キャップを集めるエコ活動のもう一つの考え方
以前のブログでペットボトルのキャップを集めて、発展途上国の子供にワクチンを提供することができるという活動を紹介しました。小さな事ではありますが、キャップという本来捨てていたモノから貢献活動をすることができるのならということで我が家でも実践しています。その活動は広く普及し、今ではキャップ専用の回収ボックスが様々な場所に設置され、エコキャップ運動は全国的に広まっているといえます。
エコキャップ推進委員会によると、約400個のキャップを集めることができれば、それを業者に15円で売却できるので、うち10円をワクチン代として「世界の子どもにワクチンを日本委員会」に寄付できるとしています。また、ゴミとして焼却処分された場合と比べ、キャップ400個で3150グラムのCO2削減につながるとその効果を説明しています。
◆エコキャップは割高?
しかし、これに疑問を投げかけている学者がいます。それは東大名誉教授の安井至さんです。安井さんは以下のように説明しているといいます。
「この活動を主導しているNPOのエコキャップ推進協会は、さる運送業と提携をしていて、20枚3150円のダンボール箱を買えば、6kgのキャップ入り1箱の輸送を420円で引き受けてくれる。ダンボール箱の費用を加えれば、577円の輸送費がかかるが、寄付金額は、一箱6kgで60円程度である。輸送費が圧倒的に大きく、寄付額の9.6 倍という計算になる」
つまり、寄付する金額よりもはるかに輸送費の方が高くなってしまっていて非効率だというのです。
◆エコキャップにかわる代替案
では、どうしたらいいのでしょうか。その問いに安井さんは以下のような代替案を提示しています。
「500gのキャップを捨てるのが気になるなら、そのキャップを作るために、だいたい1kgぐらいの石油を使っているので、それに相当する1.4 リットルのガソリンを節約することで、環境負荷面を補うという方法論、代替法とでも呼ぶことができる方法があり、これでも効果は全く変わらない」
キャップを集めるのではなく、それを作る原料分を始めから使わないようにすることによって、環境対策につながるという考え方をすすめています。
◆代替案に潜む日本人の考え方
しかし、この考え方について日本人は大きく2つの抵抗をもつといわれています。日本人の根底には、「目の前のモノがモッタイない」という考え方と「寄付に対する照れ」があるといいます。前者は目の前にあるキャップを集める方が直接エコ活動を実践していることを実感しやすく、どうせ捨てるモノを再利用しているという考え方が強くあるということにその要因があります。後者は、キャップをNPOに輸送して売り、利益の一部を寄付に充てるという回りくどい作業の方が、さりげない社会貢献として好まれ、直接的な寄付は敬遠されがちな考え方であることが指摘されています。
このように、諸外国で広く一般的に行なわれているエコ活動は日本人独特の考え方によって独特の進化を遂げているのがエコキャップ活動だといえるのです。理想論をいえば、みんなが自然に10円を寄付することができるマインドが定着することが望ましいのですが、お金を相手に直接与えることを文化として避ける傾向にある日本において、なかなか道は険しいと思います。
むしろ、今は決して効率的ではないですが、寄付という効率的な貢献に向けた第一歩として、エコキャップ活動の果たす役割は非常に大きいと考えるべきではないでしょうか。人々の環境対策への理解と協力が定着したとき、自然と寄付という行動も大きな社会貢献活動として広まっていくのではないかと思います。
【参考】livedoorニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/4975213/
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