知らない間のリボ払いにご用心
近年、クレジットカードのサービスも多様化が進み利用者としては多くの選択をすることができるようになりました。逆にクレジットカード会社としては収益の柱であるキャッシングやローンに関しては、改正貸金業法や割賦販売法などの規制が厳しくなり、あの手この手で収益を確保しようと努力してるのが現状です。
そんな現状を踏まえて、クレジットカード会社が今ユーザに勧めているのが「リボ払い」です。利用代金の支払い方法には毎月一括払い、ボーナス時に一括返済するボーナスはらい、支払回数を決めて支払う分割払いがありますが、この他に先のリボ払いというものがあります。これは支払残高に応じて毎月一定額を支払う方法で、分割払いが回数を指定するのに対してリボ払いは金額を指定するという違いがあります。最近ではリボ払い専用のクレジットカードまで登場しています。このカードは利用したすべての金額がリボ払い扱いとなるものです。
このサービスは、使い方によっては非常に便利で高額な買い物をしても毎月自分が支払うことができる一定額を支払えばいいので、余裕をもって利用することができます。その反面多くの債務を抱えてしまい後戻りできない状況になることもあるのです。
クレジットカード会社も、リスクを抑えるためこのような利用方法に関する注意を利用者に呼びかけていますが、収益を伸ばすためにもっと使って欲しいという立場ですから、その注意の声はどうしても小さくなってしまい、利用者の目に触れにくくなっているのが現状です。約款などに書かれているといっても、ものすごく小さな字でびっしり書かれているので、全部をすべて読みこなす人は少ないと思います。
リボ払いの利用件数が増加すると共に、国民生活センターへの相談件数も増大しているそうです。2009年度は前年比2.5倍の341件で、知らない間にリボ払いになっていて多額の手数料を請求されたという内容が多くを占めています。
では、リボ払いによる手数料はどのくらいなのでしょうか。クレジットカード会社にもよりますが、多くは最大で年率15%という利率を設定しています。これは主な消費者金融とほぼ同じレベルになります。例えば、月1万円定額で支払うリボ払いにして、2010年4月に30万円を年率15%で利用したとしましょう。この利用を完済するのは2012年10月で支払合計額は357,576円と手数料を57,576円支払う計算となります。
消費者問題に詳しい弁護士の方によると、クレジットカード会社が十分に説明していない場合には返金が認められる可能性があるといいますが、一方で約款や注意書きに書かれていることから利用者側に落ち度がある場合も多く、返金できるかどうかはcase-by-caseだといいます。
国民生活センターでは、リボ払いを利用する際には次の3点について消費者に注意を呼びかけています。
1. カードの新規申込みや
2. 手持ちのお金がないからといって気軽にリボ払いを利用しない
3. 余裕があるときは支払額を増額したり一括返済する
特に3は重要で、カード会社のほとんどが支払額増額や一括返済を選べるようになっています。大切なことは自分たち消費者が便利なリボ払いの裏に潜むリスクをきちんと理解した上で利用することで、自分たちがしっかりと学ぶ必要があるのです。それと共にカード会社には、ただ収益を増やすということだけでなく、消費者にきちんとそのデメリットも伝え、それでも利用するかどうかをダブルでチェックするようなユーザの観点になったサービスを提供して欲しいと思います。
【参考】日経Plus1 2010/04/03
お金で死なないための本 [いつでもカード、どこでもローンの落とし穴]
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