天地人 第5回「信長は鬼か」
今回は異なる二人の君主像を見ることができます。まず初音と共に向かった岐阜城で出会った織田信長は、天下を統一して安定した国をつくるためには「義」という言葉は邪魔であるという考え方をします。そのためには、僧の山である比叡山を焼き討ちしてしまうほどの徹底ぶりです。そこに上杉謙信の「義」を唱えた樋口兼続に対して、信長は闇で秀吉たちに暗殺するように命じますが、ぎりぎりのところで石田三成と初音に助けられます。
石田三成とはこれから長い付き合いになるのですが、そういう人たちは往々にして第一印象は最悪なんですよね。兼続はそうでもないのですが光成は兼続のことを頭が悪いやつだと印象を受けます。これからどのように関係が深まっていくかはまだ先になりそうなので、忘れないでおきたいと思います。それにしても織田信長以外の人々は兼続に優しくしてくれましたね。秀吉もアドバイスしてたし、三成は助けるし、初音はチロンチロンと鈴を鳴らして歩いている猫のようだし。みんないい人なのかもしれません。
もう一人の君主は上杉謙信です。信長とは全く異なる精神世界で「義」を重んじているのはすでに承知の通りなのですが、今回それをさらに具体化した言葉を紹介しています。それは、義とは人が人であるための教えであるということ。やっていいことと悪いことがあり、人としてやってはいけないことがあってそれをしてしまった人は「義」から逸脱してしまった人であると。それが織田信長のことなのでしょう。
この乱世の時代において、人が人を裏切ったり寝返ってあり、心に表裏があるのが普通な状況において信長のように、誰も信じずいち早く天下をおさめるということも正しいことだと思いますし、謙信のように精神的にあるべき姿を追い求めるのも正しいと思います。兼続はこの2人の全く異なる君主に出会い、自分なりに悩んだことでしょう。それが、謙信がしばらくして信長に戦いを挑むことになった際に、意外とすんなりとやる気になっていたのが不思議だったりします。
ついに初陣を迎える兼続を影から見守るのがお船。お船になかば告白されているような状況で、相手の幸せを願っているというのは相手を悲しませますよね。なんだか胸が苦しくなってきました。でも、この立場で「どこへも行かないでください。私のもとへ!」などと言えませんよね。スミマセン、最後にきて妄想が入ってしまいました。
□■天地人紀行■□
岐阜県岐阜市
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