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「フリーガン」に学ぶ”モッタイナイ”精神

2009/01/12 Category: 環境問題

アメリカはニューヨーク。そのスーパーでは多くの商品が並べられた陳列棚があり、見栄えをよくするために実際に売れる量以上の商品を並べています。ということは当然そのうち何割かは捨てられてしまうことになるのです。その店から捨てられた商品のゴミを拾いに来る人たちがいます。彼らは決してホームレスではなく普通の生活を送っている人々です。

その彼らが「フリーガン」と呼ばれる人々です。そのフリーガンというユニークなライフスタイルをおくる人々が注目を浴びています。フリーガンとは、フリー(自由)とビーガン(菜食主義)を重ねた造語で90年代にシアトルなどで始まった活動のことで、その活動を行う人は徐々に拡大を続けています。フリーガンは、まだ食べられる食品を拾う活動の他にも、捨てられている自転車なども再利用する活動を行っています。

彼らフリーガンがゴミの中から次々と取り出すのは、まだ食べられるのにスーパーなどで捨てられてしまった食品の数々です。それらの商品は見た目の劣化と共にアメリカならではの事情がそこにはあります。アメリカは訴訟が多い国として有名で、仮にお店で再利用した商品によって健康被害が生じてしまった場合には店側が訴えられてしまう危険性をもっているのです。そのことから、店としてはリスクのある商品は皆捨ててしまわないといけません。このように廃棄されてしまった食品はアメリカ全土で年間4000万トンにも及び、深刻な社会問題となりつつあります。

こういった問題に立ち向かうべくフリーガンは立ち上がったのですが、彼らにも立派なルールがあり、それを確実に守りながら活動を進めています。以下にそのルールを示します。

・ルール1
  安全と衛生管理のため、賞味期限内の包装された食品だけを持って帰ること
・ルール2:
  食品を収集した後はゴミ袋を必ずもとの場所へと戻すこと

これらのルールを守りながら市民権を得ようとしてるフリーガンですが、まだまだ世間の理解を得ているとは言えない現状があります。フリーガンの存在が有名になるにつれ、お店側もゴミ置き場に鍵をかけるなど、阻止しようとする動きが広がってきています。また、ゴミを持ち帰ることを違法として扱うところもあり、十分に広がらない要因は数多くあります。周囲にフリーガンであることを話すと、軽蔑の目で見られてしまう現状ですが、次第に市民からの理解が得られるように、フリーガンの人々も日々努力をしているのです。

近年、こういった食糧問題について多くの場所で取り組みが始まりました。その一つとして、「スープキッチン」と呼ばれる教会でのイベントが挙げられます。また、ビル・エマーソン食糧寄付法という法律も施行されています。これは、寄付したもので健康上問題が発生してもゴミの出し元に責任を問わないという画期的なもので、今後広がりが期待されています。ドギーバッグという食べ残しを減らすために持ち帰れるような容器を提供するサービスを始めるレストランもあり、人々の食糧を大切にする考えは徐々に草の根レベルで広がりつつあるのです。

日本に目を向けてみると、ニューヨークで同じようなことをすると法律や条例など様々な問題があるのですが、食糧への危機であることには変わりありません。日本では、1年間に消費される食品が約3000万トンあり、そのうち1900万トンが廃棄されているという驚くべき調査結果がでているのです。1900万トンのうち、家庭から排出されるゴミは1100万トンで、企業から出るゴミの量800万トンを大きく上回っています。

京都にある南部クリーンセンターでは、家庭ごみ組成調査で家庭から出るゴミの組成を調べています。その結果、生ゴミ300世帯分のうち、食べ残しの量が4割で手つかずの食品が1割もあったというのです。センターの方は食に対するありがたみが薄れてきてしまっていると嘆きます。

日本から生まれ今や世界共通語とかしつつある「モッタイナイ」。この言葉を使っていた日本は既に過去のこととなっています。アメリカ以上の浪費国家となってしまった日本は自給率が半分もないのです。外国に頼っている身でありながら、その食糧を捨ててしまうのはあまりにも悲しすぎるのではないでしょうか。大切なのはきちんと最後まで責任を持って使うこと。今一度自分も含めて、大切に食べる気持ちを思い出したいと思います。

【参考】素敵な宇宙船地球号 1月11日

エコロなココロ―地球と「私」にやさしい家事改革のススメ エコロなココロ―地球と「私」にやさしい家事改革のススメ
(2001/11)
赤星 たみこ

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