IC乗車券がついに統合
新幹線に乗って関西に出張すると、関東で使用していたPASMOやSuicaが使えずにICOCA用の自動改札機がある前で、きっぷを購入して電車を利用することになります。このように現在はJR、私鉄あわせて全国に10種類のIC乗車券があり、約150もの事業者がそのIC乗車券を採用していますが、一部を除いてそれらを相互の読み取り機で利用することができませんでした。
毎日の通勤や通学でこれらのIC乗車券を持っている人は多いと思いますが、ほぼ同じ規格を使っているにも関わらず相互に利用できないのは非常に不便でした。特に異なるIC乗車券を採用している区間を行き来する人にとって、これはかなり致命的だったのではないかと思います。
そんな不便が2013年春には解消されそうです。JR各社と首都圏や中部、関西、福岡の大手私鉄など11事業者・団体は、それぞれが発行する10種類のIC乗車券の相互利用を、2013年春から始めることで合意したと発表しました。相互利用できる交通系ICカードは以下の通りです。
「Kitaca」(北海道旅客鉄道株式会社)
- 発行枚数または会員数:約30万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約4,440店舗
「PASMO」(株式会社パスモ)
- 発行枚数または会員数:約1,737万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約14,690店舗
「Suica」(東日本旅客鉄道株式会社)
- 発行枚数または会員数:約3,534万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約91,350店舗
「manaca」(株式会社名古屋交通開発機構及び株式会社エムアイシー)
- 発行枚数または会員数:約107万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約2,190店舗
「TOICA」(東海旅客鉄道株式会社)
- 発行枚数または会員数:約108万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約4,730店舗
「PiTaPa」(株式会社スルッとKANSAI)
- 発行枚数または会員数:約192万人
- 電子マネー加盟店舗数:-
「ICOCA」(西日本旅客鉄道株式会社)
- 発行枚数または会員数:約601万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約16,400店舗
「はやかけん」(福岡市交通局)
- 発行枚数または会員数:約30万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約220店舗
「nimoca」(株式会社ニモカ)
- 発行枚数または会員数:約131万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約2,160店舗
「SUGOCA」(九州旅客鉄道株式会社)
- 発行枚数または会員数:約51万枚
- 電子マネー加盟店舗数:約9,160店舗
相互利用できるサービスは、以下の通りです。
・ 鉄道およびバスでの利用
・ 各交通系ICカード加盟店での電子マネーの利用(「PiTaPa」を除く)
電子マネーを相互に利用できるという点はかなり利便性をあげることになるでしょう。チャージしているマネーをそのままほかの地域でも使用することができる。これだけ考えれば当たり前のことのように思えることが、今までできていなかったのです。例えば、WAON、Edyといった電子マネーは日本全国で使用することができお金としての価値を持っていると感じますが、Suicaにいれた5000円は限られた場所でしか効力を発揮しない地域限定の貨幣価値しかありません。言われてみれば不思議な感じがします。
こうして、ICカードが広まっていくことによって、その利用者も増えていき、さらにはICカードを中心として真プライチェーンもできることから、最後にはユーザにさらなるサービスの向上として還元されていく嬉しいスパイラルを生み出すことになるでしょう。そういう意味で、早期の実現に期待したいと思います。
【参考】
・PASMO http://www.pasmo.co.jp/news/press/20110518_release.pdf
・asahi.com http://www.asahi.com/national/update/0518/TKY201105180517.html
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