太陽光発電と地球に優しい代替エネルギーが模索されているなか、この流れに完全に逆行する施策に対して日本が国家プロジェクトとして先導することに疑問を感じざるを得ません。環境問題や将来対策は、人間の欲望の前には無力なのかもしれません。
【参考】日本経済新聞 2月19日
地球の内部で何が起こっているのか? (光文社新書) (2005/07/15) 平 朝彦徐 垣 |
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