ゴミと闘うハリウッド
カリフォルニア州ロサンゼルス。映画の都ハリウッドもあり夢のよう場所なのですが、街の様子をよく見てみると至る所がゴミで溢れていることが分かります。
そのゴミをひたすらビデオカメラで撮り続ける一人の男性がいます。その人はビル・マクドナルドさんです。ビルさんは世界的に有名な水中カメラマンでハワイや東南アジアなど多くの場所で美しい写真を撮り続けて来ました。ところが、近年水中で見たものはプラスチックゴミが足にからみついたクラゲや発泡スチロール製のコップを住み処とするタコでした。自分たちが捨てたゴミが遠く離れた海洋生物の命を脅かしているのです。
このロサンゼルスという街は、特殊な地形によってゴミ問題になりやすい場所なのです。人口約1600万人のロサンゼルスで、海に流れ込む主要な川はロサンゼルス川とサンガブリエル川の2本しかありません。余り雨の降らない春から秋にはゴミが川や水路に溜まり続け、嵐が襲う冬がやってくると大量の雨がそのゴミを一挙に海に押し流すのです。その押し流すゴミの量は3日間で25億個、重さにしてなんと60トンもあるといいます。ロサンゼルス川は、護岸工事が行われていて周りがコンクリートで覆われているため、河口まで一気に流れていきます。
そんなゴミをレニー・アーキンストールさんは黙々と回収しています。それを時々役所に引き取ってもらっているのです。レニーさんはブームというゴミをせき止める道具を使って一人で年間70トンものゴミを回収しているのです。その働きからレニーさんは市から川の管理を委託される存在でもあります。サンガブリエル川はかつてひどい状態だったのを、レニーさんは一人で片付け続けました。そうしていくうちに、たくさんの鳥や植物がいることに気づき、こんなに美しい場所なんだと分かったときやれるところまでやってみようと思ったそうです。その成果なのか、一時期絶滅が危惧されたブラウンペリカンもレニーさんの近くに寄り添います。
ロスセリトス湿原をかかえるこの地域を含め、かつてロサンゼルス近郊はすべて湿地帯だったのですが、今やその95%が失われていると言います。その川上にあるロサンゼルスの街で、ゴミの問題について市民に聞いてみると、「レジで出てくるのだから減らすことなどできない。分解されて土にかえるようなものを作ってくれればいい」「ゴミ箱にきちんと入れるよう指導するべきだ」など、まるで他人事のようなことを言う人までいます。
ロサンゼルスの街では、ゴミは半分自動的に回収され資源の再利用などは考慮されていません。毎日1000台以上のゴミが1箇所の処分場に運ばれ、そのまま埋め立てられているのです。
このような状況に対してシュワルツェネッガー カリフォルニア州知事は、大胆な取り組みを開始しました。海に流出するゴミを500億円かけて10年間0にしようというのです。これからその成果が問われていくことになるでしょう。
さらに市民レベルでも取り組みが始まっています。サンタモニカ高校環境部の学生達が、レニーさんやビルさんからゴミの問題についてレクチャーを受けます。ビルさんは、生態学よりこの場所で起きていることを肌で感じることが重要だと言います。その話を受け、サンタモニカ高校の生徒達は、ゴミを体にまとったキャップウーマンになってサンタモニカ市議会に乗り込みます。さらに街中をデモ行進し、レジ袋を使うのは止めようと呼びかけるのです。
レニーさんは、清掃作業がいずれはしなくても良くなる日が来るのを夢見つつ作業を続けます。このゴミ問題はアメリカだけの話ではありません。私たちに一体なにができるのでしょうか。
【参考】素敵な宇宙船地球号 2月15日
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