平清盛 第45回「以仁王の令旨」
来週から始まる決戦を前に、ほんのちょっとだけ狭間の回になった今回のポイントは、なんと言っても平家の没落でしょう。顔も急激によぼよぼしてきて年齢相応になった清盛の前には白拍子が次々とやってきます。まずは祇王と祇女。この2人の舞に清盛は心が奪われ、見た目的には完全に若い子で遊ぶ老人という状況になってしまうのですが、周囲はそれにも何らかの意図があるとか、過去の人物への弔いだとか、様々な意味を持たせようとしているのが興味深いところでした。
傍目から見れば、全国から搾取した財力を自分の為に使い贅沢三昧以外の何者でもありません。武士の世の中を作り出しとしても庶民の生活が苦しくなるばかりで先が見えないのであれば、支持は広がらないばかりでなく下がる一方なのは今も昔も変わりません。次の登場した白拍子である仏御前と呼ばれる人に対してものめり込んでしまう清盛。暗闇の中にあるというナレーションでしたが、贅沢を追い求めているだけなのか、新たなる悩みを持っているのか、今いち分かりづらい局面となりました。
演出としては、没落する平氏VS立ち上がる源氏を大いに盛り上げたいのでしょう。今回はとことん、平氏の落ちぶれざまが描かれます。上記のように清盛の言動はもはや自分勝手であり、力で全てを押さえ込もうとする暴君になっていました。都では平氏の棟梁となった宗盛も、いざというときに決断することが出来ずあたふたし、普段は宴会をしまくるというていたらくぶり。もはや実戦能力は皆無でしょう。仲綱の馬の一件が決定打となって、平氏に仕える源氏は心が離れていきます。
それに対して、源氏は義経も頼朝もきりっとしていて、いかにも平氏を今すぐにでも倒してしまいそうな雰囲気を醸し出しています。特に神木隆之介さんが演じる義経は聡明かつ謙虚で最高の人物。もはや平氏が倒されるのは時間の問題といえます。かくまっていた藤原秀衡も期待を寄せます。京本政樹さんが登場するとどうしても雰囲気が仕事人的なものになり、アイシャドーなどがものすごく京本さんに似合っていて思わず引き寄せられてしまいます。これからも登場してくれることを願ってやみません。
これから源氏が挙兵することになるのですが、その挙兵が以仁王の命令によるものであったということが少し引っかかるところです。世の中はすでに武士が頂に立つ世の中であり、下手をすると昔のように再び王家の世の中に戻ってしまいかねません。いかにも悪者そうな八条院暲子がいる限り、以仁王も源氏も浮かばれないと思います。後世は既に周知の事実ではありますが、どのように変遷していったのか、それをしっかりと次回以降見届けたいと思います。
◆清盛紀行◆
岩手県平泉町
- 金鶏山
- 義経堂
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