ゾマホン汗かき奮闘記 続編 青い悪魔を駆逐せよ!
日本から1万4千キロ離れた西アフリカの国ベナン共和国にあるノコエ湖に「アフリカのベネチア」と呼ばれる水上集落ガンビエ村があります。ガンビエ村を含めベナンはここ数年、深刻なゴミ問題が広がっていて水質汚染によって多くの人が命を落としたり伝染病などにおびえる生活をしていました。
そこへ、ベナン共和国出身でビートたけしの付き人であるゾマホン・ルフィンさんが故郷を救おうと立ち上がったのが2008年2月です。フジタの島多義彦さんの力を借り、湖にカキ殻を沈ませ、フジツボなどがかき殻に付着しそれらの働きによって海水が浄化されていきました。住民の意識を少しずつ変えるきっかけを作ったのです。
時は経ち、2009年。ベナンに再び降り立ちノコエ湖を訪れたゾマホンさんがみたノコエ湖は緑一面のじゅうたんが敷き詰められていたのです。それは日本でもおなじみの水草であるホテイアオイでした。このホテイアオイが異常繁殖していたのです。
ホテイアオイによって海水に光が届かず水中の植物が光合成を行うことができないことから、海水内の酸素が欠乏してしまい魚なども生きていくことができなくなってしまいます。また、腐ったホテイアオイが湖底に堆積し、ヘドロ化してしまう恐ろしい植物です。ホテイアオイは5大陸50カ国で自生しており、「青い悪魔」と呼ばれ恐れられているのです。
大発生してしまった原因は、生活排水の垂れ流しによって水が富栄養化してしまい、窒素やリンを栄養源とするホテイアオイに十分な栄養を与えてしまったことがあげられます。ノコエ湖のカキ殻浄化装置がある場所でも、ホテイアオイで一杯になっていて近づけない状況になっていて浄化装置が動作しているかも不安です。水が連続的に流れる場所をはやく作ってあげないと、腐ってしまいよけい水が汚れるといいます。早速ホテイアオイを人海戦術で取り除くことにします。
一日掛けてようやく取り除くことができました。今後は定期的に駆除してかないといけないことを村人は感じ取ったようです。取り除いたホテイアオイは、再び船に積み込んで畑の肥料にしている村人からは芽生え始めたリサイクルの考え方が見て取れます。
しかし、ベナンのゴミ問題はまだ氷山の一角です。ノコエ湖が大西洋へと注ぐ場所は未だにゴミの山になっていました。上流から流れてくるゴミがすべてここに集まるのです。ゾマホンさんはこのゴミ問題へと立ち向かいます。
ゾマホンさんが日本から持ち込んだ技術は「廃プラスチック油化装置」です。これは、プラスチックを熱分解し、溶けて気化したものを再度冷やして燃料を作りだす装置で、ビニールなどのプラスチック製品を装置に入れるだけで、石油やガソリンを生成することができる魔法の装置です。この装置を開発した株式会社ブレストの伊東昭典社長と共に、早速ベナンで実演を実施します。
実演では、ベナンの人が持ち込んだゴミを装置に投入し1時間経ってできたガソリンで船を動かし、その利用価値の高さをベナンの人に示すことができたのです。ブレストが作ったBlester?1という装置は、100kgの廃プラスチックゴミを90kgの油にすることができるそうで、日本でも今後積極的に利用すべきすばらしい商品です。
このように工夫次第でゴミは再利用することができるのです。ゾマホンさんは日本の人はこういう装置でゴミを減らす努力をしているとベナンの人に紹介しています。その言葉に恥じないように、プラスチックゴミを再生させさらにそれを利用する仕組みを構築することが大切だと思います。日本でも、ゴミ問題について生成したガソリンを買い取ってくれたり、装置の購入に大幅な補助を行政が行うといった方法など、手を打つことができるものはまだまだあるのではないでしょうか。
【参考】素敵な宇宙船地球号 1月25日
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