屋久島いのちの森 ?ヤクスギが泣いている?
この島は不思議な島で、山の上の方が樹氷で覆われる頃、下の方ではハイビスカスが咲き乱れるという二面性を持っています。樹齢1000年を超える屋久杉(1000年未満の杉は屋久杉とは言わないそうです。知りませんでした^^;)が多く点在していますが、意外にも年輪の幅が非常に細かいのです。これは、土壌が花崗岩に覆われているため、十分に成長することができず花崗岩に抑制されているためです。
コケの種類も豊富です。
屋久島には600種類ものコケが生えており、これが杉に付着することによって、杉に細菌が繁殖するのを抑える役割を果たしています。なかでもアーバスキュラー菌根菌は屋久杉と共生し、杉を腐りにくく、養分の吸収を助けています。
このように高温多湿の気候が多くの微生物を育てている、微妙なバランスの生態系が幾千年もの間保たれている島なのです。
そこに今、危機が迫っています。
水中では、珊瑚が白化してしまっていて原因が未だ分からない状況にあります。海岸には中国語が書かれたゴミが大量に打ち寄せられています。
一方、島に目を向けると木々が朽ちてきている部分が多く存在するようになりました。千葉科学大学の永渕修先生は、酸性雨が影響していると指摘しています。
屋久島に降り注ぐ樹氷を調べてみると、大量の粉塵が発見されます。空気の対流などを総合して調査すると、粉塵は北京や天津といった中国の大都市から流れてきていることがわかりました。
今、島を守ろうというボランティア活動が続いています。太古の昔から脈々と生命をつないできた生態系、そして3000年もの間、ずっとそこにあり地球を見てきた屋久杉が、酸性雨という人類が引き起こした問題に対して危機に瀕しているのです。これで、杉を痛めつけるようなことがあれば、人類は許されざる罪を背負うことになるのです。
このような、国家をまたぐ環境問題について民間でできることは限られています。いくら地道に様々な活動をしようと思っても、他国の経済活動を抑制させることなどできません。なので、国家レベルでの、いや地球レベルでの訴えが必要なのです。
地球温暖化が叫ばれ、世界中でその取り組みが本格化していますが、それと同様にCOx等の酸性雨の原因物質の抑制についても取り組みを行うよう、日本から世界に発信していかなければならないと思います。
数千年の命を、たった100年程度でつぶすことがないよう、次の世代の子供たちに屋久島というすばらしい世界遺産を残すためにも、具体的な政策を行う必要があるのではないでしょうか。
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