人生最期の時
人生の最期の時
一体どのような気持ちで死を迎えるのでしょう。
そんなことを考えさせる短編小説でした。
掲載されていたのは、東京メトロの駅で配布しているフリーペーパーであるメトロミニッツ1月号。
藤原新也さんの「尾瀬に死す」の文章です。
著者の友人である澤田は、妻を殺害した殺人罪に問われていました。その頃、澤田は尾瀬に夫人と出かけていました。澤田の夫人は余命数ヶ月と宣告されていましたが、それでも夫人は昔プロポーズされた尾瀬に行きたいという願いを叶えようとしていたのです。
日中でも寒い尾瀬を2人して歩いていると、夫人は昏睡状態に。
携帯電話も通じない尾瀬で、澤田は夫人を必死に担いで麓へと向かいますが、その途中で天国へと夫人は旅立つのです。澤田が担いだ時にできた跡によって、澤田は絞殺したと疑いをかけられます。
裁判になり、澤田は諦めかけ最後にもう一度尾瀬を訪れます。そこで澤田は不思議な体験をするのです。夫人が優しく澤田にほほえみかけ、魔法瓶を差し出します。
澤田は夫人の実家で、その魔法瓶を見つけると中から夫人の遺書を発見します。
その中身について、以下にそのまま引用させていただきます。
「もし尾瀬に行く前に見つかってしまったらいけないので、わたしの生涯の最後のお手紙は魔法瓶の中に隠して行きます(笑)。
わたしは、尾瀬で死にます。
ずっと前から、そう決めていました。
もうこの冬は越せないことは自分でもわかっていますし。
幸夫さんとのあの美しい思い出の場所で死にたいのです。
病院のベッドの上では死にたくはないのです。
わたしをあの天国のような尾瀬で、
そして、幸夫さんのそばで死なせて下さい。
どうか、最後のわがままをきいて下さい。
それからわたしが死んだら、
幸夫さんはいいヒト見つけてくださいね。
そしてそのヒトとお母さんとも仲良くしてくださいね。
さようなら。
そして長い長い間、ありがとう
こんなに感謝の気持ちばかり、いっぱい、いっぱい、
あふれ出してしまうわたしは本当に幸せものでした。
もういちど、
・・・・・・・ありがとう」
澤田は無罪を勝ち取ったそうです。
【引用】メトロミニッツ 1月20日号
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こんにちは初めて書き込みさせていただきます。
私もこの文章を読みました。
いつも読んでいるメトロミニッツを手に取り、楽しみにしている藤原さんの「撮りながら話そう」を読み始めたら、電車の中で
涙が出てきてしまって困りました。
人生最後の時人はなにを思うのでしょうか?
コメント by airplay | 2008/01/28 10:44