あくびはどうして出るの?
学生の頃、先生の前で大きなあくびをして「気合いが足らない」といって怒られた経験は誰にでもあると思います。学生を卒業し社会人になっても、あくびに対する悪い印象は相変わらずなのですが、実はこのあくびが出る本当の原因は未だに分かっていないのです。
血液中の酸素が不足しているときに、あくびをすることによって体の中に酸素を補給するという説が長年有力でした。しかし、最近ではこの働きは非常に弱く有効ではないとされています。あくびをしても取り入れられる空気の量は通常の呼吸と比べて大して多くなく、血中酸素濃度も上昇していなかったのです。
それに代わって最近提唱されている説は、あくびが脳を冷やすのに役立っているのではないかという説です。これはアメリカ・オルバニー大学の心理学者アンドリュー・ギャラップの実験によって示されたもので、あくびによって血流を良くして脳がオーバーヒートするのを防ぎ頭がよく働くようにするというものです。
しかし、そうすると風邪などで熱があるときにあくびをたくさんしてもいいものですが実際はそうではないことから、確実にこれが原因であるとも言い切れないのが現状です。
このようにあくびについてはまだまだ分からないことだらけなのです。人間は緊張したときでもあくびをしますし、パラシュートで降りるといった際でもあくびが頻繁に出るといいます。また他の人があくびをすると自分にも伝染することは経験上あることでしょう。こうしたあくびをテーマにした国際学会もこれから開かれるというので、徐々に人間の英知を結集させ、あくびの謎が解き明かされていくことでしょう。
その謎の先には、人間を違った角度から再発見できる手がかりが隠されているかもしれません。
【参考】日本経済新聞 2010/06/13
あくび体操 症状別―自分のからだは自分で治す 『鼻呼吸』で脳に酸素を! (2006/12) たんだ あつこ |
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