不況の時にこそ現われるオリエンタルランドの真の強さ
お正月になると、どこか行楽地でカウントダウンパーティに参加したくなりますよね。新年をみんなで喜びながら祝うことは本当に素敵なことだと思います。その一瞬だけは他人であってもすごく仲良くなれるような気がします。2009年の正月三が日の主な行楽地への人出予想が発表されました。その結果、2位であるお台場でのイベント「HOT☆FANTASY ODAIBA」の18万人を大きく上回る35万人の人出が予想されるトップが東京ディズニーリゾートです。
今年は特に景気後退やリストラなど経済が冷え込んだ年になり、財布の紐は当然厳しくなるにも関わらず、2008年度上半期の2つのテーマパークの合計入園者数は、過去最高の1304万8000人を記録し、経営するオリエンタルランドの今年度の業績予想も上方修正するなど、他にはない強さを見せています。オリエンタルランドのこの強さはどこからきているのでしょうか。サービス提供する立場として学ぶべき点もいろいろあると思います。
東京ディズニーリゾートは日本のレジャー施設では長い間ひとり勝ち状態を保ってきました。浦安という東京から近くてアクセスが便利であるという利点のほか、一歩足を踏み入れると非日常的な空間が客を待ち受けていて、毎年新しいアトラクションやパレードを次々と導入することでファンを飽きさせない工夫が凝らされています。だから何度行ってもまた行きたいと思う気持ちにさせてくれ、リピーターも多くつくんですよね。
しかし、東京ディズニーリゾートがすごいのは、このようなハード面だけではありません。そこで働く従業員(キャスト)の存在がすごく大きいのです。行った人は分かると思いますが、キャストのゲストへの接し方は本当に親切で心がこもっています。さらに夢の続きをアシストしてくれるようなひと言を言ってくれたり、なにげない所にも心温まるサービスが行き届いていて感動を与えてくれるのです。
これは、オリエンタルランドが行っている人材育成に秘密があるといいます。訪れたゲストを接客でも感動させるために、東京ディズニーリゾートではキャストのモチベーションを高めるための数々の工夫をしています。キャストの9割以上がアルバイトだといわれているのですが、職位や権限を経験に応じて与えやりがいを持ってもらうために責任の範囲を広げていると言います。
評価の方法も独特で、一般企業のように上司が部下を評価しそれによって給与が反映されるのではなく、同僚や他のキャストからの評価も重要視され評価は給与には反映されないそうです。お互いが評価し合うことによって、関係がぎくしゃくしがちですがそれをうまく回避しています。このようにキャストは多くの権限をもってやりがいという強さを伸ばしお客様へ感動を提供するプロフェッショナルとしての自覚を養っているのです。
人の心に直接訴えることができるサービスを提供することができたとき、他にはできないような驚くべき強さを持つことができるのです。そうなれば不況や経済状況の影響は最小限に抑えることができることを、ここから学ぶことができます。
【参考】MONEYzine
http://moneyzine.jp/article/detail/117163
海を超える想像力―東京ディズニーリゾート誕生の物語 (2003/03) 加賀見 俊夫 |
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