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錆びない鉄のナゾ

2009/09/13 Category: ニュース

超高純度鉄

鉄の性質としてまず思い浮かべるのが、錆びることでしょう。錆びるとは空気中の酸素と結びつき酸化鉄となり、錆びると赤や黒く変色してしまいます。また熱い釜の中に入れて赤く溶けてきたタイミングで叩くことによって形を自由に変えることができ、冷やすことによって固い丈夫なものになるというのもよく見る鉄の姿だと思います。

しかし、今この鉄の基本的な性質に対して根本から変えてしまう結果を見ることができます。空気中にあっても錆びることがなく銀色のままの鉄を東京大学総合研究博物館で見ることができます。この鉄は、不純物を可能な限り取り除いて作った超高純度の鉄で純度は99.9999%というほとんど100%なんじゃないかと思えるほどの純粋な鉄なのです。このような超高純度鉄の性質はこれまで考えてきた鉄の性質とは異なることが分かってきました。以下に今分かっている超高純度鉄の性質をまとめます。

◆さびない
通常の鉄は、中に不純物として酸素が入っているので構造が不規則になっているため、そこから酸素が入り込んで錆びてしまうといわれています。それに対して超高純度鉄は規則正しく鉄が並んでいるので酸素が入り込む隙間がないので、さびないのではないかと考えられています。

◆酸に強い
通常の鉄を塩酸に入れると、ぶくぶくと水素が発生します。受験でよく勉強する金属のイオン化傾向では、鉄(Fe)は水素よりもイオンになりやすい性質とされています。ところが超高純度鉄は塩酸に溶けないといいます。このイオン化傾向の定義を根本から覆してしまう実験結果といえます。

◆低温で柔らかく伸ばしやすい
通常の鉄は炉などで高温にしてから伸ばさなければなりませんが、超高純度鉄は低温にしても柔らかく延ばしやすいそうです。もはやここまで来ると鉄ではないような気さえしてきます。

現在この研究は東北大学の安彦兼次客員教授によって継続中なのですが、東北大学以外で超高純度鉄を作れるところが今のところないそうです。研究グループは世界中にあるのですが、なぜ作れないのかと頭を悩ましているとのこと。何か特別な秘密があるのかもしれません。

この考え方からすると、鉄だけでなくその他の金属の純度を上げることによって、今まで常識とされてきたものが覆る可能性を持っていることになります。このことが自分たちの生活の中ですぐに影響を及ぼすものになるわけではありませんが、鉄という身近な物質の新たな一面が明らかになることで、人の生活をも変えてしまうようなものが作られる世の中がくるのかもしれません。そんな可能性を夢見させてくれる記事だと思います。まだまだ自然科学の世界では自分たちの知らない未知のものが数多く眠っているのですね。

【参考】日本経済新聞 2009年8月30日

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