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よみがえれ!大都会ドブ川の奇跡

2009/03/02 Category: 環境問題

旧芝川

埼玉県川口市を流れる旧芝川はかつてヘドロで覆われたどぶ川でした。この川は芝川の分流だったものが上流と下流に堰を作り完全に閉ざされた川となっています。この川に生活排水が流れ込み、ひどい状況になってしまったのです。

その旧芝川を清流に変えようとするプロジェクトが4年前から始まりました。炭素繊維を使った浄化施策などを行った結果、綺麗な水場にしかいないといわれるカワセミが生息し、今ではカワセミを目的としてバードウォッチャーまで駆けつけるほどの川になりました。しかし、川を変えることができたのは全長5.5kmのうちのほんのわずかな区間だけ。

この施策に対して埼玉県が本格的に加勢することになります。埼玉県は2年間で8億円をつぎ込むと決めました。その陣頭指揮をとっているのが埼玉県知事である上田清司さん。関心の高いところから中心に清流へ戻すことを明言します。

目標は、横浜市を流れるいたち川で、瀬や縁を作ったりすることによって清流に変化させることにあります。以下、今回の施策内容について示します。

1.川底に溜まったヘドロを取り除く
ヘドロの除去には炭素繊維が有効です。炭素繊維を水中に埋めることによって特殊な音波が流れ、微生物を呼ぶことができます。その微生物がヘドロを分解し砂質に変えていくのです。

2.雑排水をウェットランドにおとす
ウェットランドとは、自然の力で水質を浄化する施設で、そこできれいにしてから川に流すことによって、汚い水が本流に流れ込むのを防ぐことができます。

浄化装置の中には試行錯誤の結果、浮島、炭素繊維、葦などの植物を入れることになりました。浮島は旧芝川のように水位の変化が激しい場所でも適応することができ、竹に編み込まれた間伐材の炭を入れて植物を育てることによって、鳥や様々な生き物の住み処となります。

3.マッドキラーを土に混ぜる
マッドキラーという特殊な砂を土に混ぜることによって、ヘドロを分解することができます。

4.川幅を狭めて水流を作る
流れがなくなり水が溜まってしまうと、そこから汚染が始まります。流れを止めないことが大切です。

5.住民の協力
埼玉県の職員は、忍耐強く地域住民と関係を作るため説明会を実施します。これまで行政はコンクリートの建造物を作っては無駄に終わっている結果から不信感をもっていた住民も次第に協力するようになります。地域住民の協力は必須なのです。

また、住民が「えひめAI-2」と呼ばれる愛媛県が開発した微生物の栄養ドリンクを使用することも効果的です。これを家庭から流すことによって、川の浄化につながるのです。以下にえひめAI-2の作り方を示します。

<えひめAI-2の作り方>
■材料(500ml を作る場合)
・納豆(粘液でも可) 1 粒
・ヨーグルト(飲むヨーグルトも可) 25g
・ドライイースト 2g
・白砂糖や三温糖など 25g
・水道水 約450ml
・ペットボトル(500ml)
・ヒーター (熱帯魚用ヒーターで35℃の温水浴)又は、夏は直射日光の下でもよい。

■作り方
1. ペットボトルに納豆、ヨーグルト、ドライイースト、砂糖をはかり取ります。
2. 水道水を約450ml加えてよく攪拌します。
3. よく混ざったものを35℃で1週間培養します。(ガスが出るのでペットボトルの蓋は必ずゆるめます)
4. 培養液のpHをpH試験紙で確認します。培養開始時のpHは約4-5ですが、1週間後に3-4になり、パンやお酒のような良い香りがすれば成功です。(注)pH 試験紙は、理化学機器・器材の販売会社で扱っています。
5. 右の写真は糖蜜を使っていますので糖蜜の茶色がついていますが、砂糖を使った場合は白色です。培養後には、ヨーグルト成分などが底に白く沈殿します。
6. 腐敗臭がする時は、雑菌が繁殖したと考えられます。ボトル、器具類等をきれいに洗浄し、衛生的な状態でやり直します。
7. できあがったものは、冷暗所に保存して3ヶ月を目途に使い切ります。

■使い方
浴槽、洗濯には上澄みを、それ以外は全体を良く混ぜて使って下さい。
・浄化槽での使用
便器に毎週100ml程度使用するか、スプレーして消臭します。
・台所での使用
調理後の流し台に、50?100ml程度入れてヌメリをとります。
・浴槽・洗濯での使用
入浴後に上澄み液50ml程度を入れると湯あか取りに効果的。残りは洗濯に利用できます。
・生ゴミ処理で利用
生ゴミに噴霧して消臭や発酵促進剤に利用します。

自分が小学生だった数年前は、地元の川でタニシを捕ったりザリガニを捕ったりして遊んでいました。今ではそれができる川は都市部では確実に減っています。すごく残念なことです。埼玉県のこの工事は2010年3月に終了しますが、そのときにどんな奇跡が起こり、子供達が再び川で遊ぶことができるのでしょうか。

ただ待っているだけではなく、自分たちの街を流れる川でも何かできるか、小さなコトから始めてみませんか?

【参考】
・素敵な宇宙船地球号 3月1日
・愛媛県産業技術研究所 http://www.iri.pref.ehime.jp/iri/info/biseibutu/AI-2.pdf


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