新たな進化!? ホッキョクグマの悲鳴
やせ細ったホッキョクグマが陸地をよぼよぼと歩いていきます。ホッキョクグマは氷の上にいないとアザラシを食べることができません。飢えに耐えれなくなって陸上のコンブを食べ始め、何日も歩いてようやく卵3個をGETすることができました。
カナダのバンクス島
ここでは先住民を中心にホッキョクグマの狩りが行われていて、アメリカで禁止になっている狩りをカナダでは許可されているので、多くのアメリカ人がここに訪れます。
そこで、体は真っ白なのに目の周りが茶色のホッキョクグマが狩られました。今まで知られていないような種類のもので、調査の結果ホッキョクグマとグリズリーの交配種であることがわかりました。体は、グリズリーのように腕の筋肉が盛り上がっていて、長いつめを持っています。
このような交配種が出てしまったのには、理由があります。
今ではホッキョクグマとグリズリーがすぐ近くに生息していますが、30年前までグリズリーとホッキョクグマとの生活圏がはっきりとわかれていました。だんだんグリズリーが北上し、ホッキョクグマがグリズリーのいる陸上に近くなっていくことで交わってしまったのです。
さらに、氷が温暖化によって早く割れてしまうため、ホッキョクグマは溶けていってしまう氷に乗り遅れてしまい、グリズリーと生活を共にするようになってしまったのです。
海岸に近い大陸棚の上でないと、アザラシもいないので狩りになりません。そこに氷がある時期があまりにも少なくなってしまったので、ホッキョクグマはアザラシのいない沿岸まで氷に乗って流されてしまいます。
こんなところにも地球温暖化の影響が及んでいるのです。
ブランデン・ケリー博士によると、ホッキョクグマのえさとなるアザラシも減少しているといいます。
生れた赤ちゃんが氷と雪の間で寒さから守られながら1週間程氷に入る練習をするのですが、雪解けが早くなってしまうため、無防備になってしまいます。その結果アザラシの赤ちゃんは凍死してしまうのです。
このように、温暖化によって今まで保たれていた生態系が地球という大きな流れの中で、つぶされようとしています。このままだとホッキョクグマはいつか消えてなくなるでしょう。
ホッキョクグマは、北極の生態系のトップに君臨する動物です。そこに影響が及ぶということは、地球からの最後通告といえるのではないでしょうか。
今、スイスで開かれているダボス会議にて、新たな地球温暖化に向けた温室効果ガスの削減目標が議論されています。自国の営利を超えてホッキョクグマやアザラシの悲鳴に耳を傾け、そういった動植物を守るという考え方をしてほしいと思います。
ホッキョクグマやアザラシのように、どこかの国に営利をもたらすものではないものを守るという観点に立てば、自分たちが具体的な目標を立てざるを得ないということにもっともっと早く気づけるのではないでしょうか。
公式フォトブック 北極のナヌー (2007/09/20) ナショナル ジオグラフィック |
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